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ノロウイルスなんて関係ないよ!だってブラック企業だもん!……って話!!|『キャビン・フィーバー』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「キャビン・フィーバー」をベースに新しい物語を妄想します。

※「キャビン・フィーバー」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「キャビン・フィーバー」は「アホな大学生 × 恐ろしい伝染病」のパニック映画ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、どんな物語が考えられるかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「戦場へ向かう潜水艦の中で伝染病が発生し、パニックになる物語」、「巨大台風が接近する中、住民は避難所へ。そこで伝染病が発生し、パニックになる物語」の2案でした。


案③


嘉村 「案③」にまいりましょう!

三葉 「案③」は、「文化祭が近づく中、学校でノロウイルスが流行し、パニックになる物語」です。


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三葉 「キャビン・フィーバー」は登場人物が次々死んでいく物語ですが……現代日本を舞台に、もうちょっとマイルドなストーリーにできないだろうかと考えたのがこの「案③」です。

嘉村 なるほど。

三葉 さて詳細をご説明する前に、ここで一度「キャビン・フィーバー」のストーリーをざっくり振り返っておきましょう


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三葉 では「案③」に戻りまして……舞台はごく普通の高校。文化祭を前に、生徒たちが一所懸命準備に取り組んでいる時期の話です。

嘉村 ふむ。

三葉 主人公は3年生。そして、彼らの在籍するクラスの出し物は劇。

嘉村 ほぉ。ちなみに演目は何です?

三葉 んー……ここは無難に「ロミオとジュリエット」にしましょう。

嘉村 なるほど。

三葉 主人公らは練習に没頭している。そんな中……。

嘉村 来ましたね!

三葉 はい、ノロウイルスの大流行です。ご存知の方も多いと思いますが、ノロウイルスに感染すると食道炎を起こし、激しい吐き気・嘔吐や下痢、高熱、頭痛などの症状が現れます。

嘉村 ええ。

三葉 私も罹ったことがありますが、あれは超しんどい病気ですね。

嘉村 ほぉ。

三葉 特に嘔吐!驚くべきことに、「吐きそう」と思う間もなく吐いてしまうんですよ。体感としては、「吐いた後に吐き気がくる」感じです。で、その吐瀉物が感染源になり、さらに感染が拡大する……。

嘉村 恐ろしい!

三葉 さて文化祭が迫る中、1人の生徒が吐瀉物をまき散らしながらぶっ倒れます。

嘉村 えらいことだ!

三葉 ノロウイルスに感染すれば、劇どころではありません。文化祭には出席できない。高校最後の大イベントに出られないなんて……まさに悪夢です!

嘉村 確かに。

三葉 かくして生徒たちは戦々恐々、疑心暗鬼となる。すなわち、感染者を即帰宅させるのはもちろん、感染が疑われる者を隔離するようになるのです。すなわち、「お前、さっき咳したよな?」「はあっ!?オレじゃねぇよ!オレがしたのはクシャミだよ!」「おい、みんな聞いたか!?こいつ、クシャミしたってよ!」。ざわつく教室……なんて具合ですね。

嘉村 ふむふむ。

三葉 次第にエスカレートしていって、「おい、文化部の連中は全員隔離した方がよくねぇか?体力のないヤツは危ないだろ」とか、「野呂くんには悪いが帰ってもらおうぜ。野呂って名前……縁起が悪ぃよ」とか。

嘉村 野呂くん……。

三葉 こうして1人、また1人と教室から生徒が消えていくわけですが、一方で文化祭が迫っている。主人公らはビクビクしながら練習を続けます。

嘉村 なるほど。

三葉 ところが!感染者や、感染の疑いのある者が次々ドロップアウトしたことで問題が発生します。

嘉村 ほぉ。

三葉 つまり、こういうことです。「ジュリエットの親父役って誰だっけ?おい、出番だぞ!」「ねぇ、ジュリエットのお父さんって野呂くんじゃなかった?さっき帰ったわよ」「うおっ!ジュリエットの親父がいなかったら劇にならねぇよ!」「困ったわね……」「うーん、仕方がない。おい、大戸。お前の名前も微妙に不吉だが、贅沢は言ってられねぇ。お前、野呂の代役な」「ええっ!?オレ、『木C』役じゃねぇの?」「仕方ねぇだろ!オレなんて、ロミオ役とロミオの親父役の兼任だぞ!」……なんて。

嘉村 大戸くん……ああ、「おおと」、つまり「嘔吐」ですか。

三葉 そうそう。とまぁ、こんな具合に、「主人公は、果たしてノロウイルスに感染せずに文化祭を迎えることができるのか!?」、「生徒たちが次々ドロップアウトする中、果たして劇は成立するのか!?」……という物語です。

嘉村 ふーむ、結構盛り上がりそうですね!


<補足>

三葉 「案③」は文化祭を題材とした物語ですが……はて。高校生活には、これ以外にも修学旅行、定期テスト、受験など数々のイベントがあります。それでは、これらを題材として「キャビン・フィーバー」風の物語を作ることはできるのでしょうか?

嘉村 ふむ。

三葉 無論、不可能ということはないでしょう。

嘉村 ええ。

三葉 ただ私見では、「現代日本の学校を舞台にした『キャビン・フィーバー』風物語」を作るなら、文化祭を題材とするのがベストだと思うんですよ。

嘉村 ほぉ……一体どういうことです?

三葉 例えば、これが修学旅行ならどうなっていたか?……修学旅行前にノロウイルス感染者が出たら、彼を帰宅させるだけで解決ですよね。それでも不安があるなら学級閉鎖すればいい。

嘉村 ふむ。

三葉 定期テストや受験も同様です。感染が怖ければ、学校を休んでしまえばいいんですよ。

嘉村 ああ、そうか!文化祭で、しかも出し物が劇の場合、いくら感染が怖くても欠席することができないんですね!

三葉 ええ、欠席したら練習できませんからね。

嘉村 なるほど。

三葉 つまり、「キャビン・フィーバー」風の物語を作るには、「感染が怖い!……が、その場から逃げ出すことができない!」というシチュエーションを用意する必要がある。そう考えると、文化祭を題材にするのが最適ではないかと思うのです。


案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は「ノロウイルスが流行してパニックが起こる……が、それでも仕事を続けるブラック企業の物語」です。


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三葉 「案③」に引き続き、これも「現代日本を舞台にしたややマイルドな『キャビン・フィーバー』風の物語」です。

嘉村 ほぉ。

三葉 舞台は、とあるブラック企業。ソシャゲの開発会社で、主人公はエンジニアということにしましょう。

嘉村 なるほど。

三葉 連日連夜の残業が祟ったのでしょうか。1人の社員がノロウイルスでぶっ倒れ、それを皮切りに次々と感染が拡大していく。

嘉村 ほぉ。

三葉 普通の会社であれば、症状が出た社員をすぐに帰宅させ、残りの者もできる限り自宅勤務にしたりするのでしょうが……ここはブラック企業!風土がブラック!社員の頭の中もブラック!

嘉村 ふむ。

三葉 つまりこれは、「野呂さんがノロウイルスに感染したぞ!!」「クッ、野呂くんまで!……仕方がない。倉庫に担ぎ込め!野呂くん、わかっているね」「はっ、はい……バグをすべて潰すまで、僕は決して休みません!ボゲー!ゲロロロロ!!」……という具合に、一同ぶっ倒れながらも仕事を続ける物語です。

嘉村 ひどい……。

三葉 物語は次第にエスカレートしていき、感染が疑われる者も隔離されるようになります。「大戸くん、きみ随分顔色が悪いようだが……まさか!?」「ちっ、違いますよ!誰だって48時間働き続ければこんな顔色になりますよ!」「ふーむ……」「……」「部長命令だ。倉庫へ行きたまえ」「!!」「……行くんだ。そして倉庫の中で作業を続けるんだ」「そんな!!」とかね。

嘉村 ……。

三葉 あるいは、「おい、サーバルームでゲロを吐いたのは誰だ!?コンピュータは水分に弱いんだぞ!!」とか、「クソッ!ゲロで画面がよく見えねぇ……」とか。

嘉村 ……。

三葉 さらにまた、不眠不休の労働で疲弊している上にノロに感染した結果、頭がおかしくなってゲロ合戦を始めるヤツが出たり。

嘉村 ……ゲロ合戦?

三葉 雪合戦みたいなものですよ。雪は雪でも汚い雪ですが。

嘉村 ……。

三葉 とまぁ、そんな物語ですね。

嘉村 先ほど、「『感染が怖い!……が、その場から逃げ出すことができない!』というシチュエーションを用意する必要がある」というお話しがありましたが、「案④」では、ブラック企業だから「逃げ出すことができない」……というか、「逃げ出そうとしない」というわけですね。

三葉 ええ、そうです。

嘉村 なるほど。思わず吐き気を催す作品になりそうですね……。

三葉 ここまでゲロゲロゲロゲロな作品はレアなので、マニア受けしそうでしょ!

嘉村 ……いやぁ、どうなんでしょうねぇ。


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 「キャビン・フィーバー」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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