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日本語雑話

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嘘かも本当かもしれない話:Re

嘘かも本当かもしれない話:Re

油断一秒怪我一生ということばがある。
このことばに関して、かつてこんな話が新聞に載っていた。中国の視察団か何かが日本を訪問し、ある工場を訪れたところ、この標語が壁に貼ってあった。これを見た視察団の一行はエラク驚いたのだそうである。
「日本人は恐ろしいほどの働き者である。これだから凄まじい急成長を遂げたのだ」と。

我々にとっては、危険と隣り合わせの工場で怪我をしないために一秒の油断を戒めたこのこと

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かうかう・しんしんって何だろう?

かうかう・しんしんって何だろう?

横浜の濃き街の色思ふときかうかうとして熱きくちびる

これは20代半ば、当時、横浜にいたカミさんと付き合っていた頃の歌がメモに残っていたので引っ張り出してみました。
「熱きくちびる」としか言っていないのですが、ちょっと恋のにおいが感じられたりする?でしょうか。あまり深入りしたくないですが、そんな時代もあったなあ、みたいなことを思ってみたりします。

自分で使っておきながら「かうかう」って何だろう?

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老いらくの恋

老いらくの恋

例によって遠回りになるが、つまらないことが気になることがあって、ある時「国語辞典の一番最後に挙げられている語は何だろう」と、ふと思った。

五十音の一番最後はご存知のように「ん」。
「ん」から始まる自立語は存在しないわけで、しりとりをしたとき「ん」がつくと負けになるが、辞書には「ん」で始まる語が載せられている。

■『広辞苑』(第4版)では、「ん」に関する項目は次の7項目。

1.「ん」(文字とし

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「あつい」という漢字

「あつい」という漢字

毎日、暑い日が続き、ウチの猫もお疲れ気味。暑くなると家の中に戻ってるのはご飯のときくらい。
昨日は寝る時に外に出て見ると、カミさんが丹精した花の陰で、小さなレンガを枕に寝ていました。

この間、青いワイシャツを着て授業をしたら、汗がワイシャツに滲み出て、肩から脇から濡れ濡れ状態だったのを、次に行ったクラスの連中が「なんじゃそれ」みたいに笑いやがったので、

おまえたちは、座って寝てればいいかもしれ

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たにんごと?

たにんごと?

みなさんは、「大地震」「神戸牛」を何と読みますか?

僕にとって「大地震・大舞台」は「だいじしん・だいぶたい」だったのですが、「おおじしん・おおぶたい」と聞くことが多くなり、ちょっと違和感なのです。

たぶん、「音読みの漢語と結びつくものは音読みで読む」という小さい頃に教育された?単純な原則に僕の単純な頭が違和感の原因のようで、「日常に溶け込んで日常の言葉として和語化したものは「おお」と読むことの

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雪が降ってる

雪が降ってる

今日、生徒に「完了」って何かと聞かれた。

古典では文法的に正しくヨムことを半ば教養?として強要するが、そうすると文法に囚われて、真面目な生徒ほど、「完了」なら「~してしまった」と訳さなければならないという迷路にはまり込んだりしてしまう。

そこで、こんなことを言ってみた。

例えば、

「あ!雪が降ってる」

この表現が表す状態には、実は二つのケースがある。
ひとつは、「今、雪が降っている」とい

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女子という言葉

女子という言葉

最近テレビなどで結構いい大人が「女子」という言葉を使っているのを耳にすることが多く、気になる。

僕のイメージの中の「女子」は、例えば学校で使われる言葉で、対象としても、その年代の女の子を指すという漠然とした感じ。

ただ、例えば『日本国語大辞典』を引いてみると、
①おんなのこ。むすめ。にょし。
②おんな。婦人。婦女。女性。
とあって、確かに「女の子」だけの意味ではないことが分かる。

そう思って

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ら抜き言葉

ら抜き言葉

※「高校生に語る」ものだとご承知ください。

今日、「それ食べれる?」と言っている自分を発見し「おお意外と『ら抜き言葉』を使ってるじゃん」と、ちょっとショックを感じてみたりしました。

一時期、「ら抜き言葉」は随分騒がれましたが、今ではもう話題にすらならないといった感があります。もうすっかり市民権を得た?のであって「ら抜き言葉」を使っている自分に驚いているようでは時代遅れなのかもしれません。

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短い会話

短い会話

聞きかじった話です。

世界一短い手紙は、ヴィクトル・ユーゴーが「レ・ミゼラブル」の売れ行きを出版社に尋ねた
「?」
に対して、
出版社が返事をした
「!」
というやりとりだと言われています。

日本で少し応用してみると、
「る?」
「る!」
「る」は動詞の語尾ですから、あらゆる動詞をあてはめることができます。正面切って言いたくないようなときには、ちょっと気のきいたいい表現かもしれません。
例えば

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受験の忌み言葉

受験の忌み言葉

忌み言葉っていうのがありまして、結婚式のとき、去るとか、切るとか、戻るって使っちゃいけないんです。 結婚がすぐに破綻するようなイメージがあるからです。披露宴のが終わるのを「お開き」って言うのも同じです。

他にも、スルメを「アタリメ」と言ったり、梨の実を「ありの実」と言ったりします。大学のとき、試合前の合宿で某先輩は、合宿中は「爪を切らないんだ」と言っていました。「詰めが甘くなる」からだそうです。

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近江と遠江

近江と遠江

以前に「遠江」は何故「とーとーみ」と読むのか、あるいは「とーとーみ」と発音されるのに「とおとうみ」と表記されるのは何故かという疑問を提示されていた方がいたのを、前回、五十音の話を書きながら思い出し、それについて調べたことを書いてみたい。
ただ、音の話を文字で書くのも難しく、根本的には国語学に精しいわけでもないので、どうせ素人の浅知恵で、本当かどうか疑わしいくらいのイメージでお読みいただければと思い

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高校生に話す50音の話

高校生に話す50音の話

今日はちょっと「音」の話をします。「おっと」(実はダシャレ)いきなり嫌な顔をしましたね。知らなくても問題ない・・?そうですね。でも、無駄も大事なんですよ。

■ガ行鼻濁音

最初に質問しますが、
カ・キ・ク・ケ・コ
ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ
の音の違いを説明できますか。
そう、カ・キ・ク・ケ・コ は清音、ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ を濁音です。
では、パ・ピ・プ・ぺ・ポ を何と言うか知っていますか。知らないで

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助詞と女子に注意したい

助詞と女子に注意したい

日本語の助詞はたった一字であるのにそれこそ微妙なニュアンスを見事に表すものである。例えば俳句をやる人は17音しかない中で助詞ひとつにも相当に気を使うと言う。

先日、嵐の櫻井君と相葉君が結婚というニュースがあって、えっそれって櫻井君と相葉君、二人が結婚したの?と一瞬思った方がいるかもしれない。

部活の練習中に雨が降り出したため、最後に風邪をひかないよう、頭を良く拭くようにと言ったところ、髪を拭く

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格助詞の僕とブタの物語

格助詞の僕とブタの物語

意味不明と思われると思いますが、遊んでいると思ってください。
古典の格助詞を用法ごとに、僕とブタの物語として現代語に置き換え、創作したものです。

ブタがいる

僕の愛するブタ
ブタの名前は花子
ブタの花子が昼寝している
このブタは僕のだ

大学でブタの生態を学ぶ
大学を出る
卒業しわが道を行く

北海道に出張する
夕方になる
札幌に着いた
思いがけず、花子に会う
恋仲になる
食事に行く
美しさに

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