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1-5*作品制作の動機|1章 はじめに|ニューロマン都会編

私を救ってくれた昭和らしいコミュニケーション。
そして高度経済成長期に作られた素晴らしいデザインや音楽たち。
それらはすべて現代における過剰な大量生産・大量消費によって失われていったものだった。

今日より明日がもっと良くなると誰もが信じていたという高度経済成長期に憧れている。しかし、過去が良かったとするのならば、私たちが生きる未来は今日より明日がもっと悪くなるばかりだということになるだろう。

私はこのような現代社会に異議を唱えるべく、高度経済成長期以降の過剰な大量生産・大量消費に対する問題提起と提案をテーマとした美術作品を制作し、発表することにした。
過剰な大量生産とは、大量生産の恩恵を受けて安定した品質の商品が広く一般に普及した以降に、更なる消費を生み出すために生産される商品のことを指す。例えば衣料品のスウェットショップ、食物の大規模大量生産など問題は多くの分野にわたる。

しかし、これらは過剰な大量生産を促進する生産者のみの問題ではなく、そのように生産された商品を購入する消費者との需要と供給があって成立している。消費者自身の選択の基準を変える事が出来なければ、過剰な大量生産・大量消費の負のスパイラルから抜け出す事はできないだろう。
私自身も同じ時代に生き、都会で暮らし、時にはファストファッションを利用し、スーパーで安価に販売されている大規模大量生産された肉や野菜を日常的に購入している消費者のひとりだ。

これらの問題を一つずつ見つめ直し、生涯をかけて同時代におけるライフスタイルの提案をしていくのが「ニューロマン」という表現方法である。作品制作を含む自身のライフスタイルの生活と芸術の一致を目指し、人生の再現ドラマとしてアーカイブする。ドラマは誕生から現在までを「都会編」とし、以降「国際編」「移住編」と続いていく。

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