見出し画像

【レビュー】『着実に身に付ける勝負強さ』~第4節藤枝MYFC VS ファジアーノ岡山~


試合結果

2024 J2 第4節
3/17 14:00K.O. @藤枝総合運動公園サッカー場
藤枝(0-1)岡山
90+2分 田中雄大

スタメン

マッチレポート

ソリッドVS流動性。
勝敗を分けたのは“守り切る”と“決め切る”の差。

岡山は前半に左サイドからチャンスを作った。左WBの末吉がキレのあるドリブルで相手を突破して深い位置に進入し、シャドーの岩渕が抜け出す動きとスルーパスを駆使して崩しにかかる。3分、岩渕のスルーパスに抜け出してニアゾーンを取った末吉のクロスに木村が合わせるも、右足アウトサイドで放ったシュートは詰まってしまいGKに止められた。22分には末吉のクロスはクリアされるも、こぼれ球に反応した鈴木が相手に競り勝ち、岩渕がシャペウからボレーシュート。全体を押し上げることで厚みのある攻撃を展開し、フィニッシュに持っていった岩渕の動きも非常にシャープだったが、惜しくも枠を逸れた。

攻撃的な“エンターテインメントサッカー”を掲げる藤枝は、流動的な動きで右サイドからゴールに向かった。右WBの久富を3バックの右に起用。ボール保持時に久富が大外の高い位置を取り、右WBのシマブクが一つ内側のレーンへ。右サイドからボランチに横パスを入れ、ボランチがワンタッチで背後への縦パスを繰り出し、3人目の動きでニアゾーンを強襲していく。自分たちの立ち位置を変えて相手の目線を乱す攻撃を仕掛けるも、惜しかったのは30分の中川のミドルシュートくらいで、ゴール前の精度を上げ切れなかった。

後半は両チームが流れを変えるべく積極的に選手交代を行っていく。藤枝が63分に浅倉と榎本を投入すると、その直後に梶川のスルーパスに抜け出した榎本がPA左からループシュート。GKの位置を確認して至近距離からシュートを放ったが、GKブローダーセンが間合いを詰めてシュートコースを消し、顔面で防いだ。83分には、久富のクロスに途中出場の中島が頭で合わせるも、ポストに弾かれる。

守備陣の集中力で均衡を保ったまま試合終盤に突入すると、90+2分、岡山の10番が2試合連続で大仕事をやってのける。鈴木が中央から持ち運んで相手守備網を乱し、縦パスをグレイソンが丁寧に落として、途中出場の田中が右足を振り抜く。魂を込めて放ったシュートは相手DFの足に当たってドライブ回転がかかり、ゴールに吸い込まれた。

アウェイで“どっちが勝ってもおかしくない試合”を制した岡山。全員で一体感を持って攻守を展開し、最後まで集中力を保って勝点3をつかみ取った。チームは着実に勝負強さを身に付けている。

コラム

冷静なセーブでゴールを死守。
”新守護神”ブローダーセンが実力発揮

新守護神がチームを救ってみせた。

選手交代で藤枝の勢いが増した63分、阿部の背後を取った梶川が抜け出してきた。田上がカバーするも、ボールは外を回ったフリーの榎本へ。絶体絶命のピンチ。昨季に藤枝の地で榎本に立て続けに右サイドを破られて失点した記憶がフラッシュバックする。しかし、GKブローダーセンが嫌な記憶をかき消す。榎本が顔を上げてドリブルをしている時は体で面を作ってシュートコースを消し、榎本が顔を下げてシュート態勢に入った瞬間、一気に間合いを詰める。そして体を大きく使って壁を作り、最後はシュートを顔面で防いだ。

完全に守備を崩された。しかし、GKブローダーセンは状況をしっかりと把握し、難なくシュートに対応。チームを救うセービングを見せた後、右手を挙げている。「大したことはない」。そう言っていると感じるくらい冷静だった。

今季横浜FCから加入したGKが勝敗を左右するビックセーブを見せたのは今節が初めて。開幕戦からハイボール処理で安定感を見せる中、そもそも決定的なピンチがなかった。チームとして統一感を持った守備ができている証拠だが、藤枝の攻撃力は凄まじかった。狙いを持ったプレスができず、流動的な攻撃に翻弄されたことは反省点だ。しかし、GKブローダーセンがゴールを“死守”して、勝利を引き寄せた。新守護神が有する実力を再確認できたことは非常に大きな収穫になった。

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

読んでいただきありがとうございます。 頂いたサポート資金は遠征費や制作費、勉強費に充てさせていただきます!