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Texts & Tweets つれづれなるままに

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日常・非日常の気づき、思い、想い。直感と筆の赴くままに。 キプロス、英国、旅路でのこと。猫、動物、昆虫、植物…猫のこと。
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記事一覧

瓶の底  深くに沈む 闇の色
水面を揺らす  満ちた月光

煩悩の 濃縮還元  生絞り
妬みの沈殿  渇いた心

深紅にて  熟れる愁いの 綻びに
碧染み込めば 色づく翠

たるみのない 澄んだはらわた 無邪気な瞳
抱かれて君は 何を夢見る

執着は 眠る獅子を 呼び覚ます
牙の矛先 己の心

蝉が鳴く 墓石の上に ひんやりと
葉月の静寂 シベリアの声

祖母のように
あらゆることを忘れてしまってもなお
「何もお構いもしませんで」
「お茶も出せなくてごめんなさいね」と
無意識にひとを慮ってしまうような
身体の細胞すべてが愛でできているような
そんな人間でありたい。

キプロスにはユーカリの木がたくさん。英国領時代、マラリア対策としてオーストラリアから持ち込まれ、水はけの悪い土地に植えられたらしい。
さらにずっと昔、4世紀にエジプトとパレスチナから連れて来られたのは、ネコ。干ばつで蔓延ったヘビ退治のためだったという。今や人口より断然多い猫口。

夜の来訪者

夜の来訪者

 『夜の来訪者(An Inspector Calls)』という映画を観た(2015年イギリスTV映画版)。イギリスでは誰もが義務教育中に学ぶという、J.B. プリーストリーという劇作家による戯曲が基になっている。
 
 ある晩、裕福な邸宅で家族が婚約の祝賀を開いていた。そこへ警部と名乗る一人の男がやって来る。そして男は、ある若い女性が自殺したことを告げる…。 
 
 主要登場人物はその場にいた両親

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イランからカナダへ(手記翻訳)

イランからカナダへ(手記翻訳)

 Maryam Ishaniさんという方の難民体験談を翻訳してみました。(原文:https://www.facebook.com/maryam.ishani.1/posts/10153702051130992?fref=nf&pnref=story

 いま「ヨーロッパの難民危機」として、日々、数多くのニュースが報道されていますが、その裏には、こうした一人一人、一家族ごとの物語があるのだと思いま

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カマキリの赤ちゃんに再び出合った。の巻。

カマキリの赤ちゃんに再び出合った。の巻。

 今夏の初めから、一匹のカマキリの赤ちゃん(カマちゃん)が我が家のタイムの鉢植えでスクスクと育っていた。夏の半ばに10日間ほど鉢植えの水やりを大家さんにお願いしたのだが、この間にタイムは見事に枯れ、カマちゃんも巣立ってどこかへ行ってしまった。鉢植えの滅亡は大家さんの予言どおりで、予言の負の力を改めて思い知ったのだった。

 それから約3週間後、大家さんの庭を見下ろす我が家のベランダで、一匹のカマキ

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一週間ほど中東からの黄色い砂塵に覆われていたキプロスですが、首都ニコシアでは本日やっと、青空と白い雲を拝めるようになりました。うれしいものですなぁ。
長引いた病気が治ったときのような心持ちです。
日本、特に関東でも早く晴天が訪れ、冠水地域の水が一刻も早く引くように祈っています。

ちびまる子ちゃんとギリシャ正教のイコン画に見る、日本人とキプロス人(ギリシャ系)の顔の一般的な特徴と思しきもの。

「心の穴」という指定席――永遠に消えることのないその穴には空へ還っていったひとが座っている。百年後まで予約済。
賑やかに過ごした後に訪れる静寂のとき。ふと旅立ちの事実が波のように押し寄せ、胸を衝く。儚い命…でも肉体、魂全てが強烈な愛だった。今日も特等席で愛の鼓動が鳴り響いている。

8月15日は生神女就寝祭と呼ばれる正教会の祭日。首都ニコシアの街中は閑散としていて、蝉の声が響き渡っている。
所変われば身体言語も異なるもの。ギリシャ系キプロス人はYesを示す際、頭を左右のどちらかに傾ける。Noの場合は頭を軽く上げる仕草をする。知ると面白いし、誤解も避けられる。

外国人と話していて気づく、ふだん意識していないなと思う日本のこと。政治家のフルネーム、皇室の方々のお名前。昭和天皇:裕仁(ひろひと)、 香淳皇后:良子(ながこ)、今上天皇:明仁(あきひと)、皇太子:徳仁(なるひと)。"Emperor Akihito"って練習しないと出てこない。

白と肌色の岩間を縫うように続く道。The Korgisの歌が流れてくる。なぜか映画" Bagdad Café"の乾いた哀愁が全身に蘇った。https://youtu.be/UOqXy64-hTw (The Korgis "Everybody's got to learn sometime")

留守番

留守番

 「このハーブ、枯れるな。これもだ。あぁ…これはワシも育ててたが、最近死んじまった」

 心許ない限りである。これは階下に住む大家さんに、我らの留守中、手塩にかけて育てているハーブ(一部野菜)の面倒を見てくれるよう頼んだときに言われた言葉だ。

 83歳、クシャミの音がめちゃくちゃ大きいじいさん。その音で、階下にいることが確認できるほどだ。あまりの大きさに以前は「なんてこった。勢いで入れ歯が取れた

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