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勤労感謝の日

私の仕事は病院でのリハビリ。

リハビリテーション科の部長の下の科長の下。一応役職はついている。

世の中では中間管理職というのだろうか。中の上といった位置づけだろうか。

リハビリテーション職種は夜勤がない。それから、専門的にいえば、「名称独占」であって、医師や看護師のように「業務独占」ではない。医師の指示がなければ療法を行うことはできない。そのためか、役職はついていても入りたての看護師よりも給料は少ない。

一般的に夜勤はないのが魅力だが、回復期リハビリテーション病棟ともなると早朝勤務があったり、定時で終わらないことなんてザラだ。

定時で帰っていく医師や看護師、介護士、薬剤師、診療放射線技師などのスタッフを見送りながら、なぜこんなにも働くのか、と自問自答することは多い。


回復期リハビリテーション病棟、その言葉が全ての罠だ。

リハビリ病棟と名のついた病棟となると、リハビリテーション科の職業で療法士と呼ばれる、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)に患者の回復への責任がのしかかってくる。

患者、家族、スタッフからも。

もちろん、医師や看護師、介護士をはじめとした他のスタッフも大いに関わるが、リハビリテーションという文字を背負っている療法士への目は違う。

実際に身体に触れて検査や評価をしながら症状を軽減したり、できないことがあればその原因を探って工夫しながら自分でできるように導いたり、日常生活で使う道具を選定したり、方法を教示したり、患者と一緒に訓練、練習するのは療法士だ。

そこに患者の気持ちがついて来なければ、ついてこれるように気持ちのサポートもする。

身体に触れる場所や触れ方、声かけや振る舞い、表情にも気を使うことが必要だ。

態度や声色、雰囲気に敏感な小児や、言葉に障害が出る失語症の方に対応する時は特に大切になる技術だ。

患者本人へのアプローチだけでなく、安心、安全に自宅生活が送れるように介助者に介助方法の指導をしたり、本人や家族に症状の説明をしたり、介助や生活をしやすいように家屋環境や家屋改修へのアドバイスも行う。

患者本人だけでなく、家族の気持ちへの配慮も必要になる。

それを一手に引き受けていることも少なくない。

そういう部署の中間管理職は、上司からのアドバイスをわかりやすく部下に伝え、部下からの提案を吟味しブラッシュアップして形にできるように上司に伝えて許可を得る。部下に対して叱咤激励しなければいけないこともある。

時には療法士と病棟スタッフの間に立ち、それぞれが円滑にアプローチできるようにサポートすることもある。

いわゆるマネジメントというものか。

病気や障害に対するアプローチは患者や家族の生活に関わるし、人生を背負っている。

回復期リハビリテーション病棟を退院したら、今後集中的なリハビリを受けることができなくなる。

そこへの責任は重大だ。

どうしてそんなに頑張れるのか?

誰かに聞かれたことがある。

頑張っている自覚はなかったので、うまく答えられなかった。

それが仕事だから。患者にとって必要なこと、リハビリテーション職種として当たり前のことをしているだけ。

そうも思ったが、疲れる時はある。

頑張っているのかもしれない。

では、なぜ頑張れるのか?

もしかしたらそれは、目の前に病気や障害と向き合い、不自由になった手や足、思考回路で、日々努力して、失敗を重ねながらも生活に戻れるように頑張っている患者や家族がいるからかもしれない。

私達よりも目の前にもがき苦しみながら、頑張っている人がいるからだ。


その人らしく、その人らしい人生を。

全人的復権。


リハビリテーションの目的を忘れずに、日々精進したい。



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