なぜフィンランドに来たのか、自信を持って答えられないあなたへ#1
拝啓
待ちに待った春到来です。皆様にはお元気でお過ごしのことと存じます。
フィンランドはまだまだ寒いですが太陽の日差しが日に日に長く、暖かくなってきており春の訪れを感じています。
今回はいつもと違う形で記事を書いてみようと思います。
従来の私は情報を掲載したり、それに対する自分の見解を説いているだけの偉そうな記事を書いています。しかしそれは書き手側が正しいと思っていることを読み手側に押し付けてしまいかねない危険性を孕んでいます。
データを基にした情報ならまだしも、これから書く内容は正解・不正解の概念などありません。そのような形で記事を書くのは今回不適切だと判断しました。
ではどう記事を書こうかと考えた結果、手紙のような体裁をとってみました。初めての試みなので上手くいくかどうかは全くわかりません。しかし何事も挑戦なのでやってみようと思います。
今日書きたいと思った内容は表題の通りです。
このように悩んでいる方々のnoteを何点か見かけまして。そんな方々に伝えたいと思ったのがきっかけです。
私にはいくつか持論があります。その内の一つがこれです。
最初はどこで見かけたのかも覚えていません。誰かがそう説いているのを聞いて、なるほどと思い自分の生き方にこの要素を加えました。
人によってはそんなことないと怒られてしまいそうですね。
でも私はこれを軸として自分の人生について考えています。
人生においては大小問わず選択を迫られる時が多くあるでしょう。
受験、就職や転職、休職、起業、結婚、家などの大きな金額の買物、子供を作るか、育児、年老いた親との暮らし、年金暮らしで何をするか、など。
日常的な仕事においては正解があるかもしれません。しかし大半の大きな選択には正解がない、もしくは正解がわからないことが多いのではないのではないでしょうか。
正解がない、それはつまり自分で道を切り開いていかなければならないことです。パートナーも親も友人も見守ってはくれますが、最後に歩を進めるのは自分自身です。
しかしそれは先の見えない真っ暗な中を手探りで進んでいくようなものです。とても勇気がいることだと私は思っています。
聡いあなたのことです。すでに下調べは済ませており、この道は問題ないと調査済みでしょう。しかし頭ではわかっていても、どうしても足が竦んで一つの考えが脳裏をよぎるかもしれません。
気持ちはよくわかります。私にも同じような経験がたくさんあるからです。日本やカナダにいた時も、フィンランドにいる今も結構悩んでいます。
ちょっと恥ずかしいですがそんな自分の悩んだエピソードです。
フィンランドに来て数社目ともなる会社に勤めていたころです。仕事を辞めて転職しようか悩んでいたころがありました。
仕事内容は自分の好きな仕事、同僚達とも仲良く、希望通りにフルタイムではなく自分の時間も楽しめる雇用形態。そこで働くことに満足していました。
それなりに長く在籍していたので、そのころにはチームの業務全体を把握できるようになっていました。信頼も得て、役職を持っている人の業務に近いことも任せられることもあり更なる経験を・・と、ここまではよかったのです。
仕事の幅も広がってきたその時、私のその職場内でのキャリアの天井が見えてしまった気がしたのです。
まだ天井にはたどり着いていません。しかしもうすぐたどり着いてしまうでしょう。そしてこれ以上、上が存在しないとの気付きもありました。
居心地の良いこの職場を去る勇気も中々出せず、天井に見えているそれは気のせいではないかと自分に言い聞かせるモヤモヤとした毎日です。次の職場が同じように素晴らしいとは限らないと考えていたからか、気が付かないふりをしたかったのかもしれません。
これに関しては人に相談しても的を得た回答が得られるとは思っていませんでした。ですのでフィンランド風に解決することにしたのです。
それは自分の心の声を聞くことです。
なんだかこう書くとスピリチュアルなイメージになってしまいますが、誤解されないようお願いしますね。
"声の聞き方"は人によってやり方は様々です。サウナで解決する人もいるみたいですが私の場合は一人で森に行くことです。
誰にも邪魔されない静かな森に一人で行くことがとても大切です。
バーベキューをしているにぎやかな団体がいる公園のような森は避けたほうがいいでしょう。もしくは誰もいないところ、奥まで探索してみるのもいいかもしれません。
ただひたすら無心になって森を歩き、座るのにちょうどいい大きな岩(Kallio)が見つかったら座ります。
そこでゆっくりと自分の考えを泡のように出していきます。
自分はどう思っているのかを紐解いていくのです。
慣れないうちは難しいかもしれません。
私は自分自身に「なぜ?」「どうしたい?」と問いかけるのは最初だけです。焦らず急かすことなくただ待ちます。蓋を外したのですから、そのうち徐々に"声"が浮上してきます。
誰かに否定せれることなく、ただありのまま受け入れられていると感じればその声も次第には賑やかになっていくでしょう。いつも自分に驚かされます。私はこんなにもお喋りだったのか、と。
内容によっては他人に相談した方がいいアドバイスが貰える時もあるかもしれません。しかし最後には自分で決めなければならない、そんな時は相談は向いてないように思えてしまうのです。
というのも、そのアドバイスにより自分の考えにフィルターのような黒い靄がかかってしまう錯覚を覚えるからです。特に日本にいるときはこの現象が顕著でした。
フィンランドの森で深く思考に耽る時はフィルターはかかりません。
成功、正解、世間体、競争、
学生・社員・父・母・夫・妻・子といった自分の肩書
こういった概念は発生しない感覚になります。
ただそこには「自分はどう思うか」しかなく他には何も存在しません。
他人や社会の声は森の中にまでは届かないようです。また考えの中に存在するのは自分一人のため他人に対して見栄を張る必要もないでしょう。
あなたが進もうとしている道は正解でも不正解でもありません。人生に正解はなく自分がどうしたいかの指標しかないのです。
自分がどうしたいのかを知ることは人生を作ることにも繋がります。
転職するかどうか問いかけた結果、深層の声は「まだ挑戦したい」でした。
あなたに習いしっかりと情報収集を重ね、これから歩く道に危険性がないかどうかだけ確認したらもう迷うことはありません。最後に自分の声に背中を押してもらい私は転職活動をはじめました。
フィンランドに来て、長く滞在される予定のあなたにはぜひこの自分の声の聞くことの大切さを知ってほしいと思います。そしてもし、あなたが上手くできる自信がないならフィンランドで挑戦してみてほしいです。
日本社会においても、この自分の声を聞くという行為をごく自然にされている方もいらっしゃいます。しかしうまく声を拾い上げられず、周りに勧められるがまま心に蓋をし、見て見ぬ振りをしまっている方も多いように見受けられます。
生きづらさや疑問を感じている人のほうが多いのではないでしょうか。
フィンランドでは子供のころから「あなたはどうしたい?」と問われ考えさせられることが多いせいか、この行為に長けている人がとても多い印象です。フィンランドに住むならば彼らにその手法を習うまたとない機会です。
そういえば最近2024年の世界幸福度ランキングが発表されて、またフィンランドが一位に輝きましたね。冬は寒くて暗い、物価も高く犯罪だって0ではない、一体どこに幸せがあるのかと疑問に思う人もいるでしょう。
もしかしたらここにも秘密の一つが隠されているかもしれません。
森に行く人、サウナに行く人、海を眺める人、焚火を起こし火をながめる人、みなさん自分のやり方をお持ちです。
もしまだフィンランドに来て何をやり遂げるべきか、まだはっきりと決まってない人におすすめしたいのです。
自分に合ったやり方を見つけて自分の声を聞く
これを日本に持ち帰る、をフィンランドに来る目標としてみてはどうでしょうか。
(#2に続きます。)