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卵かけごはんのために。

白いごはんに黄色い卵。そこに醤油をたらり。しゃかしゃかかき混ぜると、ふわふわ泡立った感じになって、ずずずっとすするようにしていただく。卵かけごはんって、おいしいですよね。


🍚ごはんにカケメシ

ごはんになにかをかけるというのは、卵に限らず、ちょっとした味変のバリエーションで、お弁当なんかだとふりかけをかけるのも定番。お茶をかければお茶漬けだし、なんならカレーやハヤシライスだってごはんになにかをかけたカケメシ系です。

でも、卵かけごはんはそんな中でも、特別な存在だという気がします。

たとえばふりかけは、たとえのりたまだろうと、赤ジソだろうと、あくまで主役はごはん。ふりかけの存在は、白ごはんに添えるお漬物にも似た立ち位置で、ごはんの味の引き立て役にすぎないように思います。

逆にカレーはごはんより、カレーソースが主役の立ち位置。カレーの具がビーフなのか、ポークなのか、チキンなのか。欧風なのか、家庭風なのか、はたまたインドカレーやタイカレーのようなスタイルなのか。そんな視点から分類される料理であって、ライスはそのパートナーのひとつ。その証拠にカレーはライスだけでなく、うどんやパスタにかけることもありますね。

🥚卵かけの一体感

それに比べて卵かけごはんときたら。ごはんに載せた卵に醤油をたらり。しゃかしゃかかき混ぜて生まれる一体感。

ごはんの上に載っかる存在のふりかけや、ごはんを覆うカレーとはまったく違うバランスで、ごはんと卵がひとつになるのが卵かけごはんなのです。

🥚夢の卵かけごはんをつくる

そんな卵かけごはん、その最高峰はなにかと問われたら。

最高級の卵を使うとか、フレーバーのついた特別な醤油を使うとか、そんなスタイルもあるかもしれませんが、自分にとってはこれです。これのあとのそれ。

そう、すき焼き。すき焼きのあとの卵かけごはん。

🥚卵かけのために

というわけで、今回は卵かけごはんを食べるためにすき焼きをつくって、そのすき焼きの余韻をそのままごはんにのっけて、あわせて、卵かけちゃうぞ。おいしさの極み、卵かけごはんの頂点に立つ、夢の卵かけごはんをつくるんだ、そんなお話です。

①すき焼き第1形態

まずはさっそくすき焼き。関西出身なので、いきなり割り下を使って煮込むスタイルではなく、まずは肉を焼く、そんな方向性です。

油を敷いて熱したお鍋に牛肉を広げたら、砂糖をふりかけます。

そこに醤油をじゅわーっ。からめながら焼きます。焼くんです。すき焼きだから。焼きだから。

いい感じにお肉が焼けたら、卵を準備。

軽く溶いた卵にお肉をからめてぱくり。まず、これ。これがすき焼きのオープニング。

甘辛い醤油味と牛肉っておいしいですよね。大好きです。そこに卵がからむとまろやかになって、もうたまりません。白ごはんがほしくなりますが、ここはがまん。最後に待つ、卵かけごはんのためのふんばりどころです。

②すき焼き第2形態

そして、すき焼きの第2ステージ。お肉以外の具も準備します。

🍲すき焼きの具(1人分)
・牛薄切り肉…4枚
・玉ねぎ…1/4個
・ねぎ…1/5本
・しいたけ…1個
・麩…5個くらい
・結び白滝…4個くらい

麩は水で戻してしっかり絞って、白滝はさっと湯通ししてあります。お麩って、地味だけど、すき焼きにはいると存在感ありますよね。お肉と野菜から出るすべての出汁を吸い込んだ、あのパワーはあなどれません。なんなら一番好きな具といってもいいくらいです。

今回用意した具のほかに、焼き豆腐とか春菊なんかもいいですね。

🍲味付けの材料
・醤油…大さじ2
・砂糖…大さじ2
・日本酒…1/2カップ

あとは煮るだけ。ここでポイントになるのは日本酒。お水でもいいのですが、断然味が深まると思います。

ぐつぐつ煮えるのに合わせて、甘辛い味付けの香りが立ち上ってきてもうがまんできません。

いい感じに仕上がりました。すき焼きって、茶色料理の王様ですよね。

🥚75%の溶き卵

そしてすき焼きといえば…。先ほど最初に焼いたお肉をつけたこれ。

溶き卵が欠かせません。こだわりとしては混ぜすぎないこと。ちょっと白身に、どぅるんとした感じが残って、黄身は黄身らしい様子をとどめているくらいが好みです。混ぜ率という表現をすれば、75%くらいの感じでしょうか。

うん、いい感じ。これが75%の溶き卵。

すき焼きを食べていると、おいしすぎて忘れそうですけど、今回の主役は卵かけごはん。

すき焼きの煮汁と、そしてすき焼きを食べたあとの卵。これが夢の卵かけごはんの鍵を握ってます。

🥚卵かけスタート

さあ、卵かけタイムのスタートです。

🍚材料(1杯分)
・ごはん…軽くお茶碗1杯
・卵黄…1個分
・すき焼きをつけた卵…適量
・すき焼きの煮汁…適量

まずはごはんを準備。真ん中をちょっとへこませて、お茶碗に盛り付けます。

そこに卵黄をぽとり。白身を取り除いたのは、このあと、白身の要素が入るから。

こちらです。すき焼きを食べたあとの卵。白身はこの中に存在しています。

つやつや卵黄の輝きがそそります。

お箸でつんつん。崩して混ぜます。

そして味付けにちょいプラス。もちろん、すき焼きの煮汁です。濃厚な旨味爆発まちがいなし。

さらに混ぜます。うん、いい感じ。

🍚これが夢の卵かけごはん

仕上げに彩りと食感、そして味のアクセントにもなる刻んだねぎと七味。

食べるときはよく混ぜて。

卵かけごはんのためにすき焼きをつくって、そしてその卵でつくる卵かけごはん。

これこそ、究極。夢の卵かけごはんです。うん、おいしい。

🎍お正月を思い出しながら

子どもの頃、お正月に親戚一同が集まると、おとなたちは、おせちをつまみにしつつ、お酒を飲むのがいつもでした。いまとなっては大好物のおせちですが、子どもにとってはなんというか、地味であんまり気分がもりあがりません。

あの頃のお正月のごちそうは、なんといってもすき焼き。当時は親戚が揃うと20人近くになりました。ひとりひとり盛り付けるなんてことは大変すぎるので、メインがお鍋で、そしてそれがすき焼きだったんですね。

おとなたちはお酒を飲みつつ、すき焼きが終わる頃にまたおせちにお箸を戻して飲んでいましたが、子どもたちはもちろん、すき焼きのあとはこれ。すきやきの甘辛い醤油味がとけこんだ卵で卵かけごはんを頬張りました。

いつしか自分もおとなになり、お酒の味を覚え、すき焼きを食べるときはおつまみとしていただいて、〆にごはんを食べようという感じではなくなりました。でも今回は違います。

すき焼きを食べたあとに卵かけごはんでも食べようかなではなく、卵かけごはんを食べるために、その準備としてすき焼きをしたのだから。

懐かしいすき焼き卵の卵かけごはん。それはやっぱり卵かけごはんの王様だなと思いつつ、お茶碗をもってずずっと夢をすすった夜でした。

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