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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#季節

月が変わって、お見知り置きを

月が変わって、お見知り置きを

 "1ヶ月が12回来ると1年が終わる"という不可抗力的サイクルが出来上がっているせいで、なまじ1年間のカウントダウンを自然に設定する習慣がついてしまっている。さらにいうと、1日が約30回来ると1ヶ月が終わるというシステムが構築されているせいで、私たちはその意志とは裏腹に、日々無限に設定されるデッドラインを死ぬまでかろうじて掻い潜り続けるような生活を強いられているのだ。

 9月になったまさにその瞬

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さよならいつか

さよならいつか

今日話した貴方と、明日また会える保証なんてどこにもなくて。今日の平和が明日の平和を約束してくれるわけでもなく。貴方の髪を優しく撫でたこの手で、いつか貴方のその細い首を絞めることになるかもしれない。明日も明後日も、今日と同じ関係性の上で会えるように、私たちは「またね」と言うのだ。

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 夏が終わりを告げ、秋へと移行するこの時期。雲の流れが二転三転する不安定な気候に、心も吹き惑わされるようだ。EL

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サマタイムゴン

サマタイムゴン

 夏が終わってしまったことをこんなに寂しく感じるなんてな。ベランダに吹く風は、そっと次の季節の到来を告げている。風こそ見えねども、秋は来にけり。

 仕事はいつも通りだ、友人関係もいざこざはない。家族仲も良好だ。嫌んなるくらい健康体だし、飯だって毎日作ってしっかり食べてる。ちゃんと美味しい、味覚もイカれちゃいない。夏バテなんて言葉とは無縁の食欲に自分でも驚く。
 
 そういえば今年の夏は海にもプー

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春とニアミス

春とニアミス

 春の気配がする。確かな物証はなくとも、それは誰にでも感じられる。冷え込んだ週末が明け、冬を抜け出そうとする私の身体はほのかに火照っていた。

 掠れた日記を読み返すような、不明瞭な日々が続く。新たなページに書き込もうとするも、その筆が動かない。振り絞って書き出した1行や2行の言葉も、やがては掠れた単なる文字列になるのだろう。

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 それにしても今日はかなり暖かった。インナーダウンがかなりオー

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