Yukan

建築の設計士です。  「私は鶏のように臆病であったが、ルビコン河を渡るような重大決心を…

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建築の設計士です。  「私は鶏のように臆病であったが、ルビコン河を渡るような重大決心を自分に強いてきた。」 コルビジェ

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記事一覧

42Tokyo

42tokyoというプログラミングスクールがある。 入学試験である、一ヶ月続くピシンは今まで体験したどの入学試験よりも、ハードでだった。 試験を通過すれば全額無料で、1…

Yukan
1年前

42Tokyo

42Tokyoの醍醐味はレビュー(コードの発表)を生徒同士でやるというなんともスリリングな攻防がある。 ショックだったのはレビュー中に若い学生がやたらマウウトをとって…

Yukan
1年前

ART/言葉

言葉に昇華する前の捉えどころのない感覚を捉えたものがアートなのではないか? 言葉で語りつくせるアートは新聞を読んでいるようなものでR。

Yukan
4年前
2

建築の作り方2

真っ白な紙の上に四角形を一つ描いてみる。 四角形は塗りつぶされていても形が崩れていてもよい。 四角形だけを見ると単なる四角形だけど、四角形と紙とのバランスに目を…

Yukan
5年前
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建築の作り方4

物理的な建築の作り方を突き詰めていっても、そこにはある問いが残されている。それは 「空間」 とは何か?という問いだ。壁や天井、床をつくればそこには建築がたちあら…

Yukan
5年前

ある日のレクチャー

某日、某有名事務所のパートナーがレクチャーをするというので仕事帰りに足を運んでみた。会場へ向かうタクシーの中で同僚に聞いてみるとても有名な方らしい。 前半は今ま…

Yukan
5年前
2

無題

器用に上手くやろうとすればする程、不器用な自分をさらけ出してしまう。自分らしさを追求するするのが一番の近道なのかもしれない

Yukan
5年前
1

約束

若い頃の自分と交わした約束を破ってはいけない

Yukan
5年前
1

ルイスカーンの夜

30代最後の夜を北京の仕事場を兼ねた自宅で一人で過ごす。 もし明日死ぬとしたら、何が残るのだろうか? 今までこなしたコンペか? たくさん描いてきたスケッチだろうか? …

Yukan
5年前
1

怠惰

私はのん気にテレビをみながらスナック菓⼦を⾷べていたつもりだった・・・・・・ しかし、気が付くと《 怠惰 》が私 の⼈⽣をむさぼり⾷っていたのだ・・・・・

Yukan
5年前
2

古い思い出。

大学時代決して強くはない陸上部でバカみたいに走っていた。 練習コースである、人がまばらな、皇居の周りをぐるぐるぐるぐる回っていたのだ。(現在の皇居は市民ランナー…

Yukan
5年前
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音/空間

ある日、僕は家の近所の夜道を歩いていた。 百メートル程前方には盲人とおぼしき2人組が杖をつきながら歩いている。 そうこの近辺には音楽大学があって盲人が音楽を学んで…

Yukan
5年前
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One day in my life       20160306 7:30~8:30

朝目覚めると既に7時30分だった。 出張の為の名古屋行きの飛行機は9時50分に離陸する。 昨日sanliton近くのバーで朝5時まで飲み明かしたことを後悔すると共に、生演奏され…

Yukan
5年前
1

無題

北京や日本の地方都市を歩いているととんでもなく刺激的な建築に出くわすことがある。それは有名な建築家がデザインした建築ではなく、古い民家をオーナー自ら改修したよう…

Yukan
5年前
1

飛行機

飛行機にのると、死んでしまいたくなる。着陸すると、生きていてもいいと思う。

Yukan
5年前

分かる事と知る事。

もう20年前以上の事になるが僕の通っていた高校は都内の進学校で廻りは育ちの良いおぼっちゃまばっかりだった。その中で僕は中々環境に馴染めず、また勉強するのが嫌で仕方…

Yukan
5年前

42Tokyo

42tokyoというプログラミングスクールがある。

入学試験である、一ヶ月続くピシンは今まで体験したどの入学試験よりも、ハードでだった。
試験を通過すれば全額無料で、16歳以上で入学試験を受けることができる。
プログラミングで若者(18〜20)大学生、そして私のような若干のオッサンが42tokyoの構成するメンバーだ。
若い人一旗上げようと集まっているので活気があるのだが、静かな緊張感も同時ある

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42Tokyo

42Tokyoの醍醐味はレビュー(コードの発表)を生徒同士でやるというなんともスリリングな攻防がある。

ショックだったのはレビュー中に若い学生がやたらマウウトをとってくるという点だ。
レビューをする事は良いシステムだと思うのだが、やたらとマウントを取ってくるのは中々心にすりキズが蓄積していく体験でもあった。
(そもそも同じレベルから始めて同じ課題を解いていくのに差がつくのは、中々辛く悔しい体験で

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ART/言葉

言葉に昇華する前の捉えどころのない感覚を捉えたものがアートなのではないか?

言葉で語りつくせるアートは新聞を読んでいるようなものでR。

建築の作り方2

真っ白な紙の上に四角形を一つ描いてみる。

四角形は塗りつぶされていても形が崩れていてもよい。
四角形だけを見ると単なる四角形だけど、四角形と紙とのバランスに目を移してみると四角形を紙の上のどの位置にどの大きさで配置するかという無数のパターンがあるのに気づくだろう。

建築の設計は、上記の手順によく似ている。

・敷地の中に形を配置し、
・その形の中にどのような形を配置するか。

ということに言い

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建築の作り方4

物理的な建築の作り方を突き詰めていっても、そこにはある問いが残されている。それは 「空間」 とは何か?という問いだ。壁や天井、床をつくればそこには建築がたちあらわれるが、それはシェルターであって空間の定義にはなっていない。例えばある場所に椅子を置いただけでも「空間」は立ち現れる。椅子を置くことによって椅子の使い手との関係あるいは視覚的なオブジェとしての空間だ。また物理的な囲いがない、音が鳴っている

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ある日のレクチャー

某日、某有名事務所のパートナーがレクチャーをするというので仕事帰りに足を運んでみた。会場へ向かうタクシーの中で同僚に聞いてみるとても有名な方らしい。
前半は今までの作品を豊富な写真と共に紹介し、後半は彼の建築理論を紹介する内容だった。ドイツ出身だけあって構造主義からゲルシュタルタルト心理学など哲学的な視点を根拠にモダニズムを超える新しい建築の理論(ストラクチャー)が必要だと主張していた。
よどみな

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無題

器用に上手くやろうとすればする程、不器用な自分をさらけ出してしまう。自分らしさを追求するするのが一番の近道なのかもしれない

約束

若い頃の自分と交わした約束を破ってはいけない

ルイスカーンの夜

30代最後の夜を北京の仕事場を兼ねた自宅で一人で過ごす。
もし明日死ぬとしたら、何が残るのだろうか?
今までこなしたコンペか?
たくさん描いてきたスケッチだろうか?
日々描いてきたスケッチを思い返しながら、最後の時間を迎えるのだろうか?

20歳を迎えてからこの20年間は
何度も躓き、何度も空回りし、何度も地団駄を踏み、何度も大きなため息をつき、何度も希望を持ち、何度も絶望し、何度か笑った
そんな

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怠惰

私はのん気にテレビをみながらスナック菓⼦を⾷べていたつもりだった・・・・・・ しかし、気が付くと《 怠惰 》が私 の⼈⽣をむさぼり⾷っていたのだ・・・・・

古い思い出。

大学時代決して強くはない陸上部でバカみたいに走っていた。
練習コースである、人がまばらな、皇居の周りをぐるぐるぐるぐる回っていたのだ。(現在の皇居は市民ランナーでごった返している)

走っている間はそのころ頭を支配していた、絶望、焦り、後悔、野望、女性、数えきれない位の苦脳、煩悩を一時的に忘れる事ができた。どんづまりの日常にかすかな光が少しさしたような気がした。

自分が想像していた華やかなキャン

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音/空間

ある日、僕は家の近所の夜道を歩いていた。
百メートル程前方には盲人とおぼしき2人組が杖をつきながら歩いている。
そうこの近辺には音楽大学があって盲人が音楽を学んでいるのだ。しばらくすると一人が別れを告げて小道に入っていった。

僕は人がまばらな夜の一本道で一人の盲人と100m程離れて歩くことになった。しばらくすると盲人は後方の僕の存在に気付いたらしく肩から掛けているショルダーバックを自分の前方へと

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One day in my life       20160306 7:30~8:30

朝目覚めると既に7時30分だった。
出張の為の名古屋行きの飛行機は9時50分に離陸する。
昨日sanliton近くのバーで朝5時まで飲み明かしたことを後悔すると共に、生演奏されていた電子ピアノの急ピッチの電子音が頭の中をかすめる。
急いで身支度を整え、キャリーバックをたづさえタクシーを捕まえる為、大通りへ向かう。途中黒い犬を連れたおばさんとすれ違う。犬はPM2.5の飛び交う中無邪気におばさんの周り

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無題

北京や日本の地方都市を歩いているととんでもなく刺激的な建築に出くわすことがある。それは有名な建築家がデザインした建築ではなく、古い民家をオーナー自ら改修したような建築だ。そういった建築に共通するのは作り手の意図を超えたところで成立しているバランスであり、コンセプトや図面とは無縁だからこそ現れる美なのだ。

When I am walking down a street in Beijing, I

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飛行機

飛行機にのると、死んでしまいたくなる。着陸すると、生きていてもいいと思う。

分かる事と知る事。

もう20年前以上の事になるが僕の通っていた高校は都内の進学校で廻りは育ちの良いおぼっちゃまばっかりだった。その中で僕は中々環境に馴染めず、また勉強するのが嫌で仕方なく、サッカーと読書に明け暮れていた。
サッカーに関しては自分に才能がない事を思い知らされ人生初の挫折を味わう破目となる。(因みに一緒にサッカーをやっていたチームメイトは日本代表まで上り詰める)
読書に関しては、ドストエフスキー、安倍公房

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