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20240106「経験の発火」

忘れないようにメモして
忘れてもいいようにメモしておく
大事なら思い出して
それを探すだろう
書いたことさえ
忘れるようなら
要らないのだろう
わたしを経由して
引っかかったものだけが
わたしを作り
経由した接触の間合いで
お互いが変化する
出来事の詳細は不確かさで
あなたの視線の意味は
きっと違うのだろう
複数の視点で
解釈しては
納得しつつ
納得できない物ごとのこと

いい加減に捨てたらいいのに
書いておいたその場所がわからない
確かに在ったのに
その時は大事にしていたのに
もう今は記憶の奥に入ってしまって
今にすることも
これからすることも
重ねた頁で厚みを蓄えていた
反応は鈍くも瞬時に起動する
経験の発火
燻る物ものを焚いて
風向きを見ている
言葉の象形を設計しては
砕かれる分解係数
組み合わされ反故されては
再度発生するもの
練磨の途中で再生産しては
呟きの時線に追いつけないまま
流れを見ている

浮かび上がる抽象の先では
何が待っているのかを探りつつ
わたしの周辺に置くものとして
それらを繋げ
関係性の糸を紡いでいる
どれとどれ
これとそれ
そしたらこれも合わせて一緒にして
重なる円環の混ざり具合で
自由振り子の軌跡を追って
意味の範疇を出会いとして認める
眼差されたのはわたしの方
あなたは何も言わないが
受け取ってしまうのは
わたしが必要なのかもしれない
きっとそうなら
いっそのこと
含まれた事象を燃やし
燃殻を小瓶に入れておこう

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