Tome館長

トメ。2016/2/12、開帳。作者表示・非営利にて無断使用可。英訳はGoogle翻訳…

Tome館長

トメ。2016/2/12、開帳。作者表示・非営利にて無断使用可。英訳はGoogle翻訳。 動画用朗読音声を常時募集。https://tomekantyou.hateblo.jp/

記事一覧

【シタール】悠久の断片

00:00 | 00:00

まさに今この時

Tome館長
14時間前
7

【SS】廃線の駅

ここは山の中。 とうの昔に廃線となった駅。 今は草木が茂り、錆びたレールを隠している。 さきほど汽笛が聞こえたような気がしたが おそらく空耳であろう。 脱線事故や…

Tome館長
1日前
6

【油絵】Luka

Tome館長
2日前
10

【SS】手袋と靴下

二階の窓から手袋を落としてしまった。 見下ろすと、一階の庇の上に載っていた。 運がいい。 まだ諦めるのは早い。 窓から身を乗り出して、手を伸ばす。 指先に当たり、…

Tome館長
3日前
11

【ビブラフォン】夜が明ける

00:00 | 00:00

我らの気持ちや都合とは関係なく

Tome館長
4日前
6

【思い出】手の痛み

保母さんの弾くオルガンの音が聞こえる。 幼い僕たちが小さな手と手をつないで 輪を作ってお遊戯をしている。 僕のすぐ隣はひとつ年長の女の子。 突然、その子とつないだ…

Tome館長
5日前
15

【やば絵】爛れなさい

Tome館長
6日前
5

【SS】手続き

住所のメモだけが頼りだった。 地図はなく、電話番号もわからない。 もっとも、住所だけで十分ではあった。 むしろ、これで見つけられない方が問題である。 途中で迷った…

Tome館長
7日前
6

【ナイロンギター】勿忘草

00:00 | 00:00

私を忘れないで

Tome館長
8日前
7

【SS】いい子でいてね

僕の家は五人家族。 お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、そして僕。 「いい子にしているんだぞ」 ある日、お父さんが家を出て行った。 「いい子にしているのよ」 …

Tome館長
9日前
11

【茶の背景】許しません

Tome館長
10日前
10

【SS】鏡の中のロンちゃん

マサト君という変な大人の知り合いがいて 僕の言う事をちっとも聞いてくれないので 僕は困っているんだけど その事を友だちの、ええと 友だちなのに名前を忘れちゃって申…

Tome館長
11日前
8

【琴】面影橋

00:00 | 00:00

渡った記憶はない。

Tome館長
12日前
4

【SS】デスクの胸像

オフィスを出ようとしていたら  女子社員のひとりに呼び止められた。 「これ、素敵ね」 彼女のデスクの上に胸像が置いてある。 それをボールペンの先で示しながら  彼…

Tome館長
13日前
7

【緑の背景】約束と違う

Tome館長
2週間前
5

【独白】忠告

殴られた記憶がある。 かなり昔の話だが忘れてはいない。 殴られたら誰だって痛い。 誰だって痛いから、誰だって  相手の痛みを想像できないはずはない。 それなのに相…

Tome館長
2週間前
13
【SS】廃線の駅

【SS】廃線の駅

ここは山の中。
とうの昔に廃線となった駅。

今は草木が茂り、錆びたレールを隠している。

さきほど汽笛が聞こえたような気がしたが
おそらく空耳であろう。

脱線事故やら人身事故が頻発し、
それら諸事情により使われなくなって久しい。

もともとは炭鉱のための線路であった。
草木に埋もれる前に時代に埋もれてしまったわけだ。

駅のホームから下の線路に降りてみる。
おそるおそる茂みを掻き分けて歩く。

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【SS】手袋と靴下

【SS】手袋と靴下

二階の窓から手袋を落としてしまった。
見下ろすと、一階の庇の上に載っていた。

運がいい。
まだ諦めるのは早い。

窓から身を乗り出して、手を伸ばす。
指先に当たり、手袋は下に落ちてしまった。

さすがに諦めなければ。

庇のすぐ下は水面だった。
洪水なのだ。

クラゲが浮かんでいるのが見える。

川の氾濫ではない。
海が氾濫したのだ。

庇の上には他にも載っていた。
ねじれた形の黒い靴下。

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【思い出】手の痛み

【思い出】手の痛み

保母さんの弾くオルガンの音が聞こえる。

幼い僕たちが小さな手と手をつないで
輪を作ってお遊戯をしている。

僕のすぐ隣はひとつ年長の女の子。
突然、その子とつないだ手に痛みが走る。

僕の手のひらに、彼女が爪を立てている。
幼いながらもすごい力。

驚いて横を見る。
その子の顔には憎しみが込められている。

わけがわからない。
憎まれる理由なんか思い浮かばない。

ほとんど会話したことさえないの

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【SS】手続き

【SS】手続き

住所のメモだけが頼りだった。
地図はなく、電話番号もわからない。

もっとも、住所だけで十分ではあった。
むしろ、これで見つけられない方が問題である。

途中で迷ったりしながらも目的地に着いた。
入口らしくない入口から建物に入る。

受付嬢らしくない受付嬢がいたので挨拶した。
「あなたはとてもきれいだ」

受付嬢はにっこり笑う。
「では、こちらへどうぞ」

合い言葉が通じたのだ。
奥へ案内された。

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【SS】いい子でいてね

【SS】いい子でいてね

僕の家は五人家族。
お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、そして僕。

「いい子にしているんだぞ」
ある日、お父さんが家を出て行った。

「いい子にしているのよ」
ある日、お母さんも家を出て行った。

「いい子でいろよ」
ある日、お兄さんも家を出て行った。

「いい子でいてね」
ある日、お姉さんも家を出て行った。

だけど、誰も家に帰って来なかった。
みんな失踪してしまったのだ。

僕だけ家に残

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【SS】鏡の中のロンちゃん

【SS】鏡の中のロンちゃん

マサト君という変な大人の知り合いがいて

僕の言う事をちっとも聞いてくれないので
僕は困っているんだけど

その事を友だちの、ええと
友だちなのに名前を忘れちゃって申し訳ない。

その友だちに相談したら

「ああ、それならロンちゃんに頼むといいよ」
と言うんだ。

「ロンちゃん?」
「そう、ロンちゃん」

「何、それ?」

「ほら、そこに手鏡があるだろ」
とコウが

あっ、思い出した。
コウという

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【SS】デスクの胸像

【SS】デスクの胸像

オフィスを出ようとしていたら 
女子社員のひとりに呼び止められた。

「これ、素敵ね」
彼女のデスクの上に胸像が置いてある。

それをボールペンの先で示しながら 
彼女は感心したような表情。

石膏を削って表面に着色したもの。

彼女の姿形に似せて僕が作り 
僕が彼女にプレゼントしたものだ。

「それは、どうもどうも」

嬉しくなり、彼女と話し込もうとしたら 
別の女子社員が声をかけてきた。

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【独白】忠告

【独白】忠告

殴られた記憶がある。
かなり昔の話だが忘れてはいない。

殴られたら誰だって痛い。

誰だって痛いから、誰だって 
相手の痛みを想像できないはずはない。

それなのに相手を 
なぜ殴る事ができるのだろう。

自分がされて困る事を相手にする人は 
まったく理解に苦しむ。

本当に困った人だ。
嫌われても仕方ない。

それでも構わないとしたら、不幸な人だ。

いつか殴り返されるだろう。
あるいは、刺さ

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