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あどけない話(夜のエッセイ)

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日々の暮らしから、あどけない話を綴ります。
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2018年12月の記事一覧

本は良いなぁ

この頃時々ご紹介している初台にある「fuzkue」さんの店主である阿久津隆さんによる『読書の日記』(2018年、NUMABOOKS)。2018年の最終日である今日もいつものようにそれを読んでいて、2016年11月25日(金)の記述にこんなくだりを見つけた。

自分で変えられるとは思っていないからこそ気にならないでいられることがこの世界にはたぶんものすごく無数にあるということでもありそうで、変えられ

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malikと読めば"王"、malakと読めば"天使"

malikと読めば"王"、malakと読めば"天使"

先日、語学塾こもれびにて「アラビア語の難しさ」で大いに盛り上がった。学習者の方の口から実に様々な困難が語られ、文字をクリアしてもなお高い山がそびえていることがよく分かった。

今日、そのことをふと思い出して、ぼんやりと本棚を眺めていたら、一冊だけアラビア語の学習書があるではないか。黒柳恒男・飯森嘉助共著『現代アラビア語入門』(1999年、大学書林)という本である。
これをパラパラとめくっていたら、

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深夜タクシー

深夜タクシー

寒い寒い年末の一日、最寄り駅までの終電を逃して、7kmほど離れた駅からタクシーを拾った。

この時期の深夜、タクシー乗り場は長蛇の列。一瞬並ぶのが嫌になりかけたが、見ているとどんどんタクシーがやってきてはお客さんを拾っていくので、気を取り直して並ぶことに。
1台来ては1人乗り、もう1台来ては1人乗り、とテンポよく列が進んでいくのを見ながら、1箇所のタクシー乗り場から色々な人が色々な場所に帰っていく

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夜ではないけれど

夜ではないけれど

昨夜の更新、すっ飛ばしてしまいました笑
失礼しました。

さて、金曜日はこもれびスタッフブログ更新の日。年内最後の更新となる今週の担当は、私。

3回続けた「語学日記」を終えて、さぁ何を書こうかな~とこの1ヶ月色々と考えてきたのだが、先週くらいになって突然、自分が年内を締めくくる更新の担当であることに思い至ったのだ。なんともオトボケである。

自分の性格が何に起因するものなのかは分からないが、「締

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「読書日記」ではなく『読書の日記』

「読書日記」ではなく『読書の日記』

すみません、「今日はこれを書こう」と思っていたことがたしかにあったのですが、家に帰ってあれこれしているうちに、何を書こうと思っていたのかすこーんと忘れてしまいました…。昨日の門松に引き続いて、日中の街で目に入った風景から思いを膨らませていったことだけは、朧気ながら覚えているのですが…。

先ほどから30分間くらい思い出そうとしているのですが、どうにも思い出せません。どうしても思い出せないので、最近

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一夜飾りのこと

一夜飾りのこと

実家を離れてそれなりの年月が経つのだが、その空間で過ごした二十数年間で身についた習慣というか風習は数え切れない。

この時期になると、「一夜飾り」のことを思い出す。

母は結構、一夜飾りを気にする人間である。何かに取り憑かれたように、というわけではないが、この時期、気づくと玄関先には小ぢんまりとした正月飾りが飾られていたものだ。
また、壁にかかったその年のカレンダーの後ろにも、ほぼ必ず翌年のカレン

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クリスマス、中央線。

クリスマス、中央線。

会社からの帰り、東京駅から中央線に乗ろうと思ったら、ホームに停まっている電車がなかなか発車しない。
なんでも、停まっている電車の3号車にて「お客様同士のトラブル」が発生しているとのことで、電車を動かせないようだ。

私が立っていたのはその号車からだいぶ離れたところだったので事の仔細は分からない。こういうときインターネットというかTwitterは便利で、すかさず「中央線」と検索してみる。すると、折り

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信念をもちつつも謙虚な「語学者」

信念をもちつつも謙虚な「語学者」

中国語学者の相原茂先生による『北京のスターバックスで怒られた話』(2004年、現代書館)。以前読みかけのままになっていたものを、読了した。

この本、相原先生が様々な媒体に書かれたエッセイを集めたものなのだが、このようにバラバラだったものを1つにまとめて出版していただけるというのは読者からすると本当にありがたい。中には一般にはなかなか手に入らない媒体に寄稿されたものなどもあり、改めて「編集」や「出

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言わなくても伝わる「ありがとう」

言わなくても伝わる「ありがとう」

杉本和世さんという方がいる。

アーティストのコーラスとして長く活動されてきた方で、Wikipediaにはお名前が見当たらないのだが、検索すると出てくるミュージックスクールのWebサイトには以下のように書かれている。

1980年より、つのだひろ率いる『ジャップス.ギャップス』で約2年間活動。その後、佐野元春、中原めいこ、南こうせつ、沢田研二、他のサポート、コーラスとして参加し、バンドやソロ活動を

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こもれびよりVol.4~言葉を聴く

こもれびよりVol.4~言葉を聴く

今日は、2ヶ月ごとに行われる「語学塾こもれび」のイベント、「こもれびより」の日。気づけば、6月30日の第1回に参加してからはや半年である。

今回のテーマは「言葉を聴く」とのことで、自己紹介がてら「『聞く』と『聴く』はそれぞれどんなときに使うか」ということをお話しすることからスタートしたのであった。

肝心のお話の内容は公式レポートにお任せするとして、今回のこもれびよりはいつもどおり、いや、いつも

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"J'aime rire."

"J'aime rire."

※のんびり書いていたら日付をまたいでしまった上に、長くなってしまいました。長いので、アクセント的にところどころ太字にしてみました。

※ ※ ※

このところ金曜日は語学塾こもれびのスタッフブログを読んで感じたことを綴ることが続いているのだが、今日も素敵な記事が投稿されている。

私もスマートフォン自体の設定は日本語のままだが、LINEとFacebookはフランス語、Instagramは中国語の設

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ギフトカードを贈れる関係

ギフトカードを贈れる関係

昼休みの時間を使って、前の職場での元同僚に会いました。

2012年に同期で入社してから私が退職する2017年までの5年間、部署こそ違えど仕事の上で大変お世話になった方なのですが、この度彼も退職をして、4月からは地元…ではないのですが地元に比較的近い土地で働くとのこと。せっかくだから一度会おうということになり、私の職場の近くまでご足労いただいたというわけです。

よくよく思い出してみれば、彼と2人

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言ったもん勝ち

言ったもん勝ち

「言ったもん勝ち」というのがどうも苦手だ。

職場などで、よその部署の人に対して「言ったもん勝ち」だと思って行動する人に出会うこと、ないだろうか。「言うだけならタダだから」というよく分からない理屈で、無理難題を言ってみる。ダメならダメで損はしないし、もしやってもらえたらラッキーということのようだ。

幸か不幸か、人並みの損得勘定をどこかに置き忘れてきてしまったような人間なので、そういう空間には私は

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夜道のおしゃべり

夜道のおしゃべり

例えば夜の道で、出会い頭の車がフッとライトを消す。
「お先にどうぞ。」

道を譲られた車は、点けていたライトを消して、またすぐに点ける。
「どうもありがとう。」

夜だからお互いの顔は見えないけれど
見えないはずなんだけれど
でもきっと、そんなときのお互いは、悪い顔はしていないはずだ。

声に出す言葉があるからこそ伝わるものもあれば
必ずしも声に・言葉に出さなくても伝わるものもある。

そのどちら

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