玉響

夢想家。 言葉の限界を紡ぐ表現者になること、植物園をつくることが夢。叙情傾倒・思考矛盾

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  • 彼岸拠りカタルシスつまり日記

    同調か沈黙か

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    カルチャーや社会の気になったテーマについて、思考整理のために書き殴ったものたち

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    1ヶ月限定の記録です。

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    客観性と論理性と世間体、その他諸々の重い荷物をポイして身ひとつでDigってこそオタク。

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月を買った、或いは私の願望を買った。

ずっと欲しかった、月の間接照明を買った。 2020年の#買ってよかったもの にも書きましたが。これ本当に素敵なんです。点灯すると月面がリアルに浮き上がって、本当に月を手に入れたみたい。 ブックライトには少々暗いけれど、白色の月にも、黄色の月にも変えられる。(私は暖色の黄色蛍光の気分が多いです。) 年内に引越す予定の為、断捨離をしながら部屋を整理している最中なのに、気付いたらポチっていた。 この前の、楽天スーパーセールで。 「あったら気分が上がりそうだけど、無くても問題な

    • 数分前に失恋した

      明日、会う予定だった。 明日、バレンタインのチョコを渡す予定で、お気に入りのチョコを買っていた。 はじめて、結婚したいかもと思える人だった。 私は、結婚したい欲があるわけではなかったのに、はじめてだ。 見た目も、性格も、育った環境や考え方も、好きだった。 そんなこと、まずないだろうと思う。だいたい、27年生きてきて、ここまでいいと思える人に出会えたのが初めてなんだから、日常的にはまずないはずだ。 今後これ以上は出会えないと思う。 涙も出ず、悲しいのかもよくわからず…こ

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        ロンドンにて

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          石垣島にて

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        記事

          マッチングアプリ日記ep.7 2階スタンド席から聴くCreepy Nuts

          「Creepy Nutsって、マジですごいんすよ」 洒落た中華バルのカウンター席に並び、桂花陳酒で乾杯をした後、本日初めましての歳下の男が力を込めてそう言った。 「へえ…」 私は警戒しながら頷く。Creepy Nutsのことは知らないに等しい。 「韻の踏み方がすごくて。唯一無二っていうか、センスがあるんすよ。『皆のユートピア』と何を韻踏んだと思う?」 「うーん。なんだろ…」 「『ミラノ風ドリア』ですよ!もう、こうくるか!って感じだよ」 山椒の効いたかなり美味い麻婆豆

          マッチングアプリ日記ep.7 2階スタンド席から聴くCreepy Nuts

          誕生日には新しい香水を自分に贈る。

          自分の誕生日には香水を贈ることにしている。22歳の誕生日に始めたこの習慣は、今年で5年目になる。私は香水が好きで、普段から気になる新作が出たら店頭で試し、アトマイザーを買って使う。だから誕生日で買うフルボトルは、普段から地道な吟味と熟考を積み重ねた上で選出しているものなので、今のところすべて本当に買ってよかった、宝物である。 今まで買った4つの香水たちを思い返すと(まだ残っているものも多いのだが)、ある時点での夢想や憧憬の象徴であるように思えて、感慨深い。今回はこの習慣の5周

          誕生日には新しい香水を自分に贈る。

          デリカシーの無さは罪なのか

          少し前にはなるが、このニュースなかなかすごい。Twitterでも炎上していたし、人によって感想が分かれるあたりを見ると、こういったテーマは今ちょうど発展途中なのだな、と思う。 あなたはどう思っただろうか。「当然違法にすべきだ」「そういう時代だから仕方ない」「いや、ちょっとそこまではやり過ぎでは…」「大袈裟だ」 色々あると思う。 私がまず抱いたのは、「ここまで来たか」という率直な驚きだった。 先日、知り合いの女性がこの話について、やれやれ、といったふうにこう話しているのを耳に

          デリカシーの無さは罪なのか

          深夜零時のセブンイレブンが救っている心について

          飲み会帰り、ほろ酔いで一人暮らしの家まで帰るとき、私は他のどの瞬間よりも孤独を愛することができる。 カンカン、と踏切の音が定期的に明瞭に響く音と、たまに往来する車の排気音以外は、世界は無音だ。夜特有のずっしりとした空気に包まれながら、昼間には無いものたちが浮き上がる歩道をぽつぽつと歩くのがとても心地よくて、昔から好きだった。深夜の一人歩きはあぶないと母に口酸っぱく言われて育ったので、遠くに住む歳をとった彼女にはいまだにわるいと思うこともあるが、それでもタクシーを使う気にはなら

          深夜零時のセブンイレブンが救っている心について

          「HUNTER×HUNTERの完結を見届けるまでは死ねない」という圧倒的な生命保険が崩れようとしている問題について

          飢餓状態に慣れすぎた人間は、もはや飢餓を認識しなくなるのかもしれないというのが持論だ。時とともに悲しみは流れるとはよく言われるが、実際は流れない。ただ意識をしなくなるのである。残酷なものだが、私たち人間は自分可愛さには勝てず、自分達の生存を守るために認知の改善を繰り返して生きていくのである。 冨樫先生がTwitterに降臨してしまい、はや6日が経った。ようやくこのnoteを書けるくらいにはなった。4年近く放置プレイをされ(一切の音沙汰なし)、たまにトレンド入りするフェイクの

          「HUNTER×HUNTERの完結を見届けるまでは死ねない」という圧倒的な生命保険が崩れようとしている問題について

          「多様性」の敵は誰なのか

          多様性。オックスフォード英語辞典によると、多様性(diversity)は、「互いに非常に異なる多くの人や物の集まり」のことを指す。性別、人種、国籍、年齢、SOGI(性的指向・性自認)といった属性やアイデンティティから始まり、境遇や嗜好、コミュニケーションの取り方など、地球上に生きる人間はどこを切り取ったとしても、先天的にも後天的にも多様な存在である。差異を肯定し、尊重し、補完し、連帯していく…それは道徳的な意味だけでなく、私たちの生物学的な種の保存にとっても理に適っている。多

          「多様性」の敵は誰なのか

          もう思い出せない無数の言葉を信頼するということ。

          中学生の頃、最も仲の良かった女の子は、とても可愛かった。クラスで目立つ派手なタイプではなくて、控えめで知的な女の子だった。それに陸上部のエースで、体育の持久走ではクラスで断トツの成績だったし、引き締まったスタイルは私の憧れだった。だが私が彼女について最も好きだったのは、彼女の書く作文だった。国語の授業ではよく自由作文を書いた。私は当時、歴史小説の感想や普段の違和感の考察みたいな小難しいことを書き連ねて自己満足するような面倒な少女だった。そんな私にとって、病気の家族や震災のこと

          もう思い出せない無数の言葉を信頼するということ。

          マッチングアプリ日記ep.6 甘やかな失望

          「落ち落ち死ねないよな…」 IPAを啜りながら、ぽつりと同僚が言った。居酒屋の小さなテレビでは知床遊覧船報道がやっていて、例のラブレターが感傷を誘うように読み上げられていた。私は顔を顰めた。 「俺が死んだら、まず家族が俺のスマホのデータを漁るもんな。あの人たちは絶対やるよ。昔から容赦ねえもん。あーあ、スマホの日記、俺が死ぬと同時に消えるように実装してくれないかなあ」 この人、いつもこんな調子で本音を垂れ流しているのに、スマホで日記なんて書いてるんだ。私の中では日記って、

          マッチングアプリ日記ep.6 甘やかな失望

          最後の苺も躊躇いなく食べるタイプです。

          「春はやっぱり苺だなあ」 大粒の苺がごろごろ入った苺パフェを頬張りながら私は、最後に「みつを」と締めてもおかしくないような感慨深さで述べた。 「そうですねえ」 後輩は写真をパシャパシャ撮りながら、やはり感慨深いトーンで頷いた。 太宰府で行列をなす人気カフェ。あまおう苺をふんだんに使った贅沢なパフェが人気だ。パフェの中にも苺がごろごろと入っているが、パフェが乗った皿の上にも生の苺がこれでもかとのっていて、こちらは練乳をつけながらいただく。苺が好きな人は、機会があれば期間

          最後の苺も躊躇いなく食べるタイプです。

          いつか還る場所にも咲いていてほしい花

          会ってすぐ、左手の薬指を確認した。まだ結婚してなかった。ホッとした自分がいた。 「アプリコットサワーにします」 「あーやっぱりな。じゃあシークワーサーサワーにしよ」 それ迷ったやつだ。あーやっぱりな。 やっぱりいいなあ。 仕事で気になる人に会った。直接会うのは年末のクリスマスディナー以来だ。以前自分のインスタに何の気なしにあげていた好きなパティスリーのスイーツをお土産に買ってきてくれた。いま取り組んでいる仕事の話を噛み砕いておもしろそうに熱弁してくれた。おじさん扱いも許

          いつか還る場所にも咲いていてほしい花

          空間デザインの体験と私たちが持つ既存概念との確執について徒然。

          建築家の安藤忠雄氏が寄贈した図書館、「こども本の森 神戸」を訪れている。 そのデザインに対しては賛否両論だ。Twitterでは厳しい意見の方が溢れているようにも見える。「子どもが本を取れないじゃないか」「地震が来たら全部本が落ちそうで何も考えていない設計」「安藤忠雄に図書館を設計させるのは間違い」etc…いろいろな観点からの意見がある。 この施設は安藤忠雄氏の寄付である。また壁の本については6段より上は完全に固定されており、実際の本は手に届く位置に羅列されている。落下しない

          空間デザインの体験と私たちが持つ既存概念との確執について徒然。

          「なんのためにお前はいるんだ」

          昼過ぎ、たまたま寄った街角のマクドナルド。年配の男性が、まだ未成年にも見えるバイトの店員を叱咤していた。 オーダーを間違えたのだろうか。お釣りを間違えたのだろうか。私はチーズバーガーが提供されるのを待ちながら、ヒヤヒヤとその様子を横目に見ていた。他の客もなんとなしに気にしていた。なにしろすごい剣幕の叱咤だった。 様子を伺っていてわかったのは、ミスへの叱咤ではなく、店の隅でたむろする柄の悪いグループについて、なぜ注意しないのか、という内容であった。そのグループは確かにうるさ

          「なんのためにお前はいるんだ」