私の狂気、あなたの狂気

私は屠殺業をしていましたがそこで自分が持つ「狂気」を知りました。

それは動物と対峙した時に冷静を装っていたけど

実は、相手に飲みまれないように

自分自身を鼓舞するようにするためです。

それが狂気という気持ちです。

動物を向き合ったときに

人は動物にとどめをさせる牙も、爪も、力もありません。

動物を前にしたら人は無力であり

食物連鎖の頂点に人がいると思っていることが

どんなに思い上がったことかとがわかりますが

これは実際に動物と向き合ってみないとわかりません。

そして

狩りというのは残酷なことでもなく

自分の命のために他の命をいただくことであり

相手を仕留めならなければ自分が仕留められるのであり

攻撃が最大の防御であるのです。

だからどんなになろうとも

自分と自分を守るために仕留めなければ命がなくなるのです。

それが屠殺場で感じた命のやり取りです。

だから

私もどんな形になったとしても

動物を仕留めるために

自分の中にある狂気を自覚しながら仕事をしていました。

屠殺場で行われていることが残酷なことであるという意見がありますが

それを平気で「残酷」と言える人ほど私からすれば狂っていると思えます。

人は自分の信じていること

自分が正しいと信じていることが全てと思いがちです。

それこそ人がもつ狂気であると思います。

そして

その狂気はどんどん過激になっていくのです。

「マスクをしていない人が悪い」

「出歩いている人が悪い」から始まった4年前であり

その前からも

「隣国の人が悪い」

「隣国の人は出ていけ」など

【自分の信じていることを信じない人は悪い】

などに発展しています。

「人は自分の正義という建前のため狂っていきます」

「人は自分の信じていることのために狂っていきます」

「人はこうでなければならないということのために狂っています」

いや、人などそもそも狂っていて

それを自覚していないだけなのであろうと思います。

精神分析をしていると

人という生き物はどれだけ「自分が正しい」という

【狂気】を持っているのでしょうか？と思います

残酷さが狂気のパロメーターになりがちですが

人の行為で最も残酷なことは自分の正義や正しさを振りかざして

それを人に押し付けて、人の自由意志や自由行動を奪うことだと思います。

それを、精神分析をしていると感じています。

【大森裕介】

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