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リアルタイムで観とけば良かった!「エルピス-希望、あるいは災い-」感想

最後、ちょっと尻すぼみ感がありましたが。
それを差し引いても面白い。

いい意味で地上波っぽくない作品

この作品、色んな意味でとにかく攻めてます
なんだろう、全部新しいというか…映像のトーンやストーリー、OP・EDの演出も含め、すごくNetflixオリジナル作っぽいというか…なんか地上波の香りがしないんですよね。

次々に入れ替わる立場、めくるめく展開、増える登場人物。
各エピソードの切れ目も結構曖昧で、まるで長編の作品を単純に1時間ごとに分割したかのような雰囲気。
視聴者に媚びる雰囲気を全く感じない強気さがそういった印象に繋がっているのかもしれません。

しかしながら、マスコミや警察の裏側、冤罪・隠蔽、過去のトラウマ、正義…難しいテーマを数多く内包しながら、すべてを高水準でまとめたストーリーはレベルが高い。
一気見にぴったりの作品で、最近Netflixで配信が始まったことも頷ける。配信向けの作品です。


眞栄田郷敦の演技が凄まじい

出てくるキャスト陣もみんな芸達者。
主演の長澤まさみは、闇を抱えた全盛期を過ぎた女子アナという役で新境地を開拓。
華があることはもちろん、自分が既に人気の全盛期を過ぎた切なさを悟った表情や、真実を追求しようと思いながらも結局恋心や組織の力には抗えない人間臭い一面がお見事。

知る人ぞ知るバイプレーヤー・岡部たかしのキャスティングも光っていました。
序盤はヘイトを買う行動が多いキャラクターなのに、どこか愛らしくて。
決めるときは決める、イカしたキャラクターを創り上げていました。

鈴木亮平は、これまでにありそうでなかった酸いも甘いも嗅ぎ分けるデキる男役。
熱い役やぶっとんだキャラが多いイメージですけど、こういうのもこなせる…というか、バッチリハマり役にするあたりやはり俳優としてのポテンシャルが圧倒的。
長澤まさみレベルの美女でも抗えないような頼りがいと、実直なのに謎めいたセクシーさを非常にうまく表現していました。

そして、何より驚いたのは実質的に主役としての役割を担っている眞栄田郷敦。
彼が演じる岸本が持つおおらかでちょっととぼけたキャラクター、その裏にあるトラウマ、人間的な成長、裏切られた時の絶望感、そして希望を取り戻す際の眼差し。
若干22歳でこれだけの難題をこなし、長澤まさみとタイマンを張る存在感を放ったのは驚異的。
役に合わせて髪型や体型、メイクをコントロールしていたのも非常に好印象で、『千葉真一の息子』『真剣佑の弟』というイメージを今回の演技で完全に払拭しました。


後半にもうちょっとスパイスが欲しかった

もはや、最後はわがままになっちゃうんですけど。
個人的に、終盤に真犯人を直接追い詰めるシーンが欲しかったなぁと思ってしまいます。

せっかく大物を引っ張り出してきているんだから(もしかしたら逆に出番が少ないから出た?)、もうちょっと見たかったなぁ。
しかも、演技がハマってるんですよ。出番一瞬なのにめっちゃ威圧感あったし。

終盤も長澤まさみ演じる浅川と鈴木亮平が演じた斎藤の対峙とか、岡部たかしが演じた村井の大暴れシーンとか見どころあるんですけども。
サスペンス的にもう一段階盛り上げて、視聴者をヒヤッとさせる瞬間が欲しかったですね。

まあ、文句はつけましたけどかなりクオリティ高いですよこれは。
リアルタイムで観ときゃ良かったなぁ。

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