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ビジネスパーソン必見の漫画『アオアシ』が教えてくれる思考の美学

ビッグコミックスピリッツで連載されているサッカー漫画『アオアシ』。TSUTAYAのコミックレンタルでランキング2位になっていたことから試しに読んでみると、興奮が止まらず、圧倒されました。私は野球少年だったのであまりサッカー漫画を読むことはなかった(GIANT KILLINGは少しだけ読みました)のですが、コミックスで買い揃えることを決めました。『アオアシ』はただの熱血サッカー漫画ではありません。ビジネスパーソンに限らず、すべての人にとって「思考すること」をきっと問いかけてくれるでしょう。

『アオアシ』あらすじ

田舎の公立中学校の弱小サッカー部に所属する青井葦人は、たまたま試合を見ていた東京のユースチーム(プロクラブの下部組織)の監督である福田達也に秘めた才能を見出され、ユースのセレクションに誘われる。そこで出会った仲間とセレクションを突破した葦人は、福田監督の指揮するユースチームに所属することに。ハイレベルの環境に身を置き、己の無力さを痛感する葦人。けれども、葦人は考えることを武器に、目の前の壁を一つひとつのぼっていく。

即席で作ったあらすじなので少しずれているかもしれませんが、ご了承ください。努力による成長、熾烈な競争、友情ドラマ、恋模様など青春要素もふんだんに盛り込まれています。しかし、重ね重ねになりますが、本作の重要なテーマは「思考」です。それは、主人公の名前“葦人”からも読み取れます。福田監督の義妹・花が葦人に、このような言葉を送るシーンがあります。

「人間は考える葦である」

フランスの思想家パスカルの言葉です。この言葉を胸に、感覚重視だった葦人はプレーひとつとっても、考え、言葉にして、再現していくことを心がけるようになります。この成長過程に心が震えました。葦人に負けないぐらい、自分も「考え抜く」人間になりたいと思います。

あなたは、本当に考えていますか?

本作が問いかける「思考」の重要性は、仕事においても言えることです。ビジネスパーソンのみなさん。日々の仕事で生まれる悩みや課題を考えて言葉にしていますか?

「そう指示されたから」「みんなそうしているから」「そうゆうものだから」と、考えることを放棄していませんか?

私も前職では、考えることを放棄していました。目の前のことを処理するとにいっぱいいっぱいになって、疑問に思うこともないような状態です。
しかし、考えることを放棄するということは、死んだように生きることと同義だと思います。
飛躍しているかもしれませんが、私は考えることがどれだけ大切かを『アオアシ』から学びました。

ただし、考えるだけでは実りがないでしょう。考え抜き、言葉にして伝え、実行するまでがセットです。実行することで、考えが深まり、新たな思考の課題が生まれます。“うじうじ考えるだけ”で終わってしまってはもったいない。私もnoteを書くことで、考えを言葉にし、伝えることの実験を行なっています。

また、新R25の編集長の渡辺さんが次のようなツイートをしていたことも思考を大切にするきっかけとなりました。

渡辺さんは、Webメディアの運営に携わり始めて4〜5年(?)足らずと聞いていますが、編集長として新R25を立ち上げ、人気Webメディアに導いた方です。企画や記事はもちろん、個性のある編集者やサイトの作りが好きで、私も愛読しています。

話を渡辺さんのツイートに戻すと、成長スピードは思考量で決まるというこです。仕事やスポーツ、多種多様な趣味において、経験年数に応じて能力が上がっていくのは当然のことでしょう。しかし、思考がその成長スピードを加速度的に上昇させることは間違いありません。考えをともなった経験は、その人の血となり肉となるのです。

自分で考えて得る経験と他人に教えられて得る経験の違い

「人に教えられてもいまいちしっくりこなかったけれど、自分で考えて試行錯誤したらうまくいった」という経験はありませんか? その結果「あの人が言っていたことはこうゆうことだったのか!」と、後から腑(ふ)に落ちることも。

他人から教えられることは「なるほど」と思っても、判然としなかったり、頭では分かっていても受け入れられなかったりします。これは、教えられたことが自分のものになっていない証です。もちろん、他人からアドバイスを受けて改善できることもあります。しかし、そこには自分で考えることと同様に、そのアドバイスをもとに試行錯誤を加え、ときにはアレンジして自分のものにする作業が必要不可欠です。

話を『アオアシ』に戻すと、福田監督は葦人に対して、決して答えを教えません。「なぜそうする(した)のか?」「この場面でどうすべきだと思うのか?」と葦人に考えを求め、感覚を言葉に置き換えさせます。このような手法を「コーチング」と呼びます。反対に、答えを直接的に教えることを「ティーチング」と言います。「コーチング」は、必ず本人に考える機会を与えるため、結果的に納得度合いが高いです。一方で「ティーチング」は、納得できなければ「仕方なくやる」や「嫌だけど命令だからやる」など、思考停止状態を招きます。これでは理解も深まらず、自分のものになるスピードは鈍化することでしょう。

つまり、人間は自分で納得しないと前に進めないということです。納得できないことは不安ですよね。それが正しいのか、誤りなのか、分かりません。しかし、自分で考えたことは、考えた過程が軸となり、信じることができます。たとえ失敗しても、原因を考えて検証し再試行します。人から言われてそのまま失敗すれば、「あの人に言われたからやった。あの人が悪い」と他人のせいにしてしまいます。

自分で考えること以上の成長方法は他にないでしょう。しかも、自分で答えにたどり着いたときの達成感は、気持ちの良いものです。『アオアシ』は葦人を通して、その擬似体験をさせてくれます。できることが増えていく興奮は何ものにも変え難いことを思い出させてくれました。

思考することこそが人間たらしめる

最近も「AIが人の仕事を奪う」という話がしばしば議題にあげられています。確かに、AIに代替される仕事もあるでしょう。しかし、そういった仕事は「個性を必要としないもの」だと思います。つまり、代替できない価値を提供できなければ生き残れません。

それならば、必然的に重要となるのは“考え抜くこと”だと、私は思います。ただ考えるだけではダメです。考えて、考えて、考える。その過程と導いた結論を具現化することが、その人の個性となるのではないでしょうか。

私はWebに掲載される記事の編集者をしていますが、ただ“間違いがないように”編集するだけではいずれ不要となるでしょう。編集者として、私だけの価値を提供していくことが必要条件だと感じています。それが何なのかは、まだ分かりません。誰も的確な答えを持っていない。だからこそ「考え抜きたい」と思います。

私は考える葦でありたい


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