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【海外生活】 『ホステル』にしかない旅と出会いの極上体験 ー多くの人にホステルという選択肢を届けたいー 【シアトル】

第9回目は、アメリカ・シアトルより番外編、シアトルのダウンタウンに位置するホステルのマネージャー小堀春菜さんです。30年続く収容人数170名のホステルにおいて約30人のスタッフを束ねるマネージャーの1人として、また海外では数少ない日本人ホステルマネージャーとして、​様々な人々が行き交うホステルの最前線で長年働く中で感じるホステルの魅力、ホステルにかける思いを届けてくださいます。

さまざまなバックグラウンドやキャリアを持つ人々が集まる町、カナダ・バンクーバー。そこで活躍する日本人の方々とこれまでのステップや将来への展望を語り合う「カナダ・バンクーバーの今を生きる日本人」。今回は番外編のシアトルです!それではどうぞ!

プロフィール
高校卒業後アメリカのカレッジに入学、卒業後シアトルのホステルで1年間のインターンシップに参加。日本に帰国し約8年間働いた後、結婚を機に再度渡米。現在はインターンシップで働いたホステルにてマネージャーとして勤務。

マウントレーニア国立公園にて🏔小堀さんと息子さん

アメリカ留学・移住


──アメリカに興味を持つようになったのは?

最初にアメリカに来ると決めたのは中学生の時にバックストリートボーイズの大ファンになったことがそもそものきっかけだと思います(笑)ただ英語がペラペラ話せるようになりバックストリートボーイズが日本に来たときの専属の通訳になりたいというのが夢で、高校卒業後シアトルのコミュニティカレッジに入学しました。卒業後グリーントータスシアトルで1年間インターンシップをさせていただきました。その後日本に帰国し、約10年後に結婚がきっかけでアメリカに来ることになりました。

──アメリカへ留学や移住することへの期待や不安はありましたか?

シアトルに留学をした時は人生で2回目の海外でした。留学した時の不安と期待感は中学校から高校に入学する変化と同じような感じで、なんで自分に全然不安がなかったのか覚えてないくらいですね。多分親とか周りの方が心配してた感じです。

結婚で渡米した時は、結婚を機に慣れない土地に引越しするという気持ちと同じような感じだと思います。海外移住ならではの不安としては、日本の家族に何かあったときに帰国が間に合わないかもしれないということだけでした。

──なぜシアトルを選ばれたのですか?

アメリカに留学したいと決めた時にいくつか候補があった中でシアトルに決めた理由は、母なりに調べてくれて「大都市過ぎず、田舎過ぎず、どっちも欲しいあなたに1番合ってる」と母に言われたことでした。住んでみてその通りだと思いました。公共交通機関が充実していて、少しドライブすると大自然も堪能できます!

シアトルは神戸と姉妹都市でもあり、昔から日本人がたくさん移住していたようで、街中で桜を見られることが毎年春の楽しみになっています。日本領事館や日系のスーパーもあり日本人には住みやすいアメリカの都市の1つだと思います。

シアトルで人気の観光スポット🇺🇸パイクプレイスマーケット越しに
ホステルの窓から望む夕日

日本とアメリカ、両方での暮らしを通して


──日本とアメリカ両方で長いこと生活される中で“新たな気付き​”があったそうですね​。

ずっとアメリカは自由の国だと憧れていて日本は窮屈だと考えていたけど、そこで生まれ育ったことに感謝して、もっと日本の文化や歴史をちゃんと勉強してこれたらよかったと思うようになりました。初めの頃は日本人らしいと思われるのが嫌でアメリカ人のマネをしようと必死でしたが今では「日本人らしい考え方だね」と言われると嬉しくなります。互いの国の常識や考え方が自分の中にあって、状況に応じてよりうまく働く方を選択できるようになったと思います。

──「日米の常識を基に臨機応変に対応する」なかなか大変なことだと想像しますがどうでしょう?

いろんな方向からひとつのことを見られるっていうのは、会得したことの1つかなと思います。

それから一旦自分で調べてみるという癖がつきました。例えば車で言うと、アメリカでは修理にびっくりするくらいお金がかかるので自分でパーツを買って直せるんじゃないかと思い始めて、自分でバッテリー交換してみたり自分でできることは自分でしてみようという風になってきたと思います。

あと日本の教育って実はすごいと思います。小学校の頃から掃除当番が教室を掃除したり、給食当番が配膳をしたり、料理や縫い物や水泳の授業があったり。小さい頃からいろいろなことを一通り教えてもらえて生きていくベースラインを上げてくれていた感覚です。全部が得意じゃなくても幅広くちょっとでも知っていれば後々役に立っていくと思います。息子が小学校に入学したらアメリカの学校教育も体験できるので楽しみです。

ある宿泊予約サイトにて『北米のトップ10ホステル』の一つに選ばれたことがあるグリーントータスシアトルホステル。
1993年の創立以来、老若男女問わず多くの旅行客が世界中から訪れる。
夏のハイシーズンには収容人数170名のホステルが満室になることがよくあるとのこと。
毎日開催される多種多様なイベント「飲み歩きツアー、カラオケ大会、アイスクリーム・ビール・タコスの無料提供」など利用者を惹きつける魅力がそこにはある。


大人気イベントの一つ🍺飲み歩きツアー参加者とホステル前にて

グリーントータスシアトルホステルの魅力


──グリーントータスアドベンチャートラベルというバスツアー会社から始まり、シアトルとサンフランシスコにホステルがあるんですよね。

はい。そもそもバスツアー会社のコンセプトがいろんな旅先にバスで移動するというものでした。その当時名前に「うさぎ」が入ったツアー会社があり、対抗する形でトータス(かめ)を名前に付けたそうです。

うさぎとかめ」の話のように「目的地にいかに早く辿り着くか」に対して「目的地に行く道をゆっくりだけど楽しもう、国立公園でキャンプをしたり道中いろいろ見どころあるよ」という感じでこのバスツアー会社が創立されました。

グリーントータスシアトルオーナーは、もともとバスツアー会社のバスの運転手として雇われたのがきっかけ。当時シアトルとサンフランシスコを行き来する便が週に3回あった中で、シアトルでの宿泊先にビジネスチャンスを感じたことから、シアトルにホステルができ、オーナーになったそうです。

──ホステルの歴史を知れる機会はなかなかないので面白いですね!グリーントータスシアトルの魅力や働いていてよかったと思う瞬間はどんな時ですか?

魅力はありすぎて伝えきれないです(笑)ホステルならではのお客様やスタッフの出入りの多さや幅広さによる日々の刺激や学びも魅力の一つです。それから、オーナーの人間性、遊び心、ビジネス感覚のバランスに惚れたからだと思います。

ビジネスなのでコスト削減、利益を増やすということは常にベースにはありますが、逆にそこだけ抑えていればお客様やスタッフが喜ぶようなことは​「​なんでもトライしてみる」「方法をガラッと変えてみる​」​というような感じです。マネージャーだけではなくどのスタッフからも自分はこう思う、こうしたいというアイデアを常に話し合いさせてくれるところも働いていて楽しいことの一つだと思います。

──アメリカ・シアトルやグリーントータスシアトルで働く上で、大変な思いや苦労した経験はなにかありますか?

言葉の壁や常識の違いが一番苦労したかと思います。最初の頃は悔しくて片意地を張ったりしていましたが、最近は言葉の壁にぶち当たると他のスタッフの子に応援を頼みます(笑)ハウスキーピングやメンテナンス同様、役割分担をするという意味で会社におけるチームワークや利益を考えると当たり前のことだなと思います。

常識の違いに関しては「それはどうなの?」と思うことに対して一息つくようにしたり「どういう意味?」と聞くようにしています。「失礼だな」「理不尽じゃないか」と思うようなことでも自分の感覚で憤らずに聞いてみたら誤解だったということがよくあり、面白いなと思います。

左から朝食会場、ドミトリールーム、シャワールーム


──なにがあっても面白い!というすごくポジティブな切り替えですね。

留学当初もともと用意されていたホームステイ先でトラブルがあった時にたまたま出会った方々に教えてもらった別のホームステイ先で3年間お世話になり、そこのホストママがきっかけでホステルとの出会いがあって、全部繋がってるなと思います。思ったことと違うことが起こってしまっても「周りの助けてくれる人が道標になって良い方向に導いてくれる」「いろんな人に常に助けてもらっている」というのが根底にあります。

日本で働いていた時の上司に「一人一人が全部できなくてもチームとして適材適所みんなでやればいい」と言われたことをいまだに覚えています。今は「できることを頑張ってできないところは誰かに頼んでいいんだな」と思えています。今までいろいろなところで働いてきた経験が全部繋がっているなと感じます。

──前を向き続ける気持ちを維持する秘訣があればぜひ知りたいです。

自分自身経験してきてありがたいなと思うことがたくさんある中でLife Lessonという本を読んだことがあります。困った時に読み返すような本で「人生の中で勉強しないといけないことが学びの試練として訪れる」「いろんな考え方があるよ」といった影響があると思います。なので「今ここで学べることはなにかな」と考えるようになりました。

──新しいことを始めたい時やなにかに悩むときに背中を押してくれそうな本ですね。

全てを完璧に予測して準備することは不可能なので、なにか予期せぬことが起きた時になんとか対応できると信じること、予期せぬことから広がっていく新しい可能性を楽しむことだと思います。すぐに劇的な結果は出ないけど自信を持って「良い、好きだ」と思うことにお金や労力を費やして、気長に踏ん張る強さと流れに任せる勇気があれば道は繋がっていくと思います。行きつく先は最初思っていたところと違うかもしれないですが、だから面白いと思います。

共有リビングでは利用者がそれぞれ好きな時間を過ごす

宿泊先にホステルという選択肢


──グリーントータスシアトルでは多くの​イベントが​開催されていますよね。

イベントを開催するとその時間に宿泊客の方が集まってくれて交流が始まったりするので、イベントを大事にしています。飲み歩きツアーでは過去最高50人以上の方が参加してくださったこともあります。

──イベントに参加する気軽さや楽しみがより多くの人を惹きつけるのだと思います。

私自身はお客様やスタッフにとってのHOME AWAY HOMEでありたいと思っています。「どこから来たの」「シアトルでの予定は?」と会話するなど楽しいチェックインにしてねとスタッフには伝えています。ホステルに慣れている方ももちろんいるとは思いますが、初めての方にとっても打ち解けやすい雰囲気だなと感じていただければ嬉しいです。

──いつも賑やかな共有スペース​やアットホームな居心地の良い雰囲気が、宿泊客同士の交流を加速させていると感じますね。

ホステルでの出会いがきっかけでお客様同士で結婚されて、子供を連れてまた泊まりに来てくださったお客様がいました。スタッフとお客様で結婚された方もいます。スタッフ間でもホステルでの仕事を辞めて自分の国に帰った後、他の子がその国まで遊びに行ったりということもあるみたいです。

──素敵な「出会い」の場ですね!日本人の方の利用はどうですか?

最近では1日数人ご利用いただいています。割合的にはバンクーバー在住の20代の方が多いですね。ダウンタウンのホテルが1泊約20,000円以上するみたいです。グリーントータスシアトルは1泊約4,000円〜なこともあってかホステル自体初めてという方が多いです。

世界中を旅する🌎ボランティアスタッフ達

宿泊に留まらない付加価値の体験


──「安く泊まれる」「気軽さ」「宿泊客同士の交流・出会い」「よりリアルな現地生活が垣間見える」など宿泊だけではない特徴や機能がホステルにはたくさんありますよね。

多くのホステルではボランティアとして宿泊と引き換えに清掃などのお手伝いをしてくれる旅行者の長期滞在を受け入れていて語学旅行などの代替案としてボランティアという選択肢があることをもっと日本でも認知してもらえるように働きかけられたらいいなと思っています。

グリーントータスシアトルもその一つで、現在スタッフが全員で30人くらいいる内、長期滞在でシアトルに来ている住み込みボランティアがほとんどです。基本はお掃除とフロントデスクを担当してもらっています。

──ホステルでボランティアできるんですか?!若い時に経験したかったです(笑)

私もです(笑)インターンシップも大歓迎なので、スタッフとしてのホステルもぜひ体験していただきたいと思います!

福岡の高校生のためにアメリカ旅行を毎年企画されている方が何度か視察の際に宿泊されていたことがきっかけで、今年初めて学生たちのシアトルでの宿泊先としてグリーントータスシアトルをご利用いただくことになりました。これをきっかけにもっと多くの日本の若者にホステルという選択肢があることを知っていただきどんどん海外旅行に行く後押しができればと思います。

──ホステルへのビジョン含め、これからがますます楽しみですね。

そういった自分自身の思いや小さな目標も含めて、その経緯や結果を楽しみながらおそらくこれから先もグリーントータスシアトルと共にカメのようにゆっくり進み続けていられればと思います。


編集後記

​行き着いた先のホステルでマネージャーとして何事もポジティブに日々を送っておられる等身大の姿、とても気さくで明るく親しみやすい雰囲気を感じました。

筆者はホステルが好きで世界約25ヵ国​・​約50のホステルを利用したことがあり、グリーントータスシアトルホステルはトップクラスで居心地が良いホステルだと言えます。ホステルのベッドは全て木製で手作りとのこと、温かみが随所に感じられます。ホステル初心者の方にとってホステル初体験に最適な場としておすすめしたいです。

ボランティアやインターンシップとして受け入れ可能とのこと、ぜひ活用いただきたい。

ホステルという選択肢が多くの方に届きますように!

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