マガジンのカバー画像

父上との思い出

10
今は亡き最愛の父が登場するnoteをまとめてみました。
運営しているクリエイター

記事一覧

父上を捜せ!

父上を捜せ!

午前8:55くらいだったと思います。

洗濯機を回しつつ一階に掃除機をかけようとしていると、85歳の父上が「信金と郵便局に行ってくる」と言い残し、一人で出掛けて行きました。

掃除機をかけ洗濯物を干し終えて居間に戻ると、母上が「お父さんがまだ帰って来ない」と言うので、時計を確認すると9:50を回っていました。

信金と郵便局をハシゴしたとしても、さすがに1時間はかかり過ぎだろうと心配になり、様子を

もっとみる
ぽち袋

ぽち袋

私が「ぽち袋」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、お年玉。

ほんの気持ちとか、何かのお礼とか、立て替えてもらってたお金をお返しする時などにも使いますけども。

でも最たる用途は、なんたってお年玉ですよ、ええ。

私には中3になる姪っ子がいるのですが、数年前の年始に母親(私の姉)と共に、我が家に挨拶に来てくれたのですよ。

事前に家族会議を開き、お年玉の額を決め、用意しておいたぽち袋を両親と兄上にも

もっとみる
新型コロナウイルス感染症で逝った父と私たち家族が直面したこと

新型コロナウイルス感染症で逝った父と私たち家族が直面したこと

新型コロナウイルス感染症。

日本でも、徐々にマスクを外せる状態になりつつあります。

感染しても軽症、あるいは無症状で済む方も少なくありません。

けれど。

もしも大切な家族や親類、友人が感染し、重症化したら…。

父を亡くした私は、とても後悔しています。

(同じような思いを、もう誰にもしてほしくない)

父が新型コロナウイルス感染症に罹患し、小さくなって自宅に帰ってくるまでの経緯を、時系列

もっとみる
ヤケドの痕を見るたび思うこと

ヤケドの痕を見るたび思うこと

生後11ヶ月の時、左の二の腕にヤケドをしまして。

もちろん、その時の記憶は全くないのですが。

両親がちょっと目を離した隙に、淹れたて熱々のコーヒーを自らひっくり返してかぶっちゃた、という。

尋常ではない私の泣き声が居間から聞こえてきて、母上は「コーヒーだ!」とすぐに察したそうです。

手当てをしてくれたお医者先生からは

「年頃になれば、痕も消えますから大丈夫ですよ」

と言われたらしいので

もっとみる
プロの坊さん

プロの坊さん

夕食後、いつものようにテレビに背を向けた状態で椅子に腰掛け、スマホをいじっておりましたら、民放のニュース番組を観ていた父上が、こんなことを言いました。

「プロの坊さんか。珍しいなあ!」

それを聞いた私、

「お坊さんにプロもアマもないでしょ」

すると父上、

「違う!プロの坊さんは珍しいっていう話だ!」

「…?」

話が噛み合わず、身体を捻ってテレビ画面に目をやると、

『風呂伸雄さん』と

もっとみる
父の中では紛れもない事実

父の中では紛れもない事実

病院帰りのタクシーの中。

横断禁止の道路で、自転車に乗った若い女性がビュン!と車の前を横切った。

「危ないなあ!」

父が思わず声を上げると、運転手さんが

「ああいうのはホント、参りますよ〜」

「でしょう?轢いたら車が悪くなっちゃうんだから、堪らないよねぇ」

ここ数年、通院と床屋くらいしか積極的に外出しない父が、他人相手に珍しく饒舌に。

「高齢ドライバーの事故とか増えてるでしょ?アタシ

もっとみる
大事な話は人任せにせず、全力で聞くべし!

大事な話は人任せにせず、全力で聞くべし!

さて、7年前に大きな手術を受けたワタクシの父上でございますが。

今回は、それにまつわるエピソードをお話ししたいと思います。

手術前にお医者先生から、家族に話があるとのことで、姉上A(長女)も来てくれまして。

前回の説明の時はワタクシだけだったのですが、やはり不安といえば不安だったので、心強かったです。

内容は、ザックリとした手術の説明と、手術日、おおよその費用等について。

前回とさほど変

もっとみる
アツすぎたファンレター

アツすぎたファンレター

 何を隠そう私は、Sという俳優の大ファンである。

 ファン歴十数年、彼の出演作品はもれなくチェック。

映画の舞台挨拶には様々な手を使い、連続で三回も行った。

冬に控えた主演舞台のチケットも、もちろん押さえてある。

 彼のファンになって半年ほど経ったある日の夜、アツイ想いを伝えるべく、人生初のファンレターを書いた。

 軽い自己紹介から始まり、出演作品への感想、どれほど彼のことを想っているか

もっとみる
旅立った父へ

旅立った父へ

noteにはなるべく明るいことを書こうと決めていましたが、気持ちの整理がつかないことがあり、やはり書いておこうと思います。

私の父は、昨年9月に入所していた老健施設内で起きたクラスターにより、新型コロナウイルス感染症に罹患し、肺炎と心不全で亡くなりました。

その7ヶ月前の2月に、特殊なカビが肺の中に入ることにより発症する、ニューモシスチスカリニ肺炎で入院。

かなりの高熱が続きましたが、コロナ

もっとみる
使えないのは自分の脳みそ

使えないのは自分の脳みそ

7年ほど前に百均で買った折り畳み式ピンチハンガーが、壊れました。

「ピンチハンガーって、なんぞ?」

という、ピンと来なかったそこのアナタ!!

何だか仲良くなれそうです。

というのも、その壊れたモノを何と言い表すのかが分からず、ググったのですよ。

角ハンガーとか室内干しハンガーという言い方もあるらしいのですが。

ココはカッチョよく、横文字で表してみました。

洗濯バサミがたくさんぶら下が

もっとみる