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全ての風景を重ねてこうなんて
子どもを連れて散歩にでかける。
近所の大きな公園にむかう。
妻の運転する車にのり、
後部座席で子供と戯れて、
ついたらトランクからベビーカーを下ろす。
冬の公園は人もまばらだ。
犬の散歩をするおばさんが二人いる。
ジョギングをするおじさんに追い抜かれる。
小さな子供がお父さんにむかってボールを蹴っている。
僕と妻は子供を乗せたベビーカーを順番に押しながら、
公園の中を歩いていく。
夕飯は何にしよ
Welcome to my room
ユニクロ着て
ユニクロ来て
ユニクロ買って
ユニクロの袋に入れて
ユニクロから帰って
ユニクロだらけのクローゼット開けて
ユニクロの店で買った
ユニクロの服を掛けて
ユニクロの店に着てった
ユニクロの服を脱いで
ユニクロの服に着替える
(吉岡透著『あるいはユニクロでいっぱいのクローゼット』)
僕は死んでもいいから
死ぬのが怖い。
6歳の春に、死の概念を学んだ。
僕は家の廊下で遊んでいて、外は晴れていた。
どういう流れだったか忘れたが、父が僕に言った。
「この世で生きているものは、いつか、最後は、
全員、必ず、永遠に眠るんだ」
僕は今一つ意味が分からなかった。
多分幼い僕に死を理解させるために、
「眠る」と比喩を使ってくれたんだろうが、
そのせいで死の本質が見えてこなかった。
父は随分深刻な顔をしているが
あれから毎日がレイニー・デイ
物語において天気は主人公(及びその場面での中心人物)の心情を表す。
「こんな家、出て行ってやる!」と飛び出せば、
必ず雨が降ることになっているのだ。
晴れの日がつらい時がある。
「お前も頑張れよ!」と、
背中を強くたたかれている気持ちになることがある。
いや、はあ、あはは……はい。
陰気な人間は日の光に重さがあることを知っている。
梅雨である。
気分は晴れない。
外は雨で、なんだか強くなってき
痛覚は孤独を感知して
気分が鬱々として晴れない。
なんだ、人を殴ればいいのか。
乱暴なセックスをすればいいのか。
酒は無駄だ。それは知ってる。
心に薮が茂って、人の言ってることが聞こえない。
お前はさっきから何を言ってるんだ。
誰かが「ねぇ」私に向かって叫ぶの
モー・シズラックはケイティ・ペリーにクンニリングスしたことがあって、
僕はそれを見ていたから、とても羨ましかった。
でもモーの人生は羨ましくない。
ケイティ・ペリーの女性器の味ぐらいじゃ覆せない。
君が高校生の頃好きだった子とセックスしたことがある。
彼女の服の匂いも、柔らかい陰毛の手触りも、
まばたきの音も吐く息の温度も、
あの秋の午後6時のことは全部君にあげる。
だから僕の人生と君のを交換し
この世界のことだったら
実家に帰省した。
少し前に母から
「久しぶりに食事でもしよう」と呼ばれていたからだ。
仕事が忙しい頃だったから、ずいぶん断ろうかと悩んだけど、
思えば、最後に帰省したのはいつだったか思い出せない。
もうかれこれしばらく経つものだから、
久しぶりの母の誘いを断るのも気が引けて、
「わかりました」と返事をした。
母に会うのは久しぶりだ。父に会うのも久しぶりだ。土産でも買ってくか。
僕には姉が二
世界のにっぽんおとぎ話
昔々あるところにこぶのついたお爺さんと継母がいました。
ある日お爺さんがカチカチ山に芝刈りに、
継母が川に洗濯をしにいくと、
川の上流から光る竹がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。
継母が家に帰り金の斧で竹を割ると、
中から一寸しかない男の子が生まれました。
男の子はとりあえず太郎と名付けられました。
太郎はすくすくと成長しました。
体中から異様に垢の出る体質で、
その垢を