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カラフルなアオザイがとってもかわいい。映画『サイゴン・クチュール』ベトナム、2017年

最初の舞台は、1969年のベトナム。ミス・サイゴンのニュイは、洋服が大好きで、自宅が9代続く老舗アオザイ店なことを嫌っています。ファッションリーダーを自認するニュイはわがままいっぱい。ベトナム伝統のアオザイを古臭いとバカにして、母親に反抗し、お店の従業員に傲慢な態度をとるお嬢様のニュイ。すぐにでも自分の洋服店を持ちたいと思っています。

ところが、ある日、母親がつくってくれた伝統的な不死鳥(フェニックス)の柄に家宝の翡翠を飾ったアオザイを着たところ、いきなり2017年にタイムスリップしてしまいます。そこで見たのは、売られる寸前のボロボロの我が家と、母の遺影、そしてアルコールにおぼれて自殺しようとする太った未来の自分でした。

パニックになったニュイをサポートしてくれたのはトアン青年。なんとか母の家を守るためにトアンに紹介されたのは、今では母の店の看板を守って成功している、かつての従業員タン・ロアン。りっぱな女店主になっているタンを前に混乱するニュイ。傲慢な態度をとって悪態をつきますが、タンはニュイをヘレンの店へ行くようすすめます。そして、ニュイはヘレンの店で70年代から2017年までのファッション業界の変化を知ることになります。

最初は失敗ばかりをくりかえしますが、未来の自分を叱咤激励しつつ勉強してがんばるニュイ。次第にヘレンの店でもうまく立ち回れるようになり、彼女のデザインはサイゴンのセレブに気に入られ、チャンスを得ます。これに嫉妬したヘレンが、彼女にアオザイをつくるように指示。ニュイは大嫌いで習ったことのないアオザイを、セレブのために作らなければならなくなってしまいます。

ピンチに陥ったニュイ。ようやく傲慢だった自分を反省し、未来の自分と一緒に、タン・ロアンに頭を下げて、母の作っていた伝統のアオザイの秘密を教わります。現代的なセンスと伝統的なアオザイを組み合わせたファッションショーは大成功し、母の家はなんとか持ち直せるようになりました。そして、ニュイは1969年の過去に戻って、母親に素直にアオザイ作りの教えを乞うのです。

1960年代のファッションのかわいさと(『ソーイングビー』ではイギリスのお姉さまが、「60年代はセックスとドラッグとロックンロール」って言ってましたが)、ベトナムのアオザイのカラフルさ。そしてアオザイを現代風にしたデザインの数々。ファンタジーですが、とてもステキな映画でした。

邦題:サイゴン・クチュール(原題:Cô Ba Sài Gòn)
監督:グエン・ケイ、チャン・ビュー・ロック
出演: ニン・ズーン・ラン・ゴック、ンゴー・タイン・バン、ジエム・ミー、ホン・ヴァン、オアン・キエウ、ジエム・ミー、ST
制作:ベトナム(2017年)100分


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