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たやすいこと

夜明けの終わり。

カーテンの隙間から差し込む明かりが、
あなたの頬にそっと色を乗せる。


これから先、私たちは

幾度となく、
同じようで全く違う、
甘くて痛い夜を越えていく。


うっすらといびきをかくあなたの、
目にかかる前髪をそっとどかし、
おでこにゆっくりと口づけをした。

それは、
とっても甘くて、
耐えられないほどに痛かった。


私の涙が、
うっすらと寝息をもらすあなたの、
私の体温が残ったおでこに落ちていく。


あなたの瞼が、細かく揺れる。


でも、どうか今だけは、

目を開けないでいてほしい。

気づかないふりをしていてほしい。

ただ、

色を失った私の夜を、
そっと、
優しく、

抱きしめて。


壊れないように、

あたためていて。

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