フィンランドで働く~労働組合編 あとがき
シリーズ1回目の投稿から3週間ほどかけて連載しました、フィンランドで働く労働組合編。なんとかまとまった形にすることができました。
反響
毎回言ってることですがマイナーすぎるのにも関わらず記事にスキをいただいてありがたい限りです。
最初は「みんな本当に読んでる?義理でスキを押してるんじゃ?」と疑う始末でしたが(相手に失礼)この手の情報はあまり見かけないから興味を持たれたのかなと素直に思うことにします。
大幅に削った要素
#5の最後でも書いたように歴史の部分を大幅に削っています。
理由は大きく2つ。長くなりすぎるのと、フィンランド人もさして知らない情報を載せたところで誰も得しない情報になるなと考えたからです。
フィンランドの労働組合の歴史は大本を遡れば100年以上前の話です。
SYT(Suomen Yleinen Työnantajaliitto)※と呼ばれる雇用主組合が誕生した1907年から始まります。
※STKと名前を変え、更に現代のEKになります。
そして1918年に勃発したフィンランドの内戦(Suomen sisällissota)を経て事態は動いていき1940年1月、一月の契約(Tammikuun kihlaus)が宣誓されました。
また現代とも言える最近までTulipoliitikka(通称Tupo)と呼ばれる制度もありましたが行われなくなったため、これも歴史の一部としてカット対象となりました。
更に労働者組合の歴史背景を辿ると Kommunismi、いわゆる共産主義の話をしなければならなくなります。noteに全面的に出すには正直躊躇する話題だったのも削った理由の一つかもしれません。
おまけ
フィンランド内戦の銃撃戦痕を今も残す橋、Pitkäsilta。Hakaniemiのすぐ近くです。
華やかなショッピング観光に飽きたときは訪れてみてください。ここで激しい戦いがあったことが感じられます。
大きく削ることになってしまいましたが、興味のある人はぜひ調べてほしいと思います。
かく言う私も一月の契約については記事にできるほど詳しくはなかったので、記事を書く前にいい機会だと思って本を読んでみました。(結局記事にはしませんでしが)この本は読みやすいのでおすすめも兼ねて紹介です。
冊数がそこそこあり、人気の本というわけでもないので(苦笑)、各図書館で気軽に借りられます。
またヘルシンキ大学のライブラリーで導入部の文書がダウンロードできます。試し読みしたい方はぜひ。
入れ忘れた要素
初期の構想を練っているときに盛大に忘れてたことがあります。
後から気が付いたものの、構想がある程度出来上がっており入れる場所が見つからなかったので別記事に出すことにした要素です。
それが Luottamusmies とよばれる役職です。
これは(零細企業や家族経営企業を除いた)それなりの規模の職場※にて選定される労働者組合側の役職者のことを指します。
フィンランドでも職場でトラブルがあったら上司などの上長に相談するものですが、企業側や上司に問題がある場合にはこの労働者組合側の人間に相談するのといいでしょう。
管理職の立場では雇用主側の人間として扱われるためこの役職に就くことはできません。そのため Luottamusmies は完全に一般従業員側の立場にいる人とも言っていいでしょう。
フィンランドで働く上でトラブルが起きた際、ハラスメントや不当とも言える扱いを受けた場合、どうしたらいいかの記事をいつかまとめたいと思うのでその際に合わせて記載しようと思います。
スペシャルサンクス
以下のサイトには大変お世話になりました。
フィンランドの法に絡むことで調べ物をしたい人におすすめです。
小話
記事自体は自分で書いたものの、構想は知人Sにも色々助言をもらいました。その際のどうでもいい小話を最後に書きたいと思います。
今回記事を書くにあたって苦労したのが、日本語に訳すことと、内容を簡潔に書くことです。日本語訳については力尽きてフィンランド語でごり押しした部分も途中ありますが、簡潔に書くことはできるだけ手を抜かずに書いたつもりです。
ただ労働組合の話をするとどうしても「政治」「法律」が絡んできます。
何なら「経済」も多少入ってくるでしょう。(できるだけ除外するよう努めましたが。)
これらの文書はやや複雑なので慣れていても、読み解いて簡潔な説明に落とし込むには時間がかかります。複合化してるなら尚更です。
ただ法律は正直そこまで大変だとは感じませんでした。むしろ簡単に見えます。というのも、労働協約の保障内約を読み解くのは何かの罰ゲームのような難しさがあったため対比で簡単に見えたからですね。
一体どうしてこんなややこしい文書にした、ということで知人Sに愚痴を言ったときの出来事です。
親が数学、経済学、統計学などの背景を持つ皆さんへ
あなたの親御さんはとんでもない遺言をお持ちかもしれません。
心しておきましょう。