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短歌まとめ

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短歌の投稿まとめました。 ちなみに「ついったー短歌」というのは毎回診断メーカーというサイトでお題をもらって、それを織り込んで詠む短歌をタイムラインで垂れ流している…というもので… もっと読む
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#tanka

《短歌》秋のしらなみ

両の手を塞いでしまえば愛のこと考えざるを得ない大きさ

のぞきこむその人が二卵性になる夜なら月が浮かぶだけの歌

ゆるくたつ逆さまにゆめのとりがくるしらなみ僕らがゼリーと呼んで

砂の上書いたものからさらわれて残照とあつい信頼を見る

したいだけの燃えているだけの蝋燭もその静寂の白い粘りけ

いくつかの種を真綿に並べ置きひと粒がミルク紅茶に沈む

みずうみの映しを期待とふれ回りその二度ともを澄み渡

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(短歌)描くひと、君の背中

大木の群生の中で白樺の夢見のようなアルファ派を追う

地下鉄へゆく入り口を探しては描く背中ならもう何処にもない

触れられない程を真中と呼ぶならば寂しさは真中分からぬ広さ

とっぷりは身ひとつのあやこの夜の真中にたてば水音立てる

風が吹くそのふたたびに顔見せる草はらが装った再会

炊飯器の目盛り手測りしてるまま起こされ秋のはじまりはみず

風邪菌の(ねむりなさい)という声

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(短歌)思い出のない八月

夏の窓 東の騒ぎに耳寄せてくぐもる声吐き朝の挨拶

屋根の上の淡色の布巾 かぜも無く間も無く一日が翌日を知る

月から金隣の国にも足掛けて表面アイスクリーム溶けてく

点在する穴に目を向け夜を聞き出でる時には放射状の人

夜行バスもあさがほの鉢もここにあり放射状の穴ひっそりと伸びる

ここ数日晴れてばかりの平坦にさらなる晴れ間のようなあじさい

殊勝なる最も消えないこの消しゴム立ち尽く

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(短歌)教育論・たまごやき数個入りのあたたか

うしろ指さしてときどき褒めてくるやわらかい色教育は絹

ダースベイダーも一人で並ぶレジ前のたまごやき数個入りのあたたか

ぐんじょうのビー玉のぞき込む子ども 申し訳ない外側の世界

提出をはかった皆んなも初めてはしたたかな飛翔 来てくれそうか

どたんばの自己紹介を覚えてる花束埋もれそうあのはつはる

上糸と下糸の織り下等なる生き物も食うひかりのなにか

水道の業者はシールにされてしまいこの本心が

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せんぱくのしょかんのもっともかそけき(短歌 七月分まとめ)

火は消せり 蕗の香の立てるキッチンできみどりのものひとつと数えて

からからにかわいたのどにせんぱくのしょかんのもっともかそけき波くる

うがいすれば未だ更新の頼りなさ洗面所の薄い影群に立つ

ぶらんこの足ふれぬままの地は救う すくわれぬも無くみどりが生えし

泡の下見すかすように臍見せたる僕等の若き誇りていふもの

止まらない吐気が僕を圧迫す孤独はおおきな月の腹なり

目瞑って大人となり

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(短歌)連作「嘘それからにおい」

当然と思うのが日々 さよならは後ろからくる速度 かみなり

みんなして咲くなんて嘘 いちめんの香りは春のカモフラージュで

ばれてるのかなあ 這い出て見た朝に空を映すの昨日の雨が

独白も滑走もなく鳥たちは空に心を奪われて飛ぶ

せきばくの わたつみの深い青の中小さく尖る白い灯台

二足歩行 鉄のかたまり 寄る辺ない感情曲線テノールな船

風がくる 星も来ている 濡れている死んでく者を抱き

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(短歌)あみもの短歌出詠「真剣な話の後で、全部嘘だよ」

折り合えないのも娯楽なんだ味気なくなる皮肉吐く人が人なら

意識してないのにまいにち遠巻きになってく君なら上目指すさかな

なじまない他人も飲もうか引き出しに骨があるような現世であれば

背表紙は此処にいたことを物語る息つぎ、日の目を見るものがたり

職場ってふたつ目のわが身おく場所か西日射す山田さん見て思へり

見おろすよ無責任のまま職場内席替えさせる世話係の群れ

わたしたち繋がる

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ついったー短歌6月分です

六月が僕の背丈を超えたそうなんだ煙管を蒸して僕を

日焼けするカイトを見ているだけの僕 馬みたいな子、僕のチームで

蓋すれば蓋にびっしり水滴が付いて下請けの仕事 昼時

例ふれば塵が君であり鉱物表でもあり何かになりたきが君

パン屋の前職質されてパン落とせり…この度激務へ向かう僕の名

大きいの中くらいのと小さいの丁度いいのを熊は模倣す

怒気よ怒気母の怒気なら酒蒸しにす

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(短歌)私性について整理しました

こんにちは。元号が、令和に変わってから数週間たちました。この元号、万葉集から引用されたものだとして大分話題になりましたね。

それと関連して、少し前に万葉秀歌についての感想というのをこのnote内でひそかに書いていました。記事ひとつ更新したまま、その後月日は忙しいままに流れ、今はお気に入りの歌集を毎日舐めまわすように読むということを繰り返していたのですが今日、万葉秀歌を久しぶりに手に取ってみました

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(短歌と文)あめ玉を転がし居座る人の横 見下ろす土は空よりもかたく

あめ玉を転がし居座る人の横 見下ろす土は空よりもかたく

永遠に溶けない、そのままのかたちである飴玉ってないんだろうか?みたいなことを小さいころ考えていた。味を感じるのは舌の味蕾という突起なのだと聞いたことがある。だから、その味蕾が味のみなもとに触れていれば味を感じるという理屈だから、物体が流出して縮んでいくのでなくてもそれがガラスのような透明な飴の状態を保ったままで、それをずっと舐めていられる

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ついったー短歌⑧19.04〜

街中で涼しげ はねる前髪でひとん家のぬくみ知ってる僕ら

水を張る湯ぶねのひろい稜線が上下する舟を寄せない感情

雀色のコートひしめくバスの中空港を出た顔みな静か

はれの日に目が蛇の目ばかり映すふしぎけもの道外れ喉鳴らし行く

ねずみ算 増えることだけ示されて憚らずに死ね恋 あなたがたの

僕も狂ひたくなる座礁するだけで一日魚と呼ばるる魚

いまそらが君の目に入り目に見えない誰かの血

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