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#9月1日

【掌編小説】鳥人間コンテスト #3

【掌編小説】鳥人間コンテスト #3

「見て分からないですか。私、今から、ここから飛ぶんです」

燈子はできるだけ感情を込めず言う。止めたって無駄だ。
「あなたに迷惑はかけないから、見なかったことにして、そのまま帰ってくれませんか」

「・・・また、鳥人間か」

男はぼそぼそと独り言を言っている。ひとりで物思いにふけっているようでもあり、燈子はより警戒を強める。薬でもやっているのだろうか?やばい奴なら、自分の縄張りに足を踏み入れたこと

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【掌編小説】鳥人間コンテスト #2

【掌編小説】鳥人間コンテスト #2

午前二時、ビルの屋上で、蛍のようにあちこちに赤いランプが灯っている。
二宮燈子は、まだ生温かい夜風に吹かれながら、フェンスを越えて二十階建てのビルの下を覗き込んだ。ひゅっ、風を切る音がする。


 ここから飛び降りれば、わたしと世界は終わる。
不思議と怖さは感じなかった。ただ、背中のあたりがひりひりと痛むだけだった。夏服の袖が、ひらひらとたなびいている。燈子は夢の続きのような、心地よいけれど自分

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【掌編小説】鳥人間コンテスト #1

【掌編小説】鳥人間コンテスト #1

ープロローグー

九月一日。晴れ。
村瀬祐樹はぎゅっとハンドルを握りしめた。

夏が終わろうとしている。
高校三年生の夏に、値段をつけるとしたら、いくらの値がつくのだろう。

夏特有の広くまじりけのない空に、雲が駆けている。遠くには海が見えた。

白い鳥が、村瀬の横をゆうゆうと横切った。気持ちよさそうに飛んでいる。一瞬鳥と目が合った気がする。

「おまえに飛べるのか」

言われた気がした。鳥の名

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