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映画部コラム

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U-NEXT映画部メンバーがリレー形式でお送りするコラムです。
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「めっちゃ泣いた」のその先へ。『あの花〜』鑑賞後には絶対これを観てほしい

「めっちゃ泣いた」のその先へ。『あの花〜』鑑賞後には絶対これを観てほしい

U-NEXT映画部・林です。昨年末公開された超話題作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が、いち早くU-NEXTで配信開始されました。

1945年にタイムスリップした現代の女子高生が特攻隊員の青年に恋をして…という物語が中高生を中心とした若年層に刺さり、当初の予想をはるかに超えて興収45億円を突破した本作。

若者に届いた要因は「とにかく泣ける」という宣伝であり、「めっちゃ泣いた」という口

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セリーヌ・ソンとアピチャッポンを観て、「静かだけれど雄弁な映画」について思いを馳せた。

セリーヌ・ソンとアピチャッポンを観て、「静かだけれど雄弁な映画」について思いを馳せた。

声に出して言いたい映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン。面白がってるわけじゃなくて、こちらの表記、タイ語の発音を日本語カナでどう表記するかでかなり揺れて、結果的にご本人の発話をもとに「アピチャッポン・ウィーラセタクン」に統一されたそうです(wiki情報)。思わず大事に声にだしてみたくなりません?名前というアイデンティティに関わるものだからこそ、異言語での表記の仕方って難しいし、ご本人の発音を

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2024年の興行を牽引する映画はこれ!そしておそらく日本一早い年間興収予想発表!

2024年の興行を牽引する映画はこれ!そしておそらく日本一早い年間興収予想発表!

U-NEXT映画部の林です。2024年の第1Qが終わりました。ということで、スーパー気が早いですが、今年の年間興収はどこまでいくのでしょうか?昨年はGW明けにやったこの乱暴企画を、1ヶ月半早めてよりワイルドに決行します!

昨年は2421億円と予想して、結果は2214億円でした。9.1%の誤差、うーん微妙。後半の失速を読み切れなかったのは、ハリウッドのストのせいにしておきましょう。ちなみに、昨年の

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新しいエンタメの楽しみかた、広めかた。(New Counter Films、ハヤカワ文庫映画原作フェア、ゲキ×シネ meets U-NEXTの話)

新しいエンタメの楽しみかた、広めかた。(New Counter Films、ハヤカワ文庫映画原作フェア、ゲキ×シネ meets U-NEXTの話)

ずっとわちゃわちゃと準備してきたことがいくつか世に放たれまして(情報解禁されまして)、少しホッとしております。映画部の宮嶋です。

「忙しくて目がまわりそうだ!」と思っていたら先週本当に目がまわったんですけれど、内耳のなかにあるべき耳石がわちゃわちゃ移動して三半規管に入り込んだらしいです。耳石までわちゃわちゃしなくていいのに。落ち着いて、私の耳石。

そんなわけで、私の耳石もソワソワしちゃう新しい

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2023年の「いい日本映画」TOP10発表!

2023年の「いい日本映画」TOP10発表!

U-NEXT映画部の林です。いよいよ今年の映画賞レースも大詰め。ということで昨年に引き続き、各映画賞の結果を強引に得点化して、2023年の日本映画を評価軸でまとめてみます。

映画業界内で「権威がある」とされていたり、長い歴史があったり、受賞者が喜んで授賞式に訪れたり、という点を考慮して、8つの映画賞をピックアップ。

部門の作りが特殊ではなく、既に今年も発表されているアワードに限定しているので、

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傷ついた、苦しかったと認めることから始まるもの。『一月の声に歓びを刻め』とか、『哀れなるものたち』に見出した個人的な希望とか。

傷ついた、苦しかったと認めることから始まるもの。『一月の声に歓びを刻め』とか、『哀れなるものたち』に見出した個人的な希望とか。

私事ですが誕生日が近いせいか、これまでどう生きてきたのか、これからどう生きていこうか、というようなことを考えがちです。ちょっとノスタルジックになってるかもしれません、映画部の宮嶋です。

ちなみに、誰かを傷つけるような表現や、今でいうマイクロアグレッションが、身の回りでもメディアでも普通のこと、時には“面白いこと”としてまかり通っている時代に育って、大人になってからハタとそのことに気づいて愕然とし

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アフターコロナの映画界はこうなった(映連データを読み解く2024ver.)

アフターコロナの映画界はこうなった(映連データを読み解く2024ver.)

U-NEXT映画部の林です。映連から映画概況データが発表されましたので、昨年までと同様、この数字から気づいたことを書いていきます。コロナ禍真っ只中だった2年前はこの数字を元に、アフターコロナの映画界に思いを巡らせたわけですが…

アフターコロナが実際にやってきた2023年は、果たして映画界にとってどのような年になったのでしょうか。

公開本数は史上2位と完全復活

まずは公開本数から。邦画は史上2

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この春までの私的「観るぞ!」ラインナップ12作品(新作予習のためのおさらい作品情報つき)

この春までの私的「観るぞ!」ラインナップ12作品(新作予習のためのおさらい作品情報つき)

今年の映画館初めは、ユーロスペースさんで『ほかげ』『枯れ葉』をハシゴ。いずれも素晴らしく心に残る作品で、最高の2024年映画ライフの幕開けとなりました。映画部の宮嶋です。

今年もワタクシ的に期待しかない映画が続々と劇場公開されるので、もう鼻息荒くスケジュール帳に公開予定日を書きこむ日々です。

というわけで、この春までに公開される作品の中から、とりわけ楽しみにしているものを自分のための整理も兼ね

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映画の奥深さはここにあり!未公開洋画2023年TOP10発表!

映画の奥深さはここにあり!未公開洋画2023年TOP10発表!

U-NEXT映画部・林です。あと2週間で今年も終わり! U-NEXTの年間総合ランキングはもうまもなくリリースされると思いますので、ここでは昨年に引き続き、あまり世間から注目されていないけど重要な存在、未公開洋画の2023年TOP10をご紹介します。

未公開洋画とは「日本の映画館で公開されず、ダイレクトに配信 or DVDリリースされた外国映画」のこと。そして未公開洋画の楽しみ方は昨年、ここにま

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今年も映画賞レースがはじまる…!からの、ONLY ON U-NEXT映画をどう決めているかの話(第15回TAMA映画賞授賞式いってきました)

今年も映画賞レースがはじまる…!からの、ONLY ON U-NEXT映画をどう決めているかの話(第15回TAMA映画賞授賞式いってきました)

じゃじゃーん!先々週末、東京都多摩市のシンボル、パルテノン多摩に初上陸しまして…

大ホールで行われた第15回TAMA映画賞授賞式にお邪魔いたしました。映画部の宮嶋です。

今年も映画賞レースの季節なんだなぁ、1年早いなぁ…と思いつつ、だいたい来年の3月まで断続的に続くこの「映画の1年間の総括&お祝い」なムードに心躍ります。

TAMAでは、私たちが配給委員会というかたちで関わらせていただいている

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「才能よ、雪に埋もれるな。」YMFノミネート作品、配信開始!

「才能よ、雪に埋もれるな。」YMFノミネート作品、配信開始!

山形国際ムービーフェスティバル(通称YMF)に足を運んできました。U-NEXT映画部の林です。U-NEXTは「若きクリエイターを発掘し、映画文化を東北から盛り上げていこう」とするこの映画祭の意志に共鳴し、連携をスタートしています。

19回目を迎えた今回は11月10日からの3日間、東北最大級のスクリーンを持つMOVIE ONやまがたを舞台に行われました。招待作品とコンペティション部門からなる映画祭

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懐古と出会いのリバイバル上映、いろいろ。

懐古と出会いのリバイバル上映、いろいろ。

先日The Beatlesが新曲をリリースしたので腰を抜かしました。映画部の宮嶋です。

こんなに長い年月あっためていたのか!!と思ったら、ジョン・レノンの生前の引き語りのカセットテープから歌声だけを抽出、存命の3人の分は別途レコーディングし、重ねて出来上がったものらしいです。最新の技術があってこそ可能になったことなんですって。すごい…!

まごうことなき4人のビートルズなんだよな~、すごいな~。

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嘘と秘密と真実と遠回り。(映画『アンダーカレント』に思うこと)

嘘と秘密と真実と遠回り。(映画『アンダーカレント』に思うこと)

「台詞は嘘をつく」。
シナリオ学校に通っていた時、さんざん教えられたことです。(実はむかし、脚本家を目指して頑張っておりまして、リアル『ばしゃ馬さんとビッグマウス』でした………あ、麻生久美子さんに自分を投影しちゃいましたご容赦ください!)映画部の宮嶋です。

愛を告白するシーンであえて「好き」って言わせない。別れのシーンで「さびしい」と言わせない。ハッピーなシーンで「幸せだね」って言わせない。悲惨

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新しい才能が世の中に見つかる瞬間に立ち会ってみませんか?「PFFアワード2023」配信開始!

新しい才能が世の中に見つかる瞬間に立ち会ってみませんか?「PFFアワード2023」配信開始!

U-NEXT映画部・林です。今年もぴあフィルムフェスティバル(PFF)の季節がやってきました。9月23日までの間、東京・京橋の国立映画アーカイブで開催中です。

PFFのメインイベントは、自主映画のコンペティション「PFFアワード」です。森田芳光、中島哲也、黒沢清、橋口亮輔、矢口史靖、中村義洋、石井裕也…と錚々たる日本映画の才能たちを発掘し続けて、今年で45回目。本当に頭が下がります。PFFの活動

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