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#11 休職してよかったと思うこと

正しい休職期間の過ごし方

初めての休職は、わからないことだらけだ。

世の中は、人生で「休職」というものを経験しない人たちのほうが圧倒的多数で、私みたいなのは少数派なのである。よって、アドバイスしてくれる人は周りにいない。クリニックの先生だって、事細かに教えてくれるわけじゃない。

だから、ある程度は自分で考えて自主的にやっていく必要がある。だけど一歩間違うと、症状を悪化させてしまう危険性だってある。

なので、書籍やネットの情報って、かなり貴重なのだ。
いろいろ調べているうちに、少数派とはいえ、自分と同じような経験をしている人って案外多いんだということに気づく。「私だけじゃないんだ」って、ちょっとホッとしたりもする。

私が最も参考になったなと思うのは、こちらの書籍。

休職期間は、「休養期→回復期(リハビリ期)→調整期」という流れで進むのが一般的のようだ。

『元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術』の著者である尾林誉史先生は、これを第1段階から第4段階に分けて説明されている。

私がざっくり説明すると、こんな感じ。

第1段階は、ちゃんとダラダラ休むこと。
初めの1か月間は特に集中的に休んで、身体の疲れと心の疲れをちゃんと取りきることが重要。
個人差はあるが、期間は1か月から2か月間。ちゃんと休むと期間は短くなる。

この期間は何もしなくていい。横になれるだけ横になって、眠いと思ったら寝る。無理に起きなくてもいい。
食事は1日1食でもOK。食べたくないなら食べなくてもいい。この段階では、栄養面などは一切考えなくていいし、何か口に入れられそうなものであれば何でもいいので、口に入れられるときに口に入れればいい。
運動もしなくていい。「今はできないんだ」ということを認めて、休むことを第一優先事項とする。

第2段階では、自分の好きなことを、できることから少しずつ始める。趣味や好きなことに時間を使うようにする。
第2段階の初めのうちは、頑張らないことを徹底する。何かをやり始めることで、徐々に持続力や集中力が戻ってくる。
ただし、この段階までは仕事のメールやチャット、電話などとはまだ距離をおくこと。仕事関係のやりとりは、総務・人事労務担当者ひとりだけとし、必要最小限のやりとりにとどめる。接触する人数も頻度も極力下げる。可能であればゼロのほうが望ましい。

第2段階の終盤になると、かなり活動ができるようになってくる。
人によって回復のプロセスや期間はまちまちだが、だいたい1か月から3か月くらい。

第3段階では、働く意欲や生活する意欲が出てくる。
以前の自分の生活リズムに近くなってきて、復職へ向けてのリハビリやリワークを開始する。

そして、第4段階で主治医から復職の許可をもらい、会社の人とコミュニケーションを始めたりなど、復職へ向けての準備を開始する。

第1段階が「休養期」、第2段階と第3段階が「回復期(リハビリ期)」で、第4段階が「調整期」というイメージになるのかな。

状態が落ち着いてくる第2段階の終盤まで、早い人で2か月くらい、そうでない人だと5か月くらいかかることになる。

リハビリに必要な期間も人によってまちまちだと思うが、私が通うショートケアでは「状態が落ち着いてから標準で半年かかります」と言われた。休職してからリハビリを経て復職できる状態になるまで、1年程度はかかる計算だ。しっかり回復を目指すのであれば、やっぱりそれなりの時間がかかるもんなんだね。

私は休職に入ってまだ4か月くらいしか経っていないときに、会社から「時間かかりすぎじゃないの?」って言われて、知識のなさと理解のなさに呆れたけどね!


しんどい期間を私はこうして乗り越えた

休職初期は、とにかくしんどい。
この期間は、とにかく休むことが重要になる。

何もしないでいい。体も動かさないでいい。
しっかり寝て、しっかりぼーっとすればいい。

しかし、実際に休職に入ると、最初の数日は仕事のことが気になって気になって仕方がなかった。
業務用スマホの電源をずっと入れっぱなしにしていて、ときどきメールやチャットを確認していたりしていた。

休職に入る前、職場のメンバーには「たまに確認するようにしとくから、何かあれば連絡してね。そんなに重症じゃないから心配しないで」なんて言ってしまっていた私。

職場に戻ったときに、すぐに仕事に入れるように。
休職前までバタバタで、あわてて引き継ぎしたから、引き継いでくれたメンバーに迷惑をかけたくない。

そんな思いがあったからだが、私はなんということを言っていたのだろう。甘かった。バカか私は。

「こんなしんどい状態のときまで、頑張ろうとするなよ!」
あのときの私に、そう声をかけてあげたい。

自分自身のことなのに、いま自分がどんな状態に陥っているのかということを、まるでわかっていなかった。

「これくらいなんてことない、平気だ」って思っていたけれど、平気なんかじゃなかった。
これじゃあ、まったく休まらないじゃないか。

それにやっと気づいた私は、いったん仕事とは完全に離れると決めた。
業務用スマホの電源を切って、仕事に関するやりとりはしない。
仕事関係の人たちとの接触も、しばらく控えなきゃ。

そして、ひたすら寝た。
起きる時間を気にせずに、目覚ましをかけずに、寝たいだけ寝た。


溜まりに溜まった「睡眠負債」を返済する方法

「睡眠負債」という言葉を昨今よく耳にするようになったが、この睡眠負債を返済するには、3週間程度、寝たいだけ寝ればいいという。
休職してから、寝たいだけ寝れるようになったので、まずはこれを試してみることにした。

すると、3週間ほど経ったころに睡眠時間がほぼ一定になってきた。私の場合は7時間半から8時間くらい。8時間を超えると、自然に目が覚めるようになった。この私が、目覚ましをかけずに自然に起きられるようになるなんて本当に驚きだった。

これで、溜まりに溜まった睡眠負債の返済が完了し、私に必要な睡眠時間は8時間程度だということがわかった。それまで、仕事のある日は5時間半くらいしか寝ていなかったので、明らかな睡眠不足だったといえる。まさに睡眠負債だらけだったのだ。しかも、自分では睡眠不足という認識すらなかったので厄介だ。

休みの日は10時間(若いときは半日とか)くらい寝ていて、平日の寝不足を週末に寝だめしてカバーしようとしていた。これだとまったく疲れがとれないし、逆に疲れが溜まってしまう。そんな最悪なパターンを長年繰り返していたのだ。

睡眠不足は、酒を飲んで酔っ払っているのと同じ状態であると言われる。つまり私は、酔っ払った状態で日々を過ごしてきたということになる。こんなんで最適なパフォーマンスができるわけがない。ただでさえ、ADHDのある人はそうでない人よりも、ずっと睡眠時間が必要だと言われる。脳をしっかり休めることで、ADHDでもじゅうぶんなパフォーマンス向上が望めるはずだ。

睡眠時間を削ることは、命を削っているのと同じことらしい。
これまでの私は、命を削りながら仕事をしていたのか。

仕事って、そこまでしてやらないといけないものなのだろうか?
命に替えるだけの価値が、そこにあるのだろうか?


やっぱり、休職してよかった

素直に、休職してよかったと思う。
仕事をせずに家にいると、社会から離れていることで後ろめたさを感じる人も多いというけど、私にはそんなことはまったくなかった。

楽だったし、ただただ楽しかった。
私の人生にとって、意味も意義もある必要な期間だった。

これから、どう生きていきたいか。
私は何が好きで、何を大事に思っていて、
どんな仕事をして、死ぬまでに何を残したいのか。

そんなことを、じっくりと考えることができた。

自分には限界があるんだっていうことも、ちゃんと理解することができるようになった。

休職してから、私のスローガンは
「頑張らない・無理しない・我慢しない」だ。

クリニックの先生には、休職初期のころからずっと毎回のように「無理はしないように」とか「できる範囲で構わないから」と言われる。

とにかく無理はしないこと。
好きじゃないことや苦手なこと、やりたくないことは無理してやらない。

ちょっと気を抜くと頑張りすぎてしまうので、自分でちゃんとブレーキをかけてあげるように気をつけている。

私をいちばんわかってあげられるのは誰でもない、私だ。
私を苦しめるのも私だし、
私を助けてあげられるのも、この世で私しかいないのだ。

しっかり休むことで、ずいぶん生きやすくなったと思う。
本当にめちゃくちゃしんどい思いもしたけれど、多くのことを学んだ。

そして、せっかくこんな貴重な体験をしたんだから、しっかり記録して残しておこうと思った。

休職に至る状況も症状も程度も千差万別、人それぞれだ。
私が書くドキュメントは、私にしか書けないものだ。そのなかには、私だけが世の中に与えられる情報が、もしかしたら存在しているかもしれない。いや、別にそんな希少価値はなくたっていい。

私の体験談が、誰かの役に立ってくれるかもしれない。
そうなってくれれば、休職した甲斐もあったと、よりいっそう強く思えるのだから。

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