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おいしいって味覚だけ?

おいしいは味覚だけの評価なのか?

おいしいとは「美味しい」を書くので、美しい味のことを意味する、つまり味覚だけの評価なのでしょうか?この定義はとても難しくて、味覚に対して触覚、聴覚、視覚、臭覚が錯覚を引き起こしているという人もいますし、錯覚ではなくて五感で楽しむものだという人もいます。

ミシュランの評価

料理の評価といえば、ミシュランガイドはとても有名です。タイヤの会社であるミシュラン社により出版されているガイドブックで、そのうちレストランの評価は「レストラン・ホテルガイド」で、装丁が赤色であることからレッド・ミシュランとも呼ばれています。日米欧各国にさまざまな地域版があり、合計で年間約100万部が販売されています。

このガイドブックではレストランを星で評価をしているのですが、星の基準は料理のみで、内装やサービスは星の評価の対象ではありません。

審査の5つの観点
・素材の質
・調理技術の高さと味付けの完成度
・独創性
・コストパフォーマンス
・常に安定した料理全体の一貫性

世界共通の評価方法で、星の意味するところは以下の通りです。

三つ星:そのために旅行する価値がある卓越した料理
二つ星:遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理
一つ星:そのカテゴリーで特に美味しい料理

ただし、料理以外の内観やサービスは星とは完全に区別されて快適度として評価されており、レストランの快適度はフォークとスプーンがクロスしたマークで表されます。 

フォークとスプーンがクロスしたマーク5つ:豪華で最高級
フォークとスプーンがクロスしたマーク4つ:最上級の快適
フォークとスプーンがクロスしたマーク3つ:非常に快適
フォークとスプーンがクロスしたマーク2つ:快適
フォークとスプーンがクロスしたマーク1つ:適度な快適
どんぶりのようなマーク:簡素

実際においしさに影響を与えるもの

ミシュランの星は料理だけの評価をしているそうですが、やはり人は料理だけの評価を切り出して正確に評価できるほど機械的ではないです。おいしさに影響を与えるものを考えたいと思います。

以下おいしさに与える要因を分解しました。

食べるものにある要因
  化学的要因
   味覚(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)
   嗅覚
  物理的要因
   触覚(温度、舌触り、テクスチャー)
   聴覚(調理の過程の音、口の中の音)
   視覚(外観)
食べる空間にある要因
  サービス
  内装・外装
  トイレ
  料理の説明文
食べる人にある要因
  心理的要因(感性)
  生理的要因(健康状態、空腹具合)
  先天的要因(人種、民族)
  後天的要因(気候、風土、習慣)
  環境的要因(食文化)

食には五感が重要だと言いますが、五感だけではなく頭で理解する情報の影響も大きいです。そのため、「ミシュラン3つ星」「有名人が美味しいといっていた料理」といった情報や、料理をする人の経歴や、料理の名前もおいしさに影響を与えます。
例えば「群馬県産朝採れレタス」と「レタス」では前者の方がおいしそうに感じるのです。

さらに「空腹は最高のスパイス」と言われますが、食べる人自体のコンディションも影響を与えます。喉が渇いた時の生ビールは最高ですよね。
逆に、恋人と別れ話をした時にとてもおいしい料理が出ていても、恐らくおいしいと感じることができないでしょう。

美術館に行く目的は絵画の鑑賞ですが、食はただの鑑賞ではなく、生理的熱量を摂取する目的があります。そのため簡単に料理の味だけを正確に判断することは難しいのです。

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