池田 和正

Men’s Bigi,LEGO,Amazonを経て、現在はキャリア・コンサルタント。音…

池田 和正

Men’s Bigi,LEGO,Amazonを経て、現在はキャリア・コンサルタント。音楽と映画を中心に書いています。

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固定された記事

レオス・カラックス以来、「Modern Love」で走る。~フランシス・ハ /ノア・バームバック監督(2013)

ノア・バームバックという名前は、以前より気になっていたのですが、ふとしたことから、彼の作品Netflix配信の「マリッジ・ストーリー」が作品賞など多くのアカデミー賞に…

池田 和正
1か月前
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ファスビンダーのケレル/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1982)

ファスビンダーの遺作。 70年代後半にヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィム・ヴェンダースとともにジャーマン・ニューシネマの旗手として日本に紹介されました時には、人間を…

「マイネーム・イズ・ジョー」/ケン・ローチ(1998)

アルコール依存症だった男が断酒会で自分の体験を話すシーンから始まる映画。 主人公は37歳で失業中。回復して今は飲酒していないといえども、若くして無職であることの…

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ハッピー・アワー/濱口竜介(2015)

 世界三大映画祭受賞は黒澤明監督以来と騒がれていますが、まだ一般的に彼の名前がメデイアによく出るようになったのは、アカデミー賞受賞の「ドライブ・マイ・カー」から…

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悪は存在しない(Evil Does Not Exist)         /濱口竜介監督作(2024)

「ドライブ・マイ・カー」で実現されたコラボレーション。この作品でも音楽を担当する石橋英子さんによるライブ時に流す映像の依頼から始まったと言われる作品。 「ワン・…

池田 和正
11日前
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Live At WCOZ ‘77 /Talking Heads

RSDに45回転2枚組仕様で出たライブ。 元々「実況録音盤The Name Of The Band Is Talking Heads 」の中で一部が聴かれたものの完全版。 彼らのデビューアルバムを発表した…

池田 和正
11日前

悪魔のシスター/ブライアン・デ・パルマ(1972)

今日は早く目が覚めたので朝からスリラー。 デ・パルマってどうしてもヒッチコックの話が出てくるわけで、リアルタイムで観た「殺しのドレス」もヒッチコックを意識して観…

池田 和正
12日前
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Lost Angels ~The Genius Of Judee Sill

アメリカ各地で限定公開されていたJudee Sillのドキュメンタリー。ずっと観たかったのですが、ついにDVD化という事でRecord Store Day に出るとの告知を見つけたもの日本で…

池田 和正
2週間前

「やさしくキスをして Ae Fond Kiss」 / ケン・ローチ Ken Loach(2004)

主人公の男性であるパキスタンからの移民2世がDJとしてクラブでバングラビート(パキスタンの民族音楽”バングラ(パーティ音楽)“からとられた)をかけるシーンに続き、…

池田 和正
3週間前

ザ・クラッシュ 「サンディニスタ!」+ケン・ローチ「カルラの歌」

「ロンドン・コーリング」に続いて発売されたクラッシュの4枚目のアルバム「サンディニスタ!」は、レコード3枚組の超大作で、ロックン・ロール、レゲエに加え、ダブ、R&B…

池田 和正
3週間前
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「ペトラ・カン・フォントの苦い涙」 ライナー・ヴェルナー・ファスピンダー 監督作品「苦い涙」フランソワ・オゾン監督作品

大好きなファスビンダーの作品「ペトラ・カン・フォントの苦い涙」は昨年、菊川のストレンジャーで観たのが初めてでしたが、この作品をオゾン監督がリメイクした「苦い涙」…

池田 和正
2か月前
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王国(あるいはその家について) 草野なつか監督 2018年作品

英ガーディアン紙・英国映画協会〈BFI〉による年間ベスト作品に選出された日本映画ということで、気になっていた映画。 ガーディアンというのは、元々は、マンチェスターで…

池田 和正
2か月前
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Reverberations (Travelling In Time) BBC Radio Sessions & Creation Singles 1985-86 / Primal Scream

最近はフランスのラグジュアリーブランドChanel のマンチェスターでのショーに登場し、今でもメジャー/マイナーの垣根を飛び越えた活躍のPrimal Scream/Bobby GillespieがJ…

池田 和正
2か月前

Meshell Ndegeocello~at Billboard Live Tokyo 2024.02.14

Funk、Jazz、HipHop、R&B、アフロビートなど様々なジャンルを横断し、唯一無比の世界を作ってきたマルチアーティスト/ベーシスト、ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndeg…

池田 和正
2か月前
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「Stop Making Sense」4Kリストア版@IMAXシアター

約40年振りに観ました。83年作ですが、僕が見たのは、85年。レイト・ショーのみの公開でした。 当時は、メンズ・ビギがプロモーションをサポートしており、店舗にも大きな…

池田 和正
3か月前
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古澤健監督『STALKERS』

Stranger 映画館で古澤健監督の「Stalkers」を観た。 支配人の岡村忠征さんが昨年のベストワンに推す映画であり、彼がStrangerの運営から1月末で離れるとの事で、そのフィ…

池田 和正
3か月前
固定された記事

レオス・カラックス以来、「Modern Love」で走る。~フランシス・ハ /ノア・バームバック監督(2013)

ノア・バームバックという名前は、以前より気になっていたのですが、ふとしたことから、彼の作品Netflix配信の「マリッジ・ストーリー」が作品賞など多くのアカデミー賞にノミネートされたと聞いて、まず彼の代表作「『イカとクジラ』(The Squid and the Whale)」を見ることに。映画のタイトルは、離婚を巡って争う男女のメタファーらしく、かつ監督の実体験はベースにあるそうですが、ニューヨークは、ブルックリンを舞台にしたこの映画、ピンクフロイドの「Hey you」を息子

ファスビンダーのケレル/ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー(1982)

ファスビンダーの遺作。 70年代後半にヴェルナー・ヘルツォーク、ヴィム・ヴェンダースとともにジャーマン・ニューシネマの旗手として日本に紹介されました時には、人間を超えたディモニッシュなものを描いたヘルツォーク、ロードムービーのイメージのヴェンダースに比べファスビンダーをいまいち掴めなかったのですが、少なくとももっとアンダーグランドでロックな感触を感じていました。 この映画を観たのは新宿歌舞伎町に会った今はなき、とうきゅうシネマスクエア。 黄色と夕焼けのオレンジの砂糖が解けで、

「マイネーム・イズ・ジョー」/ケン・ローチ(1998)

アルコール依存症だった男が断酒会で自分の体験を話すシーンから始まる映画。 主人公は37歳で失業中。回復して今は飲酒していないといえども、若くして無職であることの恥辱や不安、まだ完治していないのではないかと思われる落ち着きのなさ、そしてそもそもの気質としての直情性、世間知らず、過剰なまでの面倒見の良さというローワークラス的なキャラクターを主演のピーター・ミュランが演じます。 音楽の扱いもポイントで、仲良くなったケースワーカーの女性との食事の会話は「アーティスト当てクイズ」

ハッピー・アワー/濱口竜介(2015)

 世界三大映画祭受賞は黒澤明監督以来と騒がれていますが、まだ一般的に彼の名前がメデイアによく出るようになったのは、アカデミー賞受賞の「ドライブ・マイ・カー」からですが、現在公開中の「悪は存在しない」の美しさと凄みを考えるとどうしても観たかったのが、演技未経験の4人の女性遠主役に据えた5時間17分の長尺作品「ハッピー・アワー」  映画が始まると突然、ゴダールの映画に出て来そうな抜けた青空、リヴェットやロメールを思わせるぎこちなさ、恥じらい、即興的演技や素人ぽさ、トンネルという異

悪は存在しない(Evil Does Not Exist)         /濱口竜介監督作(2024)

「ドライブ・マイ・カー」で実現されたコラボレーション。この作品でも音楽を担当する石橋英子さんによるライブ時に流す映像の依頼から始まったと言われる作品。 「ワン・プラス・ワン」を想起させる配色のタイトルにジャズのドラムロールと60年代のジャン・リュック・ゴダールを感じるのも束の間、カメラは森に深く入りアンドレイ・タルコフスキー監督の「ノスタルジア」や北欧の冬やECMレーベルのジャケットくらいしか見た事もないほど美しい自然が映し出されます。  コロナ禍のあおりで経営難に陥った企業

Live At WCOZ ‘77 /Talking Heads

RSDに45回転2枚組仕様で出たライブ。 元々「実況録音盤The Name Of The Band Is Talking Heads 」の中で一部が聴かれたものの完全版。 彼らのデビューアルバムを発表した後の時期ライブだと思われ、収録曲もセカンドアルバムで発表されるものまで。Davidの変な歌とJerryの変な音をChrisとTinaのリズム隊が支えるという構造で、無名時代なので、曲名の紹介から演奏が始まります。 最近公開された4K版「Stop Making Sense 」

悪魔のシスター/ブライアン・デ・パルマ(1972)

今日は早く目が覚めたので朝からスリラー。 デ・パルマってどうしてもヒッチコックの話が出てくるわけで、リアルタイムで観た「殺しのドレス」もヒッチコックを意識して観てしまったわけですが、今回はその辺は忘れて観るようにしました。如何わしさの極みのような医師役のウィリアム・フィンレイ。カナダはケベック州出身のフランス語訛りの英語を話すモデルで双子役のマーゴット・キダー。血糊や精神を保つためにヒロインが服用するピルの「赤」、怪しいアフリカン・クラブ、美しくも屠殺用のように家庭用としては

Lost Angels ~The Genius Of Judee Sill

アメリカ各地で限定公開されていたJudee Sillのドキュメンタリー。ずっと観たかったのですが、ついにDVD化という事でRecord Store Day に出るとの告知を見つけたもの日本では入荷予定はなさそうなので、USから。国内DVDプレーヤーでは視聴できないので、仕入れなかったんだと思います。  バーを経営していた最愛父の死(彼女は子供の頃からバーのピアノを弾いていた)、継父との不仲、ドラック中毒、逮捕を経て、アサイラムの第一弾アーティストとして契約。レーベルメイトであ

「やさしくキスをして Ae Fond Kiss」 / ケン・ローチ Ken Loach(2004)

主人公の男性であるパキスタンからの移民2世がDJとしてクラブでバングラビート(パキスタンの民族音楽”バングラ(パーティ音楽)“からとられた)をかけるシーンに続き、その妹が学校で同級生たちを前にして、話すシーンから始まります。 「私がブッシュ大統領も法王も道路掃除人も一緒くたにしたら笑われるでしょう。 ありえませんから。 でも西欧は同じ事をしています。50ヵ国10億人のイスラム教徒を一緒くたにしているんです。私の姉は敬虔なイスラム教徒ですが、肌が黒いから黒人だと言います。

ザ・クラッシュ 「サンディニスタ!」+ケン・ローチ「カルラの歌」

「ロンドン・コーリング」に続いて発売されたクラッシュの4枚目のアルバム「サンディニスタ!」は、レコード3枚組の超大作で、ロックン・ロール、レゲエに加え、ダブ、R&B、カリプソ、ゴスペルなど音楽の幅が飛躍的に広がると共に、散漫な印象を与えてしまい収集がつかなくなったような作品という当時の評価でした。 最近、新たにこの作品が気になって、当時の社会情勢を調べながら、聞き直し、歌詞を読んでみると、その幅広いジャンルにまたがった音楽で、ジョーストラマーとクラッシュが伝えたかったことが

「ペトラ・カン・フォントの苦い涙」 ライナー・ヴェルナー・ファスピンダー 監督作品「苦い涙」フランソワ・オゾン監督作品

大好きなファスビンダーの作品「ペトラ・カン・フォントの苦い涙」は昨年、菊川のストレンジャーで観たのが初めてでしたが、この作品をオゾン監督がリメイクした「苦い涙」公開された年でした。 「ペトラ・カン・フォントの苦い涙」ライナー・ベルダー・ファスビンダー監督作品 2度の離婚に失敗し落ち込むもののビジネスでは、成功を収めているファッションデザイナー  ペトラ・カン・フォントは自宅兼アトリエで、奴隷のように使うアシスタントと住んでいたが、 友人が連れてきた若い女性に惹かれ、一緒に住

王国(あるいはその家について) 草野なつか監督 2018年作品

英ガーディアン紙・英国映画協会〈BFI〉による年間ベスト作品に選出された日本映画ということで、気になっていた映画。 ガーディアンというのは、元々は、マンチェスターで刊行された、近年、名匠マイク・リーも映画化した「ピータールーの虐殺」と言われる民衆弾圧事件も取材した、中道左派・リベラル寄りの新聞で、音楽の情報も多く(Haward DevoteやMicheal Headの特集も読んだことがあります)、イギリスに滞在したときは、ガーディアンとフィナンシャル・タイムズはよく買って読ん

Reverberations (Travelling In Time) BBC Radio Sessions & Creation Singles 1985-86 / Primal Scream

最近はフランスのラグジュアリーブランドChanel のマンチェスターでのショーに登場し、今でもメジャー/マイナーの垣根を飛び越えた活躍のPrimal Scream/Bobby GillespieがJesus &The Mary Chainのパート・タイム ドラマーをした後に、友人Alan MacgeeのレーベルCreationからの2枚のシングルと当時のBBC録音を収録した1985年当時のコンピレーション。ライナー・ノーツは、当時のスコットランドはグラスゴーの”ネオアコ“シー

Meshell Ndegeocello~at Billboard Live Tokyo 2024.02.14

Funk、Jazz、HipHop、R&B、アフロビートなど様々なジャンルを横断し、唯一無比の世界を作ってきたマルチアーティスト/ベーシスト、ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)。ずっと観たかったのですが、ジャズフェスティバルなどでは近年も来日していたものの、単独ライブの方がいいなと思い機会を逸してましたが、待望のビルボード東京でのライブ。 新作は、Jazzの名門Blue Noteからの「The Omnichord Real Book」。 Robe

「Stop Making Sense」4Kリストア版@IMAXシアター

約40年振りに観ました。83年作ですが、僕が見たのは、85年。レイト・ショーのみの公開でした。 当時は、メンズ・ビギがプロモーションをサポートしており、店舗にも大きなポスターが貼ってありました。あの時代、肩幅を強調したジャケットが大人気でしたが、あのスーツは肩だけでなく、身頃も巨大で来日時に観た能にインスパイアされたそうです。 改めて、彼らの音楽をまとめて聴いてから観たので、その辺の話から、映画につなげたいと思います。 さてTalking Headsといえば、Televis

古澤健監督『STALKERS』

Stranger 映画館で古澤健監督の「Stalkers」を観た。 支配人の岡村忠征さんが昨年のベストワンに推す映画であり、彼がStrangerの運営から1月末で離れるとの事で、そのフィナーレを飾る映画でもあるので、そこに岡村さんの想いや下心があるのではと思いながら、急遽伺う事にしました。 現地には岡村さんだけでなく、監督の古澤さんもいらっしゃり、岡村さんか「面食らうと思いますよ」と声掛けられ、これは、脅しなのか、事前のエクスキューズなのか。。とにかく心の準備をしながら、映画