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日日是好日

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日記まとめです。
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記事一覧

知っていく

春が吹き込んでいる。少女のような母と食事の約束をした。今まであまりそういうことをしたことがなかった。大人なのだけれど、どこか気恥ずかった。反省。子供なのは私の方だった。春、舞い込む。と、思っていたら呼吸している間に夏になってしまいそう。
実は、人間はいつだって自分の正体がわからない。自分自身が一番知らないのかもしれない。
愛犬がお腹を空かせて記憶喪失になっていた。そんなアピールの仕方もあるんだ、か

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日々条文

コーヒーについて。春眠暁を覚えずのため、朝起きると頭がぼんやりしている。チョコレートとコーヒーが無いと動けない体と脳なので、毎日摂取する。活動せよ、刮目せよ。今日も日日是好日、安泰です。

唄うこと。つま先から脳天まで水が流れるような心地で唄う。音階を拾い集めて五線譜に載せていく。下手の横好きでも、気持ちが良い。スピッツの春の歌。春風を呼び込むような唄。

足元に感じる気配。確かにそこにいてくれて

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消失と産声

母が、桜が嫌いになった、と零した。
愛犬のリラが「桜の季節に向こう側にいく」と獣医から告げられていたからだ。
桜が半分葉桜になり花びらが吹雪いている。季節は巡っていく。命も、巡っていく。日々産声がどこかであがる。
忘れることは無いけれど薄れていく記憶。かたちをなくしても傍に居続ける存在。
季節がやがて涙を攫っていく。前へ前へと歩み始める。愛おしさや優しさはかたちを持たないけれど私たちの中で生き続け

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春うらら、

風邪を引いた。出かけたいという想いが先走る。ドリンク剤一本で無敵になれる。いつでもエンジン全開で走り抜けていたい。若くて体力があるのは今だけ。駄文。

ファッションは武装。その日の空模様(お天道様の機嫌)と心地と心の奥の自分らしさ手繰り寄せる。自己表現は、とっておきのお気に入りだと思う。

幸せとは?日銭を汗水垂らして稼ぐこと?ではなくて、時間の中で自由に生きること。何者にも、何物にも縛られず、犬

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天国の食事

久方ぶりに家族と食事に出掛けてきた。
カウンター席で、私を真ん中に挟んで三人並んで席に着いた。今まで、テーブル席にしか座ったことが無かったので、新鮮だった。外はどしゃぶりで、それでもなぜか今行かなければならないと何となく思って三人で出向いた。

たわいのない会話をした。
「あれ、wi-fiかな」
「あの置物ピザーラの箱だ」
私たち家族は冗談を言うのが苦手で、あまり気の利いたことは言えない。いつもそ

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天麩羅の祝祭、食事は其れ即ち

本日は天麩羅祭りだった。

天麩羅を大量に揚げた。海老、蛸、半熟卵、茗荷、紫蘇チーズの五種類。天麩羅粉が無かったので、代用として薄力粉、水、マヨネーズを和えて使った。蛸は下味して一番初めに油の中へ投入した。思いがけず、油から攻撃を受けた。ばちばち弾ける油。うおー、うあー、と喃語を口にしながら懸命に天麩羅と戦った。蛸は下味を付けた所為か、衣が茶色っぽくなってしまった。海老は殻と頭を取り、油に入れたら

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砂糖菓子の箱庭と哀嘆のきくらげ

友人の話。「趣味がない」と彼女は悩んでいた。
私は趣味というのはとても幅広いと考えていて、例えば読書であれば本の虫で月に何冊も読む、という人もいれば仕事の合間に少ししか読まない、と言う人もいると思っていて、つまるところ「読書家」を名乗るのは本人の自由だ、ということを考えた。
彼女がインスタグラムのストーリーに投稿するカフェで食べたであろうパフェの数々はとても「彼女」そのものを投影して顕しているよう

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ハッピーメントス、君に幸あれ

占いに行ってきた。マリア先生(仮)という方で、HPに載せられていた写真と大分違う姿をしていらっしゃったのは、俗世に溶け込むという意図があるのかもしれない。胡散臭さ万点だと思って物見遊山で行ってきた。守護霊を霊視する、とのことで鑑定してもらった。
私には何が憑いているのだろう。狸か狐か、ハクビシンか。かわいい生き物だったら良いけれど、真っ黒くうねうねして心に蔓延る鰻のような正体不明の何かに憑かれてし

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幸福論は逆上がり

幸せなことは口に出してしまうと持っていた意味が逆さまになってしまう感じがする。だからひそやかに秘めるのだ。ため息に紛れて逃してしまわないようにするのだ。おまじない。

2022/5/13

抱擁の、引力

抱擁の引力。ふわふわの栗毛に覆いかぶさって二本の腕で抱きすくめるようにすると、うとうとし始めて体をこちら側に預けるように傾ける。シンパシーで感情が感情に作用する。緩い紐で引っ張られるように体を預けてくれる。抱擁の引力。

2022/05/16

記憶の断片

捨てたいものもたくさんあるけれど捨てられないものもたくさんある家。整理整頓が得意な父がこの顔のなくなってしまったぬいぐるみを大事にとって飾っている意味は家族の記憶を大切にしまっているということなのだと思う。普段寡黙な父が言葉にしないこと。
不器用な父が、心にしまっていること。

雨天の朝、降り立った金髪

突如、金髪になる夢を見た。全体が白に近い右近色で、先がショッキングピンクに染められていた。いきなり見たのだけど、あれは一体なんだったのだろう。
たぶん、私は自分で思っている以上にヤンキーなのだと思う。
ヤンキーというのは俗な言い方で、チンピラとか、不良とか、そんなような感じの金髪で、腕に蛇がのたくっていて、三白眼で、みたいな彼ら彼女らを思い起こすけれど、(悪口ではない)彼ら彼女らは己のポリシーを貫

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呼吸

文章に息を吹き込む感覚を思い出してきたような。零れ落ちる言葉、頭が留めて置けないので必死に指先動かして取り留める。取り止めのない言葉だけれど。

雨続く。そんな日和だからこそボタニカル柄の河谷シャツを着込んで春めいてみる。

2022/04/04

天文学的思考の向こう側

ゴムの木。すらりと伸びた枝先に葉の落ちた痕を見つける。そこだけ原色に染まった主張。アマゾンの森をそこに垣間見た。
祖母が殺風景だと言って連れてきた親子のようなゴムの木。生命はいつだってどこにでも息づいている。
黙って花冷えの指先で葉を撫でた。

洗濯物と一緒に置かれていた丸い釦。
その穴の先からある世界線に繋がっているような、無いような。
紡ぐのは私自身。洋服から離れて釦それ一つとしての芸術性。少

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