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【短編小説】可愛くないモノ

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短編小説。 14歳の頃の「先生とのプラトニックな恋」を、未だに忘れられない25歳、派遣OL翠。唯一の理解者だった先生との再会で、止まっていた時間が動き出す……。
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記事一覧

【短編小説】可愛くないモノ Vol.12 最終話

会社でパソコンに向かいながら、私は昨日の出来事を思い出していた。 先生が来るとすぐに彼女…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.11

「彩菜さん、紅茶派なんですね」 「え?あぁ、そうなの。私コーヒー苦手で」唐突に話を変えた…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.10

私達は病院の近くのカフェに入った。私はアイスコーヒーを、彼女はアイスミルクティーを注文し…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.9

先生とは、あの後すぐに彼女が出てきてしまって、それ以上話せなかった。―今日、また会えない…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.8

昨日早退したお陰で、今朝は随分楽だった。いつもより一本早い電車で会社に向かうと、廊下で高…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.7

夕方、少し楽になった私は、以前医師から紹介された心療内科へ向かった。帰宅ラッシュで、電車…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.6

私が会社に着くなり、優香がニヤニヤしながら駆け寄って来た。 「翠―」そう言って、優香は綺麗にマツエクの付いた目を見開き、私の顔を覗き込んだ。 「あー、はいはい、ごめんって」私は投げやりに言った。 「何で謝るのよ。いいんだって。今回は翠が主役だったんだから」 「え、何それ?聞いてないよ」 「だって言ったら翠、絶対来ないじゃない。ほら、一応さ、落ち込んでないとは言え、別れがあれば出会いもないとね」あっけらかんとしている様に見える優香の、こういう優しさが私は好きだった。 「そんな風

【短編小説】可愛くないモノ Vol.5

「はい、これで8人全員揃ったね」私と優香が少し遅れて店に入ると、優香の前の会社の知り合い…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.4

あれは多分、五歳くらいだったと思う。桜の綺麗な季節に、私と妹は祖母に連れられ動物園へ出掛…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.3

「ねぇ翠、今週の金曜日、コンパ行かない?」優香はおはようも言わず、顔を合わせるなりそう誘…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.2

私と先生が出会ったのは、中学二年生の時。先生が、私のいる中学校へ赴任してきたのだ。 当時…

【短編小説】可愛くないモノ Vol.1

「いいねぇ。その、危うい感じがいいんだよ。君は美しい」そう、先生は言ったのだ。 それは、…