第40話:勉強って?
西日暑き土間の机に人向かふ垣間見しより何のあくがれ
自分の記憶に誤りがなければ、これは高安国世という歌人の歌である。
頃は夏の夕方、西陽がジリジリと照りつける中で、ある青年が土間に置かれた机に向かい一心不乱に書と向き合っている。作者はふと通り掛かってそれを見たのだろう。その光景に「この胸に起こる憧れは一体何か」と自問しながら一瞬立ちすくんで見たのである。
作者の感じたものが求めて得られなかったものなのか、失われたかつての自分の姿をそこに見たのか分からないが、学問に集中してい