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谷郁雄の詩のノート35

意外と近い場所に「楽園」がありました。でも、よく見ると、小さく「空想喫茶」と書かれていました。なんだ、空想なのか。このお店は、ここでコーヒーでも啜りながら、一人もしくは複数人でそれぞれの楽園を空想するための場所らしいです。あいにく、お店の入口にはシャッターが降ろされていて、お休みのようでした。日を改めて、また訪れたいと思います。「楽園」があった場所は、高円寺駅北口の裏通りです。(詩集「詩を読みたくなる日」他、好評発売中)



「秋の光」

何を
見てきたの?
何を
聞いてきたの?
何を
さわってきたの?

最後に
思い出すのは
どんなこと?

秋の光の中で
小さな背中
まるめて
近くの
遠くを
見つめていた
名も無きあなたに

そっと
問いかけてみたかった



「スマホ」

スマホなんか
持つんじゃなかった
ああ
いやになった

もう
ぼくに
あれこれと
指図するのは
やめてもらいたい

そのとき
LINEが
ピコンと鳴って
「元気だよ~」の
メッセージ
かわいらしい
ヒヨコのスタンプ付きで

まっ
いいか
小さなコアラのスタンプで
こちらも
愛を返信



「窓」

あなたの部屋の
窓から
見える風景は
あなたの
人生の一部

海が
見える窓
空が
広がる窓
木が
そよぐ窓
道が
横切る窓
壁が
立ちはだかる窓

その窓とともに
過ごす日々は
たいくつでも
かけがえのない日々

いつか
あなたと
窓の話でも
してみたい

あなたを
もっと
知りたくなったときに

©Ikuo  Tani  2023






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