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バニラの魅惑的な香りは、牛からもつくれる?

バニラの魅惑的な香りは、牛からもつくれる?

香料としてのバニラは、バニラの種子を原料に発酵や乾燥を繰り返して作り出す甘い香りがする化合物です。19世紀中盤に花開いたカフェ文化の影響もあり一気に広まりました。バニラアイスなど、私も大好きです。
しかし、2007年のイグノーベル賞には驚きです。「牛の排泄物からバニラの香り『バニリン』を抽出した研究」受賞会場では、審査員らに「牛のバニラ」のアイスクリームが振る舞われました。動物の腸内でも作られる芳

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プラスチックを分解する細菌

プラスチックを分解する細菌

プラスチックの一種である熱可塑性ポリウレタンは、携帯電話ケース、履物、自動車部品など広く使用されている。しかし、現在のところ、ポリウレタン類のリサイクルの流れは存在しないため、ほとんどは使用後に埋め立て廃棄物となるか、環境中に浸出する。

Nature Communications掲載の論文によると、プラスチック分解細菌の遺伝子操作して、ポリウレタンの製造に必要な高温に耐えられるようにしたところ、

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工場排水からアンモニア

工場排水からアンモニア

大阪大学は工場の排水などに含まれる環境汚染物質の硝酸を、太陽光のエネルギーでアンモニアに変えることに成功した。

肥料の原料になるアンモニアは次世代燃料としても注目を集めている。

阪大は光で化学反応を進める光触媒に着目した。鉄などでできた光触媒を新たに開発し、硝酸や塩素を含んだ溶液に入れて光を当てると、硝酸がアンモニアに変わった。

『参考資料』

https://resou.osaka-u.a

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スプーンはなぜ味がしない

スプーンはなぜ味がしない

金属のスプーンで食事をして、金属の味がしたことはあるだろうか?
スプーンはじめ、台所の流し台、包丁、食器などステンレス製品は身の回りにたくさんある。
“ステンレス”とは、ステンレス鋼の略で、錆(stain)ない鋼(steel)の意味である。言葉通り、ステンレスは水に濡れても錆ない。鋼はすぐ錆びるのにどうしてステンレスは錆ないのだろうか。
その秘密は、その成分にクロムが含まれているところにある。クロ

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ダム

ダム

大きなダムは人を魅了する。緑に囲まれた湖と巨大コンクリートの人工物、その2つのコントラストが織りなす景色は、観光地にもなる。ダムには、美しいアーチを描いたダムや、単に岩が積み上げられたダムなど様々な種類がある。

・重力式コンクリートダム(奥只見ダムなど)
  コンクリート自身の重さによって、水がダムを押す力に耐えられるように造られたダム。堅い岩盤のところに造られる。


・アーチ式コンクリー

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宇宙で3Dプリント寿司

宇宙で3Dプリント寿司

すしを宇宙に転送するというコンセプトで、山形大学などの研究チームは、無重力環境で稼働する、フード3Dプリンターの研究をしている。
 無重量の環境下では、造形物(食品)を下から積層するのは難しいので、ペースト状の食材をノズルなどで上から打ちつける方式が検討されている。

『参考資料』

https://youtu.be/7uDYU1SX7xs?si=IyPpyEfgju93Qa-f

https:/

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ペットボトルのキャップに備わる、ある機能

ペットボトルのキャップに備わる、ある機能

ミルク入り飲料や果汁飲料のペットボルトのキャップには、防爆機能が備えられている。どういうことかというと、ペットボトルの内部発酵により高圧の炭酸ガスが発生し、キャップが飛び出す恐れがあります。
そのため、キャップには内圧が上昇すると変形する構造にし、キャップが飛び出さないような構造になっている。


『参考資料』
http://www.csij.jp/product.html

ペットボトルの形状

ペットボトルの形状

コンビニやスーパーなどに並んでいる清涼飲料のペットボトル。よく見ると、それぞれに形が異なっています。段ボールに箱詰めして、輸送することを考えると、四角い形状にする方が、効率的だが、炭酸飲料は丸くて凹凸が少ない形状をしています。

炭酸飲料はガスの圧力が容器にかかります。圧力は均等にかかるため筒状になります。さらに底面は「ペタロイド(花弁)」といわれる半球体の突起がつけることで、圧力に耐える理想的な

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てこの原理“ホチキス”

てこの原理“ホチキス”

作用点・支点・力点 教科書に載っているようなシンプル“てこの原理”は身近には見ることはできないが、ふだん使う道具には見事に応用されている。
ホチキスは“てこの棒”を二つ折りにしたような構造をしている。くわえて、最近のホチキスは驚くほどに小さな力で、紙の束を留められる。

てこの原理をうまく活用するには、力点から支点までの距離を、作用点から支点までの距離より延ばさなくてはいけません。そこで考えられた

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フェイルセーフ

フェイルセーフ

身の回りの機械・装置は必ず故障する。機械が壊れた場合必ず安全であり、そうでない場合は別の安全設計をする「フェールセーフ」という考え方が大切だ。

例えば、信号機が故障した場合、同時に青が点灯してしまうと、最悪の事態を招くので、故障しても信号が赤になるように、電気回路が構成されている。
エレベーターのワイヤーが切れると、連動して安全装置がガイドレールを挟み、カゴの落下を防ぐ。
自動車のエンジンが故障

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火星で樹木を育てる

火星で樹木を育てる

火星で樹木を育てて森を造ろう――。宇宙飛行士で京都大学特定教授の土井隆雄さんたちが、そんな目標をかかげて実験に取り組んでいる。地球に比べて大気が薄い火星で樹木を育て、建物や人工衛星などの材料として利用しようというものだ。火星や月のような地球の外の天体で、資源を育てる試みとして注目される。

実験室には高さ50センチメートルほどの透明なチューブが設置され、内部でポプラの木が育てられていた。チューブ内

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二酸化炭素炭素から糖を作る

二酸化炭素炭素から糖を作る

大阪大などの研究チームは、新開発の触媒で、CO2由来の糖を効率よく作る技術を開発した。水に溶かしたCO2に電気を流すなどして炭素原子、酸素原子、水素原子からできている単純な分子のホルムアルデヒドをまず作る。
触媒を使ってホルムアルデヒドから糖を化学合成する。

大阪大の中西周次教授は「光合成の数百倍以上の速度で糖を生産できる」と利点を指摘する。水の使用量は農業の数百分の1で済む。

国連によると世

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生分解プラは深海でも機能

生分解プラは深海でも機能

世界中で年間800万トンもの海洋プラスチックが陸上から海洋に流出しています。そこで、現在広く使用されているプラスチックを微生物が分解可能な生分解性プラスチックに切り替えることで、海洋プラスチック対策の一環となる可能性があります。ただし、水深200メートル以下の深海で生分解性プラスチックが分解されるかどうかはまだ分かっていませんでした。

そこで、研究グループは潜水調査船などを使用して、日本近海の水

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キャッシュレス先進国

キャッシュレス先進国

キャッシュレスのトップランナーといえば、スウェーデン。世界で最も「現金が消滅する日が近い」と言われており、日本銀行の分析によると、すでに決済の約99%がキャッシュレスで行われている。
スウェーデンが国をあげてキャッシュレス化に舵を切った理由は2つ。①治安向上:実際に現金を狙う強盗やスリなどの犯罪行為が激減した。②コスト削減と生産性向上:現金の製造コストはもちろん、ATMの運用や現金の輸送にかかる労

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