見出し画像

【Common Disease】 片頭痛 ①

片頭痛はCommon(日常疾患)でもあり、救急疾患でもあります。
片頭痛のチョイスは自分の以下の経験からでした。
「私片頭痛持ちです!」という人のほとんどが自己診断のみで、受診はしていませんでした。そうなんですねーと相槌しながら心の中では「それ本当に片頭痛か?」と毎回思っていました。
なので今回の目的は、片頭痛を理解していただくとともに、自分が当てはまりそうだなと思った人に受診してもらいたい、というものです。
内容のメインは救急で見られるような発作の片頭痛になります。
複数記事に分けております、しっかり学んでいきましょう!


片頭痛とは?

定義

頭痛には「一次性頭痛」「二次性頭痛」「その他の頭痛」があります。ざっくりいうと何かの病気から頭痛が来ているものが二次性頭痛(脳卒中や感染症など)、一方で頭痛自体が病気の原因なのが一次性頭痛です。
頭痛を見たらまず我々救急医は二次性であることを問診や診察、必要であれば検査をすることによって診断・除外します。
片頭痛は一次性頭痛にあてはまります。

片頭痛の典型的な特徴は以下の通りです。

  • 多くは頭の片側、無治療では数時間以上継続する

  • 頭痛により生活に支障がきたす

  • 前兆がある(頭痛がおこる前の特徴的な症状)

  • ズキズキといった拍動的な痛み

  • 吐き気を伴う、もしくは吐く

  • 光や音に過敏になる

全てが当てはまらない人もいますが、頭痛+拍動性+吐き気は一次性頭痛なら片頭痛の可能性が高いです。
多くは片側って、片頭痛って言うからそりゃ片方やろ、と思うかもしれませんが両側や後頭部の真ん中など意外とバリエーションはあります。

疫学(どんな人がなりやすい?)

わが国の片頭痛の年間有病率は8.4%で、前兆のない片頭痛が5.8%、前兆のある片頭痛が2.6%である。片頭痛の有病率は20〜40歳台の女性で高い。未成年者における有病率は高校生9.8%、中学生4.8〜5.0%、小学生3.5%である。

頭痛の診療ガイドライン 2021

10人に1人くらい、結構多いですね!世界的にもほぼ同じ有病率です。
実は子供にも起こりうるということを知っておいてください

片頭痛のメカニズム(Tips⦅豆知識⦆程度に)

結局片頭痛ってなんやねん、と思う方もいますでしょうか?
片頭痛の頭痛発作には三叉神経の関与が考えられています。
三叉神経とは脳から出る神経で、おもに顔の痛みや冷たいなどの感覚を担っている神経ですが、これが硬膜という脳の皮みたいなところにも分布しています。これが炎症を起こすことで痛みが生じるようです。
また、セロトニンというホルモンも関係していると言われており、後に説明するトリプタンという薬が効く理由となっています。

まとめると、神経の炎症やホルモンの影響でおこるということです


片頭痛の前兆や起こしやすい・悪化させやすいもの

片頭痛の前兆

先ほど示した通り、片頭痛の3人に1人くらいは頭痛の前に特徴的な症状がでることがあり、それを前兆と言います。
頭痛の1時間前から直前までに生じるもので、5分以上かけてゆっくり進行していき最終的には頭痛を発症します。世界的にはaura(オーラ)と呼びます。
前兆は細かく言うと多数あるのですが、ここでは典型的と言われている視覚症状・感覚症状・言語症状の3つを説明します

  • 視覚症状
    明るい(白い)点もしくは視野欠損(一部が見えない)。
    徐々に大きくなり、最終的には歯車やCの形などになります。

  • 感覚症状
    通常は視覚症状に後続する、顔や腕・脚の片側がチクチクする。
    口の中や舌の片側にでることもある。

  • 言語症状
    言葉がでにくい、頭で考えていることと異なる発言してしまう(錯語)。
    例)頭では帰りたいと思っているが、カレーが好きと言ってしまう
    ↑めちゃくちゃ極端な例を挙げてすみませんw

誘発因子、増悪因子

  • ストレス(頻度が多い)、疲れ

  • 女性ホルモン(生理)

  • 天気

  • 寝不足(頻度が多い)

  • アルコール

  • タバコ など


この記事のまとめ

少し難しめでボリューミーな内容のため簡単にまとめておきます。

片頭痛は頭痛自体が病気である一次性頭痛に該当し、女性に多く、小学生にもみられ、10人に約1人が発症します。
多くは頭の片側にズキズキする痛みがあり、吐き気を催し、日常生活を困難にさせます。また、3人に1人は目が見えにくい・皮膚の感覚が変・言葉が出にくいといった症状がでます。
ストレスや寝不足、天気、ホルモンなどにより発症しやすくなったり、悪化したりします。

以上で一部を終了します!お疲れ様でした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?