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土竜のひとりごと:カミさんに遺す僕の物語

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これまでに書き溜めたもの、このnoteの「土竜のひとりごと」に書いたものを整理してここに集めてみたいと思います。
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記事一覧

第53話:アリとキリギリス

本当のところはよくわからないが、最近の昔話は昔と随分様変わりしているらしく、例えば「桃太…

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第52話:トイレトレーニング

[子どもの成長の記憶と記録] 8月、2歳と8ケ月を迎えている亮太は、この夏が勝負とばかり…

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第51話:顔

愚話である。 当然の話だが、人間の顔というのは年を取るに連れて次第に変化して行く。大概の…

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第50話:怠けることと誠実であること

全くの愚話である。 ウチのカミさんによると僕は「怠け者」であるらしく、その見解は僕が僕の…

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第49話:歯医者さん

[子どもの成長の記憶と記録] この間、生徒が書いてくれた似顔絵を紹介したが、そう言えば昔…

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第48話:認識

[ 子育ての記憶と記録:1歳9か月 ] 1歳と9カ月を迎えているウチのガキこと亮太は、ただ今…

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第47話:親という夫婦

オヤジとオフクロは詰まらぬことでよくケンカをしていて、正月に帰省するたびに、それぞれがそれぞれの愚痴を僕らにのたまった。 聞いている僕らにとってそれは結構に辛辣な言葉として響く種類の「お言葉」なのだが、当の本人達は極めてあけすけに、何の陰気さもなく、お互いに聞こえようが聞こえまいが構わずに言いのけている。 息子たちやその嫁たちを媒介にして夫婦喧嘩などしなくてもよいとは思うのだが、そういう大人げないオヤジやオフクロをほほえましく見ながら、僕らは正月を過ごすことになる。 例

第46話:黄金バッド

僕のオモチャに関する記憶はオヤジが黄金バットの人形を買って来てくれたことに始まる。金色に…

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第45話:酒と仲間と春の夢

これはひょっとすると前話の続きかもしれない。 まだ20代だった頃、新設校に勤めたことがあり…

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第44話:教員住宅のノンベーたち

教員というのは儲からない商売で、平日は学校で残業しても家で徹夜をしても1円の手当もつかな…

空を飛ぶ土竜
10か月前
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第43話:自分という死角

愚話である。 学生時代、僕はテニスをしていたのだが、年に4回の合宿、遠征などを合わせると…

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第42話:視点

ある同僚に聞いた話であるが、北海道の人が静岡に来てまだ間もない頃、何でもゴキブリを見て「…

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第41話:友人からの手紙

大学の同期に妙な奴がいて、彼は高校卒業後、就職し、5年間勤めた後に大学に入って来た。そこ…

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第40話:勉強って?

西日暑き土間の机に人向かふ垣間見しより何のあくがれ 自分の記憶に誤りがなければ、これは高安国世という歌人の歌である。 頃は夏の夕方、西陽がジリジリと照りつける中で、ある青年が土間に置かれた机に向かい一心不乱に書と向き合っている。作者はふと通り掛かってそれを見たのだろう。その光景に「この胸に起こる憧れは一体何か」と自問しながら一瞬立ちすくんで見たのである。 作者の感じたものが求めて得られなかったものなのか、失われたかつての自分の姿をそこに見たのか分からないが、学問に集中してい