心のど真ん中が自分の中心(エッセイ)
やめたいことがある。山ほどやめたいことがあるのだけれど、おおかたやめられない。その理由を突き止めたい。
一つは、食べすぎてしまうことである。
昨日も、今日も食べすぎた。
食べすぎると、やっぱりよくないことがある。
肌の治安が悪くなることだ。
むくみとかニキビ、余分な栄養が逃げ場をうしなって顔に腫れを生み出しているような現象がひんぱんに起こる。
こうなってしまうと、顔の肌の痛みと一緒に、心の治安も悪くなってしまう。今まで均衡状態を保っていた「活動への意欲」や、メンタルヘルスが崩れだすきっかけになる。
だから、今一番やめたいのは食べすぎてしまうこと。
そして、同じくらいやめたいことは「先延ばし」。
ポチポチポチとスマホをいじり時間が過ぎる。やりたいことがあっても、「面倒くさい」から何か他の時間を潰せるものに逃避する。
ということで、数あるやめたいことの中でも「食べ過ぎ」と「先延ばし」が今最優先でやめたいことだ。
この「やめたいこと」をどうやめるかが悩みどころ。科学的に考えてどうすればいいかというと、多分そのことをやるまでに多くのコストがかかるようにすればいいという結論になるだろう。
例えば、食べ過ぎるのをやめたいなら、お皿の大きさを小さなものばかりにして、たくさん食べたい場合に「多く品数を作らなきゃいけない」あるいは「何回もおかわりをしに行かなきゃいけない」という労力・コストをふやす。
先延ばしをやめたいなら、その原因であるスマホをいじれないようにタイムロッキングコンテナ(タイマーが鳴るまで中に入れたものが取り出せない箱)を利用するとか、
タスクが可視化されてすぐ取りかかれるようにToDoリストを利用するとか、あるいは先延ばししたくないことに対して「報酬」をつけて、
・今やるべきでないこと→労力がかかるからやりたくない
・今やるべきこと→すぐ手を付けられる/報酬を得られるからやりたい
というふうになるように、環境を整備してみる。
こんな科学的なアプローチの仕方がある。
だが、私の経験の中ではこんな小細工は通用しなかった。
食欲がおさまらないときに、前もって何かお皿に工夫をしておいたり、食べたらすぐに歯を磨いてしまうように決めておいたとしても、食べたいんだからどうにかして食べてしまう。
先延ばししてしまうとき、いくらでも楽しそうなことが見つかるのでひとつ穴を塞いでも、違う穴から逃げ道ができてしまう。スマホをいじらないようにと買ったタイムロッキングコンテナも、面倒だから結局使わない。
じゃあ今までどんなときに「やめたいこと」をやめられたのかというと、「強く心に決定する」ことでやめられた。
結局、科学的でもなんでもない、根性論でしかない。
自分の心のど真ん中(中心)で、「絶対食べない」と本当の本当に強く決定しているなら、本当に食べないでいられる。逆に、そう決められていないなら何をどう頑張ったって変われない。マジの本気で腹を括ることだ。
意志の力でこそ人は変われる。
過食気味な時期と、そこそこのところで食べ続けるのを踏みとどまる時期を繰り返しているのだが、
後者の時期がどう訪れるのかというと、これは例外なく「食べないったら食べないんだ」と決めているときだった。
1ヶ月後に好きな人と食事に行くから体型と肌を万全にしておけるように、食べるのをセーブしておくとか、何かの理由と一緒に強く「意志」が働いている必要がある。
こうなると、自分の選択が自分の境遇にプラスの影響を及ぼす度合いがかなり大きくなる。
現状に「自己決定性」が伴うので、生き生きと活動できるようになるし、
食べすぎずにからだの調子が良かったりしたら「生き心地」がとても良くなる。空気に飲まれずに、選択と張りのある生活ができるのだ。
だから、どうすればいいのかというと、ただ、心のど真ん中(自分の中心)に何を入れておくかということを決定すればいい。
心の中、自分の中心はもともと空っぽである。そこに何かを入れる。人はただそれをやる。
やめたいことが「食べすぎること」なら、とにかく食べすぎない、絶対になにがあっても食べすぎないというふうに本当の本当に心に決めるだけ。
やめたいことが「先延ばししてしまうこと」なら、とにかく先延ばししないでやってしまえばいい。まずやる、いいからやる、言い訳しないでやるだけ。心にそう決めるだけ。
心のど真ん中には、これはする、これはしないということが決断された状態で置かれていること。それを本当の本当に忘れないようにしたら、人は変わることができる。
なんだってできるし、なんだってやめられる。人の選択の力、意志の力、決定の力は本当にすごいのだ。忘れないように手にマジックペンで書くでもいいし、四六時中ずっと頭の中でそれを唱え続けるでも良い。
必要なのは覚悟だけだ。覚えると悟るんだ。
忘れないようにと悟るんだ。
痩せることだってできるし、勉強を長時間することだってできるし、タスクをすぐに全部やり切ることだってできるし、きっと酒をやめることだってできる。結局、そう決めることなんだ。絶対にそうすると選択してしまうしかない。
今の私にかかっているし、今のあなたにかかってる。その選択にこれからが委ねられている。
ベストセラーでいうと『嫌われる勇気』や『7つの習慣』、哲学思想でいうと「実存主義」に大きく影響を受けているので、自然の考えとしてこんなふうになってしまうのだが、
理屈や論理ではなく、本当の本当にこうするっていうことを決めるだけで、本当の本当にそうなることができる。
自分のライフスタイルを選び取る勇気があれば今から人生を変えることができるし、自分が環境に作用されることよりも、自分が主体性をもって現実に作用していくことを選択するし、目的を持たずして生まれ落ちた私たちはみずからの「生き方や意味」を自分自身で決めていくことができる。そんな希望がある。
そうやって自分に言い聞かせて、来週人と会うんだから明日は絶対の絶対に食べすぎないぞと意気込む土曜日である。
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