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「バンパイアハンターD」吸血鬼はなぜ存在するのか?

今回は、眉毛の話から入らせてもらいたい。

ドロシー・カタロニア
煉獄杏寿郎

眉毛って、不思議だと思わないか?
↑の画のドロシーや煉獄は別として、普通眉毛はここまで伸びない。
不思議なことに、ある程度の長さ(2cm程度?)になると毛の伸びが止まるメカニズムになっている。
仮に剃り落としても毛は再び生え、しかもその伸びはまたしても2cm程度でうまいことストップし、最終的には完全復元されることとなる。
眉の部位にセンサー機能でもあるのか?と思うよね。

「あ、今剃られたな?・・よし、みんな、今から一斉に毛を生やすぞ」
「おー!」
「よしよし、順調に伸びてる。みんな、この調子だ」
「はい、ストップ。目標の2cmに到達したので、ここで成長を停止する」
「了解、ストップしま~す。お疲れ様でした」

こういうやり取りが眉で行われてるのでは?と私も考えたことがある。
でも、実際はそんな複雑なメカニズムではない。
というか、人間の細胞はそんな知能を持ってないからね。
細胞はプログラムみたいなもんであって、ただプログラミングされたことを機械的に遂行するのみ。
眉毛の場合は、髪の毛と同じで普通に伸びてるだけである。
ただし、髪と比べて極端に毛根が弱く、ある程度まで伸びると成長の限界が訪れ、やがて抜け落ちてしまう。
そして、また新たに生える、という繰り返しである。
ようは、眉毛の寿命が髪に比べて短いということだろうが、もしも髪と同じぐらいの生命力が眉の毛根にあったとしたら、ドロシーや煉獄みたくなってしまうということ。
これはこれで、困りものだ。
あの長さじゃ目に被って視覚を遮ってしまうし、ヘタすりゃ眼球を傷つける恐れだってある。
ちゃんと剃れば問題ないんだけど・・。

ここでポイントなのは、「寿命」である。
誰しも、「寿命は長ければ長い方がいい」と思っているだろう。
しかし、上記眉毛の例をとってみても、定められた寿命というのはきちんと意味があるものなんだ。
だから、摂理に逆らって永遠の寿命を得ようなどと、決して考えてはいけない。
それは、いわば眉毛が髪の毛化するのと同義であり、その結果、眼球周りの生態系バランスを崩壊させて大きな悲劇を生むだろう。
私は「癌」のような成人病って、自然の摂理が人類に与えた寿命リミッターのようなものだと考えてるのね。
エイズやインフルエンザなどのウィルス系疾患と違い、癌はワクチンひとつで克服できる類いのものではない。
しかし将来的に医学が進歩し、もし人類が癌を克服して100歳以上の長寿が普通になる時代がきたら、併せてアンチエイジング医学も進歩して不老長寿の時代がきたら・・と考えることはある。
もしそうなったら、何か地球上の重大な摂理が崩壊してしまう気がするのは私だけ?

少し前置きが長くなってしまったが、今回紹介したいアニメは「バンパイアハンターD」である。
私、昔からバンパイアに興味あるのよ。
西尾維新「物語」シリーズによるとバンパイアは「怪異の王」と定義されており、おそらく生態系ヒエラルキーの最高位に位置する種だろう。
と同時に、これほど生態系の摂理に反した存在もあるまい。
同じく不老の存在としては「フリーレン」のようなエルフもいるが、しかしエルフはバンパイアみたく眷族を作って増殖しないし、そもそも生殖本能がかなり希薄っぽいよね。
多分、エルフは増えないだろう。
でもバンパイアは別だ。
彼らは長寿どころか不死だし、簡単に眷族増やせるし、その気になりゃ人類の数を凌駕することもできるんじゃないの?
しかし、そこで作用するのがまたしても摂理というやつだ。
実はバンパイアって、案外制約があるんだよね。
その最たるものが、「日光に当たると死ぬ」というやつ。
あと銀製の武器とか、聖水もだっけ?
最強という割に、意外と弱点が多い。
これも人類にとっての癌と同じく、その増殖に歯止めをかける生態系の摂理なんだと思うよ。

「バンパイアハンターD」の主人公・D

「バンパイアハンターD」は、菊地秀行の小説「吸血鬼ハンターD」が原作。
菊地先生といえばダークファンタジーの第一人者で、厨二世界の神様みたいな人である。
映画の制作は2000年、監督は川尻善昭氏。
どうやら日米合作だったらしく、日本より先に米国で公開されてヒットしたらしい。
米国資本も絡んでるから予算は潤沢だったのか、とにかく映像美が尋常じゃないのよ。
淫靡というか何というか、数ある吸血鬼作品の中でもトップクラスの映像美といっていいだろう。
川尻監督はこの作品で認められたのか、2003年にはハリウッドの「アニマトリックス」日本代表として2作品を手掛けている。

「アニマトリックス」の川尻監督作品

「バンパイアハンターD」の主人公はバンパイアと人間のハーフという設定で、その特性を生かしてバンパイアを狩ることを職業としている。
どうやら、この作品におけるバンパイア族は衰退の流れにあるようだ。
かつては人類を家畜として支配した時代が長く続いてたようだが、その支配体制も破綻し始めてる様子。
ひとつバンパイアの決定的にダメなところをいうなら、その不老不死ゆえの一族の新陳代謝の無さだろう。
彼らは古い価値観のままで時代に適応しようとせず、肉体はともかく精神は刷新されないので腐っていく一方。
そう、不老不死というのはやっぱりダメなのよ。
新陳代謝を阻害するから。

私が思うに、仮に地球が「全身」だとして、そこにいるバンパイアも人間も動物も草木もみんな「細胞」みたいなもんでしょ?
細胞には各々役割があり、与えられた寿命の中でそれをこなしていく。
たとえば赤血球なら酸素を運ぶとか、白血球なら雑菌を殺すとか、精子なら卵子を目指すとか、みんなそういう役割があるわけよ。
それは考えた上でそうしてるわけじゃなく、ただプログラミングされたものに従ってるだけなんだけど。
ただ、人間は違うんだよね。
なぜか大脳が発達して色々考えることが可能になったもんで、逆にもともとプログラミングされてたことがよく分からなくなったし、気が付けば80億というトンデモない数にまで増殖しちゃったんだな・・。
これ、人間の体に置き換えて考えるなら、どこか特定の細胞が知能を持ち、自律的思考を始めたような事態である。
たとえば、それが眉毛の毛根細胞だとしようか。

毛根A「俺たち、もっと長生きしたいよね」
毛根B「そうだね。せめて髪の毛ぐらい長生きしたいよ」
毛根A「よし、色々研究して延命の努力をしよっか」

そうやって彼らが努力した結果、最終的にこうなっちゃうわけね。

結論からいうと、細胞が自律思考するのは非常にマズいということ。
摂理から逸脱しちゃうから。
本来、眉毛の役割は「額から流れ落ちてくる汗を眼球に入らないように食い止めること」であり、毛に長さは全く必要ないんだ。
毛は長生きする必要がない。
むしろ、ここまで長くなるとかえって邪魔。
でも、地球にとっての人類って、ひょっとしたらこの異様に長い眉毛みたいなものになってるんじゃないの?
そこで、地球生態系も手をこまねいてるわけにもいかず、人類を抑制すべく生態系ヒエラルキーの頂点にバンパイアを創造したわけさ。
彼らは絶対的強者で、しかも食糧は人間の血。
これ以上ない、人類の天敵である。
ある意味、バンパイアという種の誕生は理に適ってるのかも。

「バンパイアハンターD」に出てくるバンパイア

しかし、ここで神(生態系の摂理)がミスったのは、バンパイアを不老不死という摂理に反したプログラミングをしちゃったことである。
もともとが人類という反摂理を抑制する為に生まれたはずのバンパイアが、その人類をも上回る反摂理的存在というのは、明らかに大いなる矛盾でしょ。
結局「バンパイアハンターD」の世界観は、バンパイアもいずれは滅びゆく運命にあるようだ。
そして人類社会もバンパイアとの軋轢で文明が衰退したのか、その町並みを見る限り、せいぜい19世程度の水準にしか見えない。
たくさん殺されたのか、人口も少ない。
まぁ、公害とか環境汚染はなさそうだ。
ある意味、こうなることが神のもくろみだったのかな・・。

原作小説の挿絵は天野喜孝だったとのこと

とにかく、「バンパイアハンターD」は見て損のない作品なので、まだ見てない人にはお薦めします。
とにかく美しい!
私の中で、この作品は日本アニメのバンパイア作品TOP5に入ってるのよ。
じゃ、最後はそのTOP5を発表して締めます。

<日本アニメのバンパイア作品TOP5>

・バンパイアハンターD
・BLOOD THE LAST VIMPIRE
・HELLSING(OVA)
・物語シリーズ(特に「傷物語」)
・屍鬼


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