空を飛ぶ土竜

高校の教師をしています。人生を真剣に怠けることを日々に夢見ながら、定年退職後も現役を続…

空を飛ぶ土竜

高校の教師をしています。人生を真剣に怠けることを日々に夢見ながら、定年退職後も現役を続けています。このnoteは、生徒に話す雑談メモ風に、自分が考えたこと、伝えたいことを気ままに書いています。よろしければお付き合いください。

マガジン

  • 土竜のひとりごと

    エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。

  • 土竜のひとりごと:カミさんに遺す僕の物語

    これまでに書き溜めたもの、このnoteの「土竜のひとりごと」に書いたものを整理してここに集めてみたいと思います。

  • 短歌・詩・俳句

    短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。

  • わが家の拾い猫「レイ」

  • 日本語雑話

記事一覧

バレンタインデーというブラックデー

過去記事を加筆訂正しながらひとつのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。 元記事にスキやコメントもいただいている…

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第50話:怠けることと誠実であること

全くの愚話である。 ウチのカミさんによると僕は「怠け者」であるらしく、その見解は僕が僕のことを誠実で几帳面な人間と考えていることと甚だしく食い違っている。 僕は…

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GWと僕の居場所

ゴールデンウイークが終わりました。 見事に爽やかな天候で、後半四日間は完全休養しました。 ここ御殿場では田植えも終わりました。 4日間もまるまる家にいるのは全く…

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友人からの手紙

過去記事を加筆訂正しながらひとつのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。 記事にスキやコメントもいただいているの…

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第40話:勉強って?

西日暑き土間の机に人向かふ垣間見しより何のあくがれ 自分の記憶に誤りがなければ、これは高安国世という歌人の歌である。 頃は夏の夕方、西陽がジリジリと照りつける中…

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第4話:おばあちゃん

おてんとうさま おてんとうさまに 恥ずかしくないように 生きなさい いつもおばあちゃんは そう言った ふと見上げると 頭の上には 青い空と ほっかりと おだやかな おて…

空を飛ぶ土竜
2週間前
31

イタチ?フェレット?

昨年度末の人事異動で学校を変わりました。 勤務形態も再任用フルからハーフに変えました。65歳まであと2年こんな形で勤務して、そこからまた講師の口でも探すのかなあと…

空を飛ぶ土竜
2週間前
31

第20話:昭和が終わった

昔、クラス通信に書いていたものを読み返していたらこんな記事があった。 なんだか読み返してみると歯の浮くような恥ずかしさも感じる文章だが、ここに留めてみたい。 昭…

空を飛ぶ土竜
3週間前
40

私が先生をちゃんと死なせます

昨年の8月の人間ドックを受けました。血液検査、腹部エコー、胸部レントゲン、胃のX線検査、すべて異常はないとのことでした。 もう15年以上毎夜、酒を飲み、煙草は40年…

空を飛ぶ土竜
4週間前
56

たんぽぽ

掌の内に小さき闇をあたためて組織に生きる日々こそ流離 かつてこんな歌を作りました。「流離」というのは「さすらい」とも読み、「他郷をさまよい歩くこと」です。手のひ…

空を飛ぶ土竜
1か月前
41

テレビ雑感

過去記事を加筆訂正しながら一つのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。記事にスキやコメントもいただいているので、…

空を飛ぶ土竜
1か月前
23

初桜

前回と似たような自分本位な記事で申し訳ありません。 3月は卒業式、離任式でいろんな方から花束をいただきました。 花束をいただいて 春のはぐれ雲 昨日は部活の生徒…

空を飛ぶ土竜
1か月前
40

さよならを空高く

今回の異動で転勤することになり、勤務も再任用のフルからハーフに切り替えるため、基本的にはテニスの指導から足を洗うことになりました。中学以来、考えてみれば50年間も…

空を飛ぶ土竜
1か月前
53

恩師?にインタビュー

教育学部に進学した教え子が「母校の恩師にインタビューして来い」というレポート課題を出されてやって来た。 先生の一日の過ごし方を教えてください。 あのね、僕はだい…

空を飛ぶ土竜
2か月前
46

山桜

山桜 ゆらり ゆらりと ゆらりと孤独

空を飛ぶ土竜
2か月前
36

「とみに」ってなに?

先日、部活動の引率でテニスの試合に行った時、女子生徒と他の選手の試合を見ながら、「あの選手は派手さはないが、プレーにそつがない。見習わないといけないね」と言った…

空を飛ぶ土竜
2か月前
31

バレンタインデーというブラックデー

過去記事を加筆訂正しながらひとつのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。 元記事にスキやコメントもいただいているので、こんな「妙な」元記事の再投稿になりますがよろしければお付き合いください。 なお、勝手なお願いで申し訳ありませんが、このページ自体は順次削除したいと思いますので、もしスキやコメントなどいただける場合には元記事にお願いできればと思います。 ちなみにマガジンはこちらです。

第50話:怠けることと誠実であること

全くの愚話である。 ウチのカミさんによると僕は「怠け者」であるらしく、その見解は僕が僕のことを誠実で几帳面な人間と考えていることと甚だしく食い違っている。 僕はこのカミさんと大学で知り合い、卒業後5年間の付き合いを経て結婚に至ったのだが、この5年間は静岡と神奈川で中距離?恋愛をしていたことになる。 ただ、その間、僕はカミさんにろくに手紙も書かず、自分からはほとんど電話も掛けずに済ませてしまった。 カミさんはやはり不安だったり怒りに駆られたりしていたらしく、ある時、業を煮

GWと僕の居場所

ゴールデンウイークが終わりました。 見事に爽やかな天候で、後半四日間は完全休養しました。 ここ御殿場では田植えも終わりました。 4日間もまるまる家にいるのは全くなかったことで、さぞかし心身が休まった!と言いたいところですが、なかなかそうでもありません。 昨年まで何十年もゴールデンウイークなど全く関係なく仕事をしていた心身が違和感を訴えて、のんびりできない自分に違和感を感じたりなどしまうのです。 カミさんにとっても僕が4日間も一日中家にいるということはなかなか経験のない

友人からの手紙

過去記事を加筆訂正しながらひとつのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。 記事にスキやコメントもいただいているので、こんな「妙な」元記事の投稿になりますがよろしければお付き合いください。 なお、まことに勝手なお願いで申し訳ありませんが、このページ自体は順次削除したいと思いますので、もしスキやコメントなどいただける場合には元記事にお願いできればと思います。 ちなみにマガジンはこちらです。

第40話:勉強って?

西日暑き土間の机に人向かふ垣間見しより何のあくがれ 自分の記憶に誤りがなければ、これは高安国世という歌人の歌である。 頃は夏の夕方、西陽がジリジリと照りつける中で、ある青年が土間に置かれた机に向かい一心不乱に書と向き合っている。作者はふと通り掛かってそれを見たのだろう。その光景に「この胸に起こる憧れは一体何か」と自問しながら一瞬立ちすくんで見たのである。 作者の感じたものが求めて得られなかったものなのか、失われたかつての自分の姿をそこに見たのか分からないが、学問に集中してい

第4話:おばあちゃん

おてんとうさま おてんとうさまに 恥ずかしくないように 生きなさい いつもおばあちゃんは そう言った ふと見上げると 頭の上には 青い空と ほっかりと おだやかな おてんとうさま 正しさとは 案外 そんなものなのかもしれない これもまた愚話である。 学生時代、ガラにもなく思いっきり贅沢をしてみたいと思うことがあった。別段これと言って深い理由があるのではなかったが、時としてほとんど衝動的にそんな思いに駆られることがあったわけである。 しかし金の無かった僕に許される

イタチ?フェレット?

昨年度末の人事異動で学校を変わりました。 勤務形態も再任用フルからハーフに変えました。65歳まであと2年こんな形で勤務して、そこからまた講師の口でも探すのかなあと思っています。 ハーフというのは文字通り半分の勤務で、朝から午後3時くらいの日が1日あるほかは、午前中の勤務が週3日、午後に2.5時間くらいの日が1日といった感じです。 授業はこの勤務時間の中で毎日2時間、1週間で計10時間を担当しています。受け持つのは2クラス(週5時間×2)のみです。 えっ、それだけって感じが

第20話:昭和が終わった

昔、クラス通信に書いていたものを読み返していたらこんな記事があった。 なんだか読み返してみると歯の浮くような恥ずかしさも感じる文章だが、ここに留めてみたい。 昭和の課題は解決されるどころか、平成を経て令和に至り、ますます複雑多岐、深刻化していると、読み返してみて思った。混迷する時代の中では、ますます「自分のことば」を持ち、追従や迎合を自分に戒める必要があるに違いない。 (土竜のひとりごと:第20話)

私が先生をちゃんと死なせます

昨年の8月の人間ドックを受けました。血液検査、腹部エコー、胸部レントゲン、胃のX線検査、すべて異常はないとのことでした。 もう15年以上毎夜、酒を飲み、煙草は40年間、コンスタントに一箱を吸い、日々はほとんど疲れ切ったボロ雑巾のように生きているのに。丈夫な体をくれた親に感謝したいと思います。 ただ、今回のカウンセリングの先生は呼吸器系の専門の先生で、こうも言われました。 「レントゲンで見る限り特別の異常は見えない。でも僕らの目で見ると肺が汚いと思う。この白い部分にガンが潜

たんぽぽ

掌の内に小さき闇をあたためて組織に生きる日々こそ流離 かつてこんな歌を作りました。「流離」というのは「さすらい」とも読み、「他郷をさまよい歩くこと」です。手のひらの中に「小さな闇」を忍ばせて組織という現実を生きることは「流離」である、みたいな内容です。ちょっと気取ってましょうか。 僕のように小さな人間は組織の中で、それに歩調を合わせて生きることはなかなか難しいのですが、それだけではなく、63歳にもなって転勤してそれまでの足場を失ってみると、生きにくかったのは組織のせいでは

テレビ雑感

過去記事を加筆訂正しながら一つのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。記事にスキやコメントもいただいているので、こんな「妙な」投稿になりますがよろしければお付き合いください。 なお、まことに勝手なお願いで申し訳ありませんが、このページ自体は順次削除したいと思いますので、もしスキやコメントなどいただける場合には元記事にお願いできればと思います。 マガジンはこちらです。

初桜

前回と似たような自分本位な記事で申し訳ありません。 3月は卒業式、離任式でいろんな方から花束をいただきました。 花束をいただいて 春のはぐれ雲 昨日は部活の生徒たちが送別会をしてくれ、今日は強風の中、最後の練習をしてきました。たくさんの餞の言葉をいただき、時を共に過ごすということの大切さを改めて感じました。 この子らと巡り会えたことを感謝したいと思います。 初桜 別れの言葉あたたかく 根拠もなく自分はまだまだ若いと思っていたのですが、生徒がこの1年の写真とビデオを

さよならを空高く

今回の異動で転勤することになり、勤務も再任用のフルからハーフに切り替えるため、基本的にはテニスの指導から足を洗うことになりました。中学以来、考えてみれば50年間もテニスに関わってきたなあと思ってみたりします。 まったくの個人的な感傷にすぎない記事で申し訳ありませんが、昨年4月、現在の3年生がインターハイ予選を迎える時に送ったラインのメッセージに、少し言葉と写真を足して、とりあえずこの学校での「自分の締め括り」を書かせていただきたいと思います。 試合当日の朝のメッセージなの

恩師?にインタビュー

教育学部に進学した教え子が「母校の恩師にインタビューして来い」というレポート課題を出されてやって来た。 先生の一日の過ごし方を教えてください。 あのね、僕はだいたい6時45分に起きて、7時に出勤するの。最近は早く目が覚めてしまうことが多いけど、起きていきなり朝ごはん、すぐ着替え。その間、15分。すごいでしょ。車に乗って50分くらい、混んでいると1時間以上かかる時もあるかなあ。 学校に着くとバタバタ新聞のコラムを切り取って印刷して各クラスに配布。8:15から打ち合わせ。続

山桜

山桜 ゆらり ゆらりと ゆらりと孤独

「とみに」ってなに?

先日、部活動の引率でテニスの試合に行った時、女子生徒と他の選手の試合を見ながら、「あの選手は派手さはないが、プレーにそつがない。見習わないといけないね」と言ったら、生徒にきょとんとされた。「そつがない」という言葉が未知との遭遇であったらしい。 同じ日、試合を終えたペアがアドバイスを聞きに来たので、あるミスを指摘し「君たちは最近そのミスがとみに多くなった」と言ったところ、二人はアドバイスの内容などそっちのけで「とみにって何?」と首をかしげあっている。 「君らは日本人か?」と問