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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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記事一覧

「遊ぶ」って、どんな字?

「遊ぶ」って、どんな字?

一昨日の授業で漢文の反語を扱ったのでありましたが、「遊」という字を間違えて黒板に書いてしまったのでありました。

ショックでした。

『文選』所収の古詩に「人生は短い。春の夜も短い。憂いを忘れて楽しむべきだ」と詠んだ詩があって、その中の句に

何 不 秉 燭 遊 

があります。
訓読すると「何ぞ燭を秉りて遊ばざる」。
「どうして灯火を手に取ってこの春の夜を楽しまないの?いや存分に楽しもうよ」くら

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バレンタインデーというブラックデー

バレンタインデーというブラックデー

過去記事を加筆訂正しながらひとつのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。
元記事にスキやコメントもいただいているので、こんな「妙な」元記事の再投稿になりますがよろしければお付き合いください。

なお、勝手なお願いで申し訳ありませんが、このページ自体は順次削除したいと思いますので、もしスキやコメントなどいただける場合には元記事にお願いできればと思います

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第50話:怠けることと誠実であること

第50話:怠けることと誠実であること

全くの愚話である。

ウチのカミさんによると僕は「怠け者」であるらしく、その見解は僕が僕のことを誠実で几帳面な人間と考えていることと甚だしく食い違っている。

僕はこのカミさんと大学で知り合い、卒業後5年間の付き合いを経て結婚に至ったのだが、この5年間は静岡と神奈川で中距離?恋愛をしていたことになる。
ただ、その間、僕はカミさんにろくに手紙も書かず、自分からはほとんど電話も掛けずに済ませてしまった

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GWと僕の居場所

GWと僕の居場所

ゴールデンウイークが終わりました。

見事に爽やかな天候で、後半四日間は完全休養しました。

ここ御殿場では田植えも終わりました。

4日間もまるまる家にいるのは全くなかったことで、さぞかし心身が休まった!と言いたいところですが、なかなかそうでもありません。
昨年まで何十年もゴールデンウイークなど全く関係なく仕事をしていた心身が違和感を訴えて、のんびりできない自分に違和感を感じたりなどしまうのです

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友人からの手紙

友人からの手紙

過去記事を加筆訂正しながらひとつのマガジンに整理を試みています。その中で割と自分が好きな記事を再掲してみたいと思います。
記事にスキやコメントもいただいているので、こんな「妙な」元記事の投稿になりますがよろしければお付き合いください。

なお、まことに勝手なお願いで申し訳ありませんが、このページ自体は順次削除したいと思いますので、もしスキやコメントなどいただける場合には元記事にお願いできればと思い

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第40話:勉強って?

第40話:勉強って?

西日暑き土間の机に人向かふ垣間見しより何のあくがれ

自分の記憶に誤りがなければ、これは高安国世という歌人の歌である。
頃は夏の夕方、西陽がジリジリと照りつける中で、ある青年が土間に置かれた机に向かい一心不乱に書と向き合っている。作者はふと通り掛かってそれを見たのだろう。その光景に「この胸に起こる憧れは一体何か」と自問しながら一瞬立ちすくんで見たのである。
作者の感じたものが求めて得られなかったも

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第32話:命の摂理

第32話:命の摂理

退職者を祝う宴のたけなわ。

退職者の一人である老教師が
「皆さん、聞いて下さい」
と、突然席を立って大きな声で言った。

一同、静まりそちらに注目すると、

皆さん、私は長年かかって人間が癌に冒される仕組みを解明しました。
それをご披露したいと思います。

そう、老教師は言った。

物理を専門とする教師だった。
どちらかと言えば目立つところのない、
風変わりなところのある人で、
それゆえ一部の若

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第35話:壁

第35話:壁

人間というやつは不思議なもので、海に向かって浜辺に立つと必ず石を手に取って海に投げ込もうとする。どういう習性に基づいた行為なのか知らないが、それは毎日誰かの手によってなされているに違いない。
人類が発生してからかなり長い年月が経った訳だが、こんなに石を投げ込まれて、それでも埋まってしまわない海ってやつも、こう考えると感動に値する何かなのかもしれない。
ご多分に漏れず僕も大概は石を投げ込む。無論、理

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第4話:おばあちゃん

第4話:おばあちゃん

おてんとうさま

おてんとうさまに
恥ずかしくないように
生きなさい

いつもおばあちゃんは
そう言った

ふと見上げると
頭の上には
青い空と
ほっかりと
おだやかな
おてんとうさま

正しさとは
案外
そんなものなのかもしれない

これもまた愚話である。

学生時代、ガラにもなく思いっきり贅沢をしてみたいと思うことがあった。別段これと言って深い理由があるのではなかったが、時としてほとんど衝動的

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イタチ?フェレット?

イタチ?フェレット?

昨年度末の人事異動で学校を変わりました。
勤務形態も再任用フルからハーフに変えました。65歳まであと2年こんな形で勤務して、そこからまた講師の口でも探すのかなあと思っています。

ハーフというのは文字通り半分の勤務で、朝から午後3時くらいの日が1日あるほかは、午前中の勤務が週3日、午後に2.5時間くらいの日が1日といった感じです。
授業はこの勤務時間の中で毎日2時間、1週間で計10時間を担当してい

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第29話:親友の死

第29話:親友の死

克彦が死んだ日
僕は妻と芝居を見に出掛けた
訃報を受け取った時泣きじゃくっていた妻は
芝居に行く道の車の中では
明るく 芝居の粗筋など僕に聞かせたりした
妻が僕の気持ちをどう考えているのか
僕にはよく解らなかったが
話題に克彦をのせない妻に全てをまかせたまま
芝居を観てそれなりに笑い
それなりに拍手などして
帰る車の中でも 流行の歌など聞きながら
お互い 克彦のことには
一言も触れずにしまった

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第28話:正座

第28話:正座

これも愚話にすぎない。

日本には「正座」という文化?があって、いかにも「正しい座」としての地位に君臨している感がある。それは確かにそうではあるのだろうが、高校生時分までの僕らにとっては、悪いことをした「罰」として「正しさを強制させられる」苦い苦い思い出の位置に君臨していたような気がする。

正座の効用について寺の住職をしていた高校時代の倫理の先生に聞いてみたところ、彼は実際に机の上に座ってみせて

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第20話:昭和が終わった

第20話:昭和が終わった

昔、クラス通信に書いていたものを読み返していたらこんな記事があった。

なんだか読み返してみると歯の浮くような恥ずかしさも感じる文章だが、ここに留めてみたい。
昭和の課題は解決されるどころか、平成を経て令和に至り、ますます複雑多岐、深刻化していると、読み返してみて思った。混迷する時代の中では、ますます「自分のことば」を持ち、追従や迎合を自分に戒める必要があるに違いない。

(土竜のひとりごと:第2

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私が先生をちゃんと死なせます

私が先生をちゃんと死なせます

昨年の8月の人間ドックを受けました。血液検査、腹部エコー、胸部レントゲン、胃のX線検査、すべて異常はないとのことでした。

もう15年以上毎夜、酒を飲み、煙草は40年間、コンスタントに一箱を吸い、日々はほとんど疲れ切ったボロ雑巾のように生きているのに。丈夫な体をくれた親に感謝したいと思います。

ただ、今回のカウンセリングの先生は呼吸器系の専門の先生で、こうも言われました。
「レントゲンで見る限り

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