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94. チチェン・イッツァの頂点 ( Chichén Itzá)

雨に曇った階段が

目の前に開ける

芝生を最後に踏み切り

右足一歩分の重みを掛ける

一本道は天に届く出で立ち

堂々と爪先が

次の一段に誘引されて

肺にて染み入る

その呼吸を急かす

崩れ行く石の欠片を

空に蹴散らしながら

薄まりゆく酸素

青い焦燥

進む意味さえ見失う

いつか雲は

過ぎ去った下段の彼方

いつの間にか狭まりゆく足元

ここの高みは

その尖った点のほんの手前

振り向きざまに

唇を重ねて

息の続く限りの秒読みを

数式に描く

君からのネックレスのように

それは終わりなき

約束のような

メタファーのような

目眩

脳裏で

イグアナの舌先が

くるりと円を描く

花柄のワンピースは

碧に揺れていた


      ………🩵❇️🩵………

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