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『夜明けのすべて』の自転車たち
『夜明けのすべて』をみてきた。すごくよかった。山添くんが自転車に乗るシーンがとても気持ちよさそうで印象的だったけど、その感じが最後の自転車でコンビニに行くシーンにまでつながっていて、この作品にとって自転車とはなんだったのか、ちょっと考えてみたくなった。
プラネタリウムが重要な役割を果たす物語なのに、自転車で終わる。考えてみると、自転車は、自転する地球や、移動式のプラネタリウムなど、作中に出てく
まだ人生の十二月に達してはいないが……
憂うつだと感じるときにはいつも、「自分の人生はもう終わってしまった。いまさらなにをしても、手遅れだ……」と感じる。まだたくさんの時間がある、近所の子どもたちをうらやましく感じるのはそんなときだ。それなら、と憂うつでないときがどんなときかを考えると、「人生、まだ終わってないかもしれない」と思えるときで、そうするとどうやら、憂うつの感覚には、時間をどう感じるか、ということが関わってきそうだとわかる。
もっとみる息づく日常の吹奏楽:『響け!ユーフォニアム』の感想文
『響け!ユーフォニアム』の1期、2期、「リズと青い鳥」、「誓いのフィナーレ」を見返した。まとめて感想が書けそうな気がしたので、書いてみる。
まず、このシリーズのメインは音楽ではなく、人間ドラマだと思った。どの作品をみても、いますぐ吹奏楽をやってみたいとはあまり思わない。だから、管楽器を吹きたいと思っている自分には、ちょっと物足りなかった。けれど、2期から「リズ」へと進んでいくあたりで、印象が
波よせて(20230913)
広い空、広い海を求めて神奈川へ。
海水浴の期間はすでに終わっていて、海にはサーフィンをしている人がまばらにいるばかりだ。
空と海の景色、海の匂い、波の音、潮風。それらをぞんぶんに楽しんでいると、なぜだかサーファーの姿が気になってくる。砂浜のほんのちょっと先、広い海からすればほんのはしっこで、なにをちまちまやっているのだろう。
人間はいったい、なにをしているのだろう。
サーファーは
『無職本』から「新宝島」へ
『無職本』という本を読んだ。ブックオフで見かけ、惹かれて手に取ってみた。内容は、いろんな人が自分の無職の期間を振り返って、それにポジティブな意味を与えていく、という感じだ。
本はそこまで響かなかったけど、わたしの無職期間も一年を超え、そろそろ終わるのではないかという根拠なき予感がしはじめているので、ここらへんで無職についていま思うことをまとめてみる気になった。
無職についての一般的な印象
厨房の芸術家たち:『Artiste』の感想文
さもえど太郎『Artiste』の9巻を読んだ。おもしろかった!
読み終えてふと、そういえば、この作品にはいろんな芸術家が出てくるけど、孤独な芸術家、みたいな存在がぜんぜん出てこないな、と思った。
物語の中心人物である料理人・ジルベールが働く「厨房」でも、彼をはじめ、さまざまな芸術家が生活する「アパルトマン」でも、芸術家たちはあたりまえのように交流しあい、刺激を与えあっている。
この芸
石川博品「あたらしくうつくしいことば」のノート
最近、「表現者」とか「表現すること」がテーマの本をいろいろと読んでいて、その流れで手話を題材に表現の可能性を探求した青春小説「あたらしくうつくしいことば」を読んだ。そのまえに読んだ、同じ石川博品作品の『先生とそのお布団』のテーマが「小説家であり続けること」だとしたら、「あたらしくうつくしいことば」のテーマは、「小説を書くまで」だろうか。
とてもよかったので、感じ考えたことをほんのちょっとだけ