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焼き鯖そうめんは麺類だけどごはんが進む。

故郷を離れて長くなりました。
そうなると年に何度かの帰省の時期は、地元の味に触れる貴重な機会でもあります。

実家に帰る日程が決まって連絡をすると、必ず訊かれるのが「何食べたい?」というひとこと。ありがたいなと感じつつ「なんでもええよ」とつい答えがちですが、それでも思い浮かべる料理はいくつもあります。

🐟帰省のごちそう

そんなひと皿がこれ。

“鯛そうめん”とか“鯛めん”とか、実家ではそう呼ぶひと品です。

要は鯛を煮つけて、その煮汁でそうめんを煮含めるだけのシンプルなひと品なのですが、美味しいんですよね。
そもそも煮魚の煮汁って、甘からくて旨味たっぷりで、メインのお魚を食べたあと、お皿に残ったのをごはんにかけたくなりまよね。

その煮汁の旨味をたっぷりそうめん吸わせてしまうのですから、もうたまらないおいしさです。

そんな鯛そうめん。
なんとなく京都の郷土料理だと思ってたのですが、ある日調べていたら、四国のほうとか、けっこういろんな土地で親しまれているようでした。

よく考えてみると、京都の街中、いわゆる洛中は海から遠く、鯛なんかは昔は簡単に手に入らない素材だったはず。

そう考えると、納得いきます。いかにも京都らしい和食かなと思っていたひと品ですが、海に近い四国の郷土料理のほうがしっくりきますね。

🐟想い出のルーツは鯖街道にあり

それでも自分にとっては思い出深い味。
このルーツはなんなんだろうと思ってると、これがそれかもという料理を見つけました。

それが滋賀県の北部で親しまれてきたという、焼き鯖そうめんです。

湖北と呼ぶ地方、そのさらに北には日本海に面した福井県が位置しています。そこで獲れた海産物は京の都へと運ばれていました。

そのルートはもちろん福井から京都へと繋がる途中、滋賀県を通っていくわけです。

それが鯖街道と呼ばれる道筋で、その土地で生まれた料理が、焼いた鯖と素麺を煮つけた料理だったのです。

そういえば福井県の知人が、串に刺して焼いた立派な焼き鯖を持ってきてくれたことがありました。
きっと生のままでの流通が難しかった時代、塩や酢で〆たり、焼いてみたり、いろんな工夫をしたのだろうなと思ったりします。

そうして運ぶという目的にあわせた焼いた鯖は、福井から京都へ行く道中、滋賀県湖北地方にも根付いていったのでしょう。
それを使って生まれた郷土料理が焼き鯖そうめんで、それが時を経て流通事情がよくなり、いろんな魚を素材にアレンジされたうちのひと品が鯛そうめんなんだと思います。

🐟今回は鯖そうめん

というわけで今回のご当地グルメは、わが懐かしの鯛そうめん…じゃなくて、そのルーツかもしれない焼き鯖そうめんです。

🐟材料
・塩鯖…1切れ
・素麺…お好きな量
・しょうが
・昆布…1枚
・水…200㏄

昆布は水に浸けてだしを取っておきます。
この料理は関西風なので、出汁はやっぱり昆布です。絶対昆布。

まず素麺を茹でておきます。

のちほど味をつけて煮るので、袋に表示されている茹で時間より少し短めにしておきます。2分と書いてあれば1分ちょっとくらい。そんな感じです。

茹でたら冷水にとっておきます。

続いて塩鯖を焼いていきます。
小ぶりの鯖なので、焼くときはお手軽なオーブントースターを使います。

アルミホイルにうっすらとサラダ油を塗って塩鯖を載せたら、オーブントースターに。

皮に焼き色がついてパリッとするまで。10分ほどでOKです。

🐟ここから煮物モードです

🐟味付け
・醤油…大匙2
・砂糖…大匙2
・みりん…大匙1
・酒…大匙1

焼いた鯖としょうが、調味料を鍋に入れます。

鯖が味を含み、煮汁に鯖の旨味が出るように15分ほど煮込みます。
そうそう、地元では煮ることを炊くといいます。

「きょうはお魚炊くで(今日はお魚を煮るよ)」
「かぼちゃの炊いたんあるで(かぼちゃの煮物があるよ)」
「お揚げさんとお茄子炊いといたで(油揚げと茄子を煮ておいたよ)」

みたいな感じです。

そんなことをいってる間に鯖が炊けました。
いったん取り出して、さあ、そうめんの味付けです。

よく水を切ったそうめんを煮汁に投入。

🐟炊けた、炊けたよ

しっかりと煮汁を吸うように煮含めます。

お皿に鯖とそうめんを盛りつけます。

少し煮詰めた煮汁をたっぷりとかけて、彩りに万能ねぎを散らしました。

子供の頃って和食より、ハンバーグとかオムライスとか洋食の雰囲気や味付けにひかれがちですが、こういうお醤油、みりん、砂糖の甘辛い味付けって、妙に舌が覚えているのでしょうか。
なんだかノスタルジックな気分になるんですよね。

🐟ごはん、そうめん、そうめん、ごはん

想い出の味、鯛そうめんとおなじく、この焼き鯖そうめんも麺+魚という料理なので、これで一食完結しそうなボリュームの料理です。

でもこの“ザ・和食”な味付けのせいなんでしょうか、ごはんが食べたくなるんですよ。

ごはんにかけたくなる煮魚の煮汁。その煮汁を麺に吸わせたら美味しいはず。

それで完結するかと思ったら、その煮汁を吸ったそうめん。それがまたごはんに合うんです。

ごはん、そうめん、そうめん、ごはん。
その合間にちょっとビールか日本酒を。

焼き鯖そうめんはごはんもお酒も進むひと品です。




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