記事一覧

夜を使いはたして

ただの日陰なだけのくせして、 夜は詩的なふりをする。

K
1か月前

全ての風景を重ねてこうなんて

子どもを連れて散歩にでかける。 近所の大きな公園にむかう。 妻の運転する車にのり、 後部座席で子供と戯れて、 ついたらトランクからベビーカーを下ろす。 冬の公園は人…

K
2か月前

Welcome to my room

ユニクロ着て ユニクロ来て ユニクロ買って ユニクロの袋に入れて ユニクロから帰って ユニクロだらけのクローゼット開けて ユニクロの店で買った ユニクロの服を掛…

K
8か月前

むきだしのロマンスはクレイジー

職場の健康診断の日だったので、 朝起きて尿を取った。 いつもはスーツにシャツで通勤するが、 どうせ今日は健康診断、 短パンにポロシャツ、ビーチサンダルで職場に向かっ…

K
8か月前

僕は死んでもいいから

死ぬのが怖い。 6歳の春に、死の概念を学んだ。 僕は家の廊下で遊んでいて、外は晴れていた。 どういう流れだったか忘れたが、父が僕に言った。 「この世で生きているも…

K
8か月前
1

あれから毎日がレイニー・デイ

物語において天気は主人公(及びその場面での中心人物)の心情を表す。 「こんな家、出て行ってやる!」と飛び出せば、 必ず雨が降ることになっているのだ。 晴れの日がつ…

K
9か月前

僕は君のHero

朝起きたときに、 「あ、今日はもう、無理だ」と分かったから、 職場に電話して仕事を休んだ。 時間が生まれたから、映画館に行った。 「スパイダーマン:アクロス・ザ・…

K
10か月前

首吊り台から

今夜寝るのが怖い。 俺は今夜寝たら死ぬ気がする。 頭の中がカチャカチャ言うんだ。 俺を吊るす首吊り台を設置する音だ。

K
10か月前

痛覚は孤独を感知して

気分が鬱々として晴れない。 なんだ、人を殴ればいいのか。 乱暴なセックスをすればいいのか。 酒は無駄だ。それは知ってる。 心に薮が茂って、人の言ってることが聞こえな…

K
10か月前

誰かが「ねぇ」私に向かって叫ぶの

モー・シズラックはケイティ・ペリーにクンニリングスしたことがあって、 僕はそれを見ていたから、とても羨ましかった。 でもモーの人生は羨ましくない。 ケイティ・ペリ…

K
1年前

短針が

短針が 若い素数を 指して居る 「生活」なんて したくなかった

K
1年前

できるなら

できるなら 今日この夜を セーブして 死にたい夜に ロードするのだ

K
1年前

この世界のことだったら

実家に帰省した。 少し前に母から 「久しぶりに食事でもしよう」と呼ばれていたからだ。 仕事が忙しい頃だったから、ずいぶん断ろうかと悩んだけど、 思えば、最後に帰省…

K
1年前

昨晩の

昨晩の 夢で聴いてた ラジオでは 今日は午後から 猫が降るって

K
4年前
4

すみません

すみません 今日は少しだけ 遅れます 昨夜はやけに 星が綺麗で #短歌

K
5年前
5

世界のにっぽんおとぎ話

昔々あるところにこぶのついたお爺さんと継母がいました。 ある日お爺さんがカチカチ山に芝刈りに、 継母が川に洗濯をしにいくと、 川の上流から光る竹がどんぶらこどん…

K
5年前
4

夜を使いはたして

ただの日陰なだけのくせして、
夜は詩的なふりをする。

全ての風景を重ねてこうなんて

子どもを連れて散歩にでかける。
近所の大きな公園にむかう。
妻の運転する車にのり、
後部座席で子供と戯れて、
ついたらトランクからベビーカーを下ろす。

冬の公園は人もまばらだ。
犬の散歩をするおばさんが二人いる。
ジョギングをするおじさんに追い抜かれる。
小さな子供がお父さんにむかってボールを蹴っている。
僕と妻は子供を乗せたベビーカーを順番に押しながら、
公園の中を歩いていく。
夕飯は何にしよ

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Welcome to my room

ユニクロ着て
ユニクロ来て
ユニクロ買って
ユニクロの袋に入れて
ユニクロから帰って
ユニクロだらけのクローゼット開けて
ユニクロの店で買った
ユニクロの服を掛けて
ユニクロの店に着てった
ユニクロの服を脱いで
ユニクロの服に着替える
(吉岡透著『あるいはユニクロでいっぱいのクローゼット』)

むきだしのロマンスはクレイジー

職場の健康診断の日だったので、
朝起きて尿を取った。
いつもはスーツにシャツで通勤するが、
どうせ今日は健康診断、
短パンにポロシャツ、ビーチサンダルで職場に向かった。

職場につくと、どうも様子がおかしい。
みんなスーツをきてパリッとしている。
楽園ベイベーな恰好をしているのは僕だけ。

「あの…、健康診断って今日じゃ…?」
「え、いや明日ですよ?」

私一人、浮かれた格好で浮いている。
自分の

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僕は死んでもいいから

死ぬのが怖い。

6歳の春に、死の概念を学んだ。
僕は家の廊下で遊んでいて、外は晴れていた。
どういう流れだったか忘れたが、父が僕に言った。
「この世で生きているものは、いつか、最後は、
全員、必ず、永遠に眠るんだ」

僕は今一つ意味が分からなかった。
多分幼い僕に死を理解させるために、
「眠る」と比喩を使ってくれたんだろうが、
そのせいで死の本質が見えてこなかった。
父は随分深刻な顔をしているが

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あれから毎日がレイニー・デイ

物語において天気は主人公(及びその場面での中心人物)の心情を表す。
「こんな家、出て行ってやる!」と飛び出せば、
必ず雨が降ることになっているのだ。

晴れの日がつらい時がある。
「お前も頑張れよ!」と、
背中を強くたたかれている気持ちになることがある。
いや、はあ、あはは……はい。
陰気な人間は日の光に重さがあることを知っている。

梅雨である。
気分は晴れない。
外は雨で、なんだか強くなってき

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僕は君のHero

朝起きたときに、
「あ、今日はもう、無理だ」と分かったから、
職場に電話して仕事を休んだ。

時間が生まれたから、映画館に行った。
「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」が観たかったんだ。
チケットを買って、受付に行った。

ら、

受付に人がいなかった。
そりゃそうか、金曜の真昼間だ。
こんな時間からアニメ映画見る奴なんているわけない。
だから店員さんだってバックヤードで休憩でもして

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首吊り台から

今夜寝るのが怖い。
俺は今夜寝たら死ぬ気がする。
頭の中がカチャカチャ言うんだ。
俺を吊るす首吊り台を設置する音だ。

痛覚は孤独を感知して

気分が鬱々として晴れない。
なんだ、人を殴ればいいのか。
乱暴なセックスをすればいいのか。
酒は無駄だ。それは知ってる。
心に薮が茂って、人の言ってることが聞こえない。
お前はさっきから何を言ってるんだ。

誰かが「ねぇ」私に向かって叫ぶの

モー・シズラックはケイティ・ペリーにクンニリングスしたことがあって、
僕はそれを見ていたから、とても羨ましかった。
でもモーの人生は羨ましくない。
ケイティ・ペリーの女性器の味ぐらいじゃ覆せない。

君が高校生の頃好きだった子とセックスしたことがある。
彼女の服の匂いも、柔らかい陰毛の手触りも、
まばたきの音も吐く息の温度も、
あの秋の午後6時のことは全部君にあげる。
だから僕の人生と君のを交換し

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短針が

短針が
若い素数を
指して居る
「生活」なんて
したくなかった

できるなら

できるなら
今日この夜を
セーブして
死にたい夜に
ロードするのだ

この世界のことだったら

実家に帰省した。

少し前に母から
「久しぶりに食事でもしよう」と呼ばれていたからだ。

仕事が忙しい頃だったから、ずいぶん断ろうかと悩んだけど、
思えば、最後に帰省したのはいつだったか思い出せない。
もうかれこれしばらく経つものだから、
久しぶりの母の誘いを断るのも気が引けて、
「わかりました」と返事をした。

母に会うのは久しぶりだ。父に会うのも久しぶりだ。土産でも買ってくか。

僕には姉が二

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昨晩の

昨晩の
夢で聴いてた
ラジオでは
今日は午後から
猫が降るって

すみません

すみません
今日は少しだけ
遅れます
昨夜はやけに
星が綺麗で
#短歌

世界のにっぽんおとぎ話

昔々あるところにこぶのついたお爺さんと継母がいました。
ある日お爺さんがカチカチ山に芝刈りに、
継母が川に洗濯をしにいくと、
川の上流から光る竹がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。

継母が家に帰り金の斧で竹を割ると、
中から一寸しかない男の子が生まれました。
男の子はとりあえず太郎と名付けられました。
太郎はすくすくと成長しました。
体中から異様に垢の出る体質で、
その垢を

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