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アルコールと社会問題②~飲酒と暴力~

12月になると思い出すのが友人とのクリスマスパーティです。
今は新型コロナ感染予防でパーティは難しいけど、
学生時代の友人とは、気心を知っているので心おきなく話せますね。
 
私の好きな言葉をお届けします。

「自分に思いやりが足りない人ほど相手に思いやりを求める。自分の言葉が相手を傷つけていないか、まず反省してみる事。」
“People who lack compassion for themselves seek compassion from others. First of all, reflect on whether your words have hurt the other person.”
(美輪明宏)


アルハラとは


飲酒と暴力との関連性は米国を中心に少なからず報告されています。

例えば日本においては、飲酒による暴言・暴力やセクハラなどの迷惑行為は「アルハラ」と呼ばれており、この「アルハラ」は家庭内だけでなく、社会や職場にも広がっています。

2003年の全国調査によると、このような「アルハラ」を受けた成人は3,000万人にも達しており、そのうち1,400万人はその後の生き方や考え方に影響があったと回答しています。

このように本邦においても、飲酒による暴力の問題が様々な場面で起こっており、社会的にも大変重要な問題です。


飲酒に関連した暴力


「暴力」と一言でいってもその定義は様々で、言葉攻撃(暴言)や身体的暴力のみならず、精神的暴力・経済的暴力・性的暴力なども含まれます。

飲酒により暴力が増加する背景には、飲酒・酩酊により攻撃性が増すなどのアルコールによる直接的な影響と、習慣的な飲酒によるアルコール乱用(※1)やアルコール依存症(※2)などの疾病からくる間接的な影響とがあります。

飲酒に関連した様々な暴力を防止するためには、その原因となっている飲酒を控えることが大切です。

飲酒による暴力はアルコール関連問題のひとつであり、アルコール乱用やアルコール依存症が背景にある場合には、それらに対する適切な治療が必要です。

※1 アルコール乱用
家庭や社会生活上、著明な障害や苦痛を引き起こす飲酒の仕方で、かつアルコール依存症ではないもの。


※2 アルコール依存症
長期間多量に飲酒した結果、アルコールに対し精神依存や身体依存をきたす精神疾患。


1. 家庭内暴力 (DV: domestic violence)


飲酒とDVとの関連性には諸説ありますが、刑事処分を受けるほどのDV事件例では犯行時の飲酒は67.2%に達していたという報告があり、激しい暴力においては飲酒との相関がより強いようです。

とりわけ日本においては、飲酒をして暴力が発生することが男性に多いという特徴が指摘されています。

またアルコール依存症者においては一般人口に比較し暴力問題が頻繁にみられ、断酒後には激減することから、依存症レベルでは飲酒と暴力との関連は明確といえます。

その一方でアルコール問題を持つ者に対する家族からの暴力もあります。特に女性のアルコール依存症者は、夫をはじめとした家族からの暴力を受けやすいようです。

しかしながらDVの原因は飲酒だけではなく、夫婦関係や生活歴などの様々な要因が関与しており、飲酒とDVとの因果関係は非常に複雑で、いまだよく分かっていません。


2.児童虐待


児童虐待とは、18歳未満の児童に対してその保護者が「身体的虐待や性的虐待」「養育の放棄・怠慢(ネグレクト)」「心理的虐待」を行なうことをいいます。

厚生労働省の報告によると、児童相談所における児童虐待相談対応件数は、統計の開始された平成2年(1990年)度以降増加の一途をたどっており、平成19年(2007年)度に至っては4万件を超えています。

児童虐待のリスク要因はいろいろと考えられていますが、その中でも重要な一因として、両親の飲酒・酩酊およびアルコール乱用・依存症が挙げられます。

しかし残念なことに、児童虐待に対する飲酒の影響についての詳細な調査・研究は本邦では皆無に等しく、今後の課題と考えられます。


3.高齢者虐待


児童虐待と同様に高齢者への虐待も近年社会問題化し、平成18年(2006年)には高齢者虐待防止法が施行されました。

厚生労働省によると、平成19年(2007年)度の養護者による高齢者虐待が確認された件数は13,273件と報告されています。

しかしこの件数は氷山の一角と考えられ、実際の発生件数はもっと多いと推測されます。

高齢者虐待の加害者側のリスク要因としても、養護者の飲酒・酩酊およびアルコール乱用・依存症が挙げられます。

またその一方で高齢者の介護疲れから飲酒量が増え、アルコール乱用・依存症へと進行する事例も相当数に上ると考えられます。しかしながらこれらについても十分な調査・研究は報告されていません。


参考資料:厚生労働省ホームページ


最後まで読んでいただきありがとうございました。
 


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