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俳句

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四季折々
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#蝋梅

【俳句】春の森3句

【俳句】春の森3句

木瓜の枝乱れてものを思ふ頃

鵯の霞を散らすつんざきや

色うせし臘梅艶なる入り日かな

【俳句】剪定5句

【俳句】剪定5句

思ひ入れのなき庭ばさり斬り申す

木槿強しスパルタにてもよろし哉

枯木槿荒ぶる枝の反乱や

梅に感じ散るを惜しめば資格なし

臘梅の枝やぽきりと清清し

【俳句】春の日の臘梅3句

【俳句】春の日の臘梅3句

春光を窓辺によこす臘梅や

臘梅を前にマスクは消ゆるかな

香をよぎりしばし尾を引く臘梅や

【俳句】早春の庭3句

【俳句】早春の庭3句

臘梅の木のもと芽吹き色づきぬ

春の庭見晴らしよきは今のうち

枯枝に否応もなきぬくみかな

【俳句】再び臘梅6句

【俳句】再び臘梅6句

いくたびも臘梅に顔寄するかな

その刹那臘梅脳を貫けり

臘梅や手折りておらが嫁となす

儚さを嘆きし花は蝋固め

花うすく香に身を尽くす臘梅や

唐梅を万葉の世へ植ゑにゆく

*臘梅は江戸時代頃に中国からもたらされたらしい。大昔からあったらどのような歌が生まれたのだろうか。

【俳句】臘梅の香3句

【俳句】臘梅の香3句

二階にも盛りを告ぐる臘梅や

臘梅や水仙と居てなほ清し

臘梅の香や昔への扉かな

【俳句】臘梅3句

【俳句】臘梅3句

臘梅や翁に折れて孫に咲く

丈ばかり花はおまけの臘梅や

臘梅やいのちのゆくへ透し見る

*庭の木とそこに住む人間の命がリンクするのを見た。
芥川龍之介は、徳川家の瓦解とともに没落した自身の家系をただひとつ残された臘梅の木に重ね、地面に積もる雪が透明感のある黄色い花に透けるくらい臘梅が低木であることを詠んだ(「臘梅や雪うち透す枝の丈」)。
こちらの臘梅は枝ばかりのびて花はわずか……どうなる。