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「人類は、PKをはずす人と、PKをはずさない人に分かれるのかもしれない」。(後編)

 PKについて、今も時々、考えている。
 PKをはずす人と、はずさない人は、どう違うのだろうか。

日本代表のPK戦、再考。

 心理的要因が、 PKの成否に大きく影響するのは、おそらくは、どんなサッカー関係者であっても、常識になっているはずだ。

 だから、まずは精神的に強いプレーヤーを、どう揃えるか。といったことも大事なのだろうけど、それが無理な場合でも、大事なのは、そのPK戦のプレッシャーを、できる限り軽くするのが、実際にPK戦を迎えた場合に行うべきことだと考えられる。

 そうであれば、今後の日本サッカー界のためにも、すでに検討されているかもしれないが、2022年W杯クロアチア戦のPK戦は、再考する余地があるはずだ。

 あの時、直後の取材で明らかになったのは、PK戦でのキッカーがどう選ばれたのか、についてだった。

試合が終わった今、すべてが結果論であるという前提でしか言えないが、遠藤航の試合後のコメントによると、PKキッカーの人選と蹴る順番は、「蹴りたい人から蹴っていく」というものだった。しかし、この立候補を強いる形には疑問符がつく。

 選手の自主性を尊重する森保一監督らしい決断ではあるが、選手の心理的負担は格段に増す。監督が指名したのであれば選手自身の責任も軽減されるが、選手自身が手を挙げたのであれば、「決めなければいけない」というプレッシャーは増す。責任感がある選手が立候補することになるが、責任感がある選手ほど重圧は大きくなる。
 すべては結果論でしかないが、今回のアプローチに関しては悪手だったのではないだろうか。

 前編でも述べたように、改めてPK戦のことを振り返ってみると、心理的な要因がとても大きい影響を与えるのは疑いようがない。それならば、繰り返しになるが、その現場で行われるべきことは、その心理的な負担をできる限り軽減させることだと思う。

 だから、結果論ではなく、この日本代表のPK戦の「立候補制」の採用は、プレーヤーにとって、この記事に書かれた通り、もう一つ心理的負担が増えるのは明らかだろう。

 さらに、人は何かを選ぶ、というだけで意志の力を使うのは「常識」になってきている。120分間、限界以上に心身を消耗したプレーヤーに、さらに、そうした「選択」のエネルギーを使わせてしまっては、実際に PK戦が始まるまでに、疲労感は増しているはずだ。

 そう考えると、テレビ画面を通して見たに過ぎないけれど、あの、始まる前から、止められそうな気配が伝わってきた、どこかふわふわして歩いていたように見えた、日本代表のPK戦にもつながってくる。

 監督が順番を決めることで、少しでも責任を分散させ、負担感を減らすということができなかった森保一監督は、やはり、W杯終了後に、代表監督を辞めるべきだったのではないか、と改めて思う。また、新しく、困難な場面に遭遇したときに、似たような選択をする可能性があるからだ。

スポーツ心理学

 もちろん、PK戦に特化したトレーニング法は、今も各国で研究もされているだろうし、心理学といったアカデミックなジャンルの専門家も含めて検討されていると思う。

 例えば、スポーツ心理学によってアスリートのパフォーマンス向上に貢献したジム・レーヤー氏には、昔、一度だけ短いインタビューをした時があって、印象に残っているのは、気持ちをなるべく安定させること、に関する話だった。

 試合中は、喜び過ぎないこと、落ち込み過ぎないことがポイントになる。どちらも、試合の間の、精神的な安定にはマイナスになるからだ。ジム・レーヤー氏のその話を聞いて思い出したのは、プロ野球の優れたプレーヤーほど、例えば三振しても堂々とした姿を保っていたことで、それは、こうした心理学的な知識がないとしても、経験から身につけた方法なのだとも思った。

 また、近年では、普段リラックスする時間が長いほど、ストレス耐性がつく、といった話も別の場所で聞いたことがあるのだけど、こうした蓄積を、どうやってPK戦に生かすのかを、確立したという話も、まだ聞いていない(あったとしても、外部には漏れないかもしれないが)。

 だから、現時点では、どんな人がPKを外しにくいのか、といった点から考えた方が、次に来る重要な試合に備えるには有効かもしれない。

PK戦に強い国、強くない国

 昨年のW杯の決勝もPK戦で勝ち取ったアルゼンチン代表は、これまでの実績も含めて、世界で最もPK戦が強いチームと言っていいだろう。

 そして、改めて、カタールW杯のアルゼンチン代表のメンバー表を見ると、ベテランのゴールキーパー・フランコ・アルマーニを除いて、ほぼ全てのプレーヤーが、海外でプレーをしている。(一人がアメリカで、他はヨーロッパ)。

 同じ傾向は、ブラジルでも見られるのだが、PK戦が強くないと言われているイングランド代表は、一人がドイツでプレーしている以外は、イギリス国内でプレーをしている。

 同様に、今回もPK戦でアルゼンチンに敗れ、これまでの実績でも、決して得意と言えないオランダは、26人中、14人が自国以外のチームでプレーをしている。

 今回、「1000本のPK」で話題になったスペイン代表は、26人中、8人が他のヨーロッパのチームでプレーしているし、バルセロナが8人もいる。詳細に検討していないけれど、これだけ1チームのプレーヤーが代表にいるのは珍しいのではないか。


 クラブチームの経済事情などを考えると、一般的に南米のチームよりも、ヨーロッパのチームの方が資金があると言われ、そうなると、ブラジルやアルゼンチンの優れたプレーヤーほど、ヨーロッパのチームでプレーする傾向が強くなる。

 それは、今のサッカー界では自然な流れかもしれないが、イングランドやオランダやスペインのプレーヤーたちが、自国以外と言っても、ヨーロッパのチームでプレーするのと、いろいろな意味で世界が狭くなったと言われる21世紀であっても、生まれ育ったアルゼンチンやブラジルから、ヨーロッパに渡っていくのは、やはりさまざまな違いがあって、戸惑うことも多く、そうした中で、自然とタフさが養われていく、ということはないだろうか。

 やはり、現時点では、そのプレーヤーが、人としてどれだけ精神的に強いかどうかが、PK戦の強さと結びついているとすれば、こうして移住経験があるかどうか、という分け方も乱暴だとは思うのだけど、生活の中で、大げさに言えば、逆境を経験した上で、乗り越えたプレーヤーの方が、PKをはずさない、と考えられないだろうか。

PKをはずしそうな人、はずさない人。

 結局、PK戦については、そのことが直接、勝敗を分けた場面を見た直後は、どうすればPK戦に強くなれるのか、といった議論は起こったとしても、なぜか、特に、負けたチーム側を応援している人ほど、早く忘れてしまいがちな印象がある。

 そして、また大事な試合でPK戦があって、負けて、一時期、議論になって……を繰り返すような気がしているのだけど、個人的には、カタールW杯で日本代表がPK戦で、クロアチアに圧倒的に敵わないという印象を持ってから、では、どんな人がPK戦に強いのだろう、と時々、考え続けている。

 このバラエティで、加賀まりこが話すのを見ていて、「この人はPKをはずさない」と思ってしまった。もちろん、サッカーのスキルがあって、という無茶な前提が必要になるのだけど、何しろ、周囲のことに動じない、自分のペースを乱さない、強く見せるのではなく、本当に精神的に強いのではないか、と思ったからだ。

 逆に、上沼恵美子は、意外と「PKをはずすかもしれない」と思ったのは、もちろんすごくタフな人だとは思うのだけど、周囲の人の気持ちにとても敏感に見えるので、PKの時のプレッシャーに関しても、全部を感じ取り過ぎてしまい、それに負けてしまう可能性があると思えた。

 こういうことは、本当に無意味で、その方々にとっては、失礼なことかもしれないが、今も時々考える。

 「クズ芸人」などと括られてしまっているが、この時に登場した芸人たちは、どの人もギャンブル好きであり、それを生きることと近いニュアンスで語っていて、こういう人たちも、もしもサッカーのスキルがあれば、という前提付きだけど、「PKははずさない」気がする。

 一般でも、ギャンブル好きな人、もしくは、すでに健康のことは考えなくなったようなアルコール好きな人たちも、体調を整えて、サッカーの技術があるという、前提が増えてしまうのだけれど、そういう人たちは、「PKをはずさない」人が多いような印象がある。


 プロスポーツの中では、個人的には、プロゴルファーはPK戦に強いのではないかと思っている。プレーの始まりのティーショットという、長い距離を飛ばす時と、最後にグリーン上でパットを決めるプレーは、まるで別の競技のように見える。

 特に、パッティングは、普段だったら絶対に決めるような1メートル足らずの距離を、優勝がかかっていたりすると、外すことも少なくないが、特に強いプロゴルファーは、そういう場面を、きちんと入れてきたはずだ。

 こういう人たちは、もし、サッカーのスキルがあったとしたら、「PKをはずさない」のだと思う。


 こうした強いメンタリティをもつ人を、サッカー界でも探し、もちろんPK戦だけに特化したプレーヤーという存在は無理だとしても、同じような能力であれば、代表メンバーとしてピックアップし、アルゼンチン代表が、PK戦の最後のキッカーを、試合の後半から起用したように、PK戦に備える、といった方法は検討してもいいような気がする。

 こうしたことを考えていると、知っている人に対して、もし、サッカーができたとしたら、この人はPKをはずすのだろうか、はずさないのだろうか、という視点から見ることも少しずつ増えてきた。

 もちろん、失礼で、無理な発想だとは思うのだけど、もしかしたら、人類は、「PKをはずす人」と「PKをはずさない人」で、分けられるのではないか、と思うようにもなった。

ストライカーは、PKをはずさないのか

   PK戦を考える時に、ややこしくなるのは、ストライカーの存在だと思う。特に歴史に名を残すようなプレーヤーたちも、PKを失敗している。

 W杯史上、最初に優勝をPKで決めることになった、1994年のW杯決勝でも、当時、世界最高のストライカーでもあったバッジョが、PKをはずしている。

 もちろん、バッジョだけではなく、ブラジルの神様・ジーコも、フランスの天才・プラティニも、PKをはずしてきた。そして、アルゼンチン代表のメッシも実際には、PK成功率はそれほど高くない。2015年には、こうした記事がある。

アルゼンチン代表FWリオネル・メッシはPKを含む2得点を決めたが、PKを1本失敗した。メッシはこれまでにバルセロナのユニフォームを着て公式戦で65本のPKを蹴り、15回失敗している。同日のスペイン紙『アス』が伝えた。

 レバンテ戦で2度PKを蹴ったメッシは、1本目をゴール右上に決め成功させたものの、2本目は枠の上に蹴り上げてしまった。これにより、メッシのバルセロナでのPK失敗率は23パーセントとなった。

 これに比べて、メッシと並んで、世界最高峰のプレーヤーと言われるクリティアーノ・ロナウドのことにも、この記事で触れている。

 また、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドはレアル・マドリードのユニフォームを着てこれまでに67回PKを蹴り、7回失敗。同選手のPK失敗率は10パーセントとなっている。

 2022年のカタールW杯でも、メッシはPKを失敗している。

「W杯でPKを2度失敗した史上初の選手となった」

PKをはずしても、次のPKをはずさない人

 だが、メッシは、グループリーグで「W杯でPKを2度失敗した史上初の選手」と言われたあと、準決勝でも、世界最高峰のGKの1人であるリバコビッチを相手に、PKを決めている。

 それは、ただ成功しただけではなくて、失敗を乗り越えた後の成果でもある。

 普段のメッシはゆっくりとした助走から相手GKのタイミングを外して逆サイドへ流し込むPKを蹴ることも多いが、この場面では最初からスピードボールを蹴ると決めていたように見えた。これがメッシ流のリバコビッチ対策だったのだろう。

 とはいえ、あの場面で豪快に右上隅へ蹴り込むには勇気がいる。それをあっさりと決めてしまうのがメッシの凄いところで、本来なら大事にインサイドキックで流し込みたくなる場面だ。

 このPKにはSNS上でも「ケインにトップコーナーへの蹴り方を教えた」、「美しいPKだ」、「あれは止める方法がない」など称賛の声が多く挙がっており、PKまで世界最高だ。

 今大会はPK失敗が目立っており、その原因の1つに弾道が低すぎるとの指摘があった。これは慎重に枠へ飛ばしたいとの考えが影響しているのだが、この日のメッシは大胆だった。

 あのPKを失敗していれば試合の流れが変わっていた可能性もあり、あそこできっちりと決めてくるところはさすがだ。テクニックもそうだが、強いメンタルもメッシが世界のトップを走り続けてきた理由だ。

 そして、メッシは、世界一になったのだけど、シンプルに考えれば、W杯という舞台に5回も出場して、それ自体が、史上最多の記録であり、しかも、ずっと中心選手でもあるから、PKを蹴る機会が異様に多く、そうした存在自体が稀有であるのは間違いない。

 そうしたプレーヤーは例外的でもあるのだけど、他の「PKをはずした」印象のある名プレーヤーたちも、おそらくはPKを蹴る回数が他のプレーヤーでは経験できないほど多い、ということを抜きにしては考えられないと思う。

 だから、メッシが最終的には「PKをはずさない」という印象を残したように、名プレーヤーたちも、当たり前だけど、大事な時は「PKははずさない」。もしくは、はずした時だけが注目されやすいから、全体で見れば、やはり「PKをはずさない」のだと思う。

 そして、メッシがグループリーグでPKを失敗した後に、さらにプレッシャーのかかると思われる決勝トーナメントの時に成功したことも、失敗を糧にする、という意味では、人格的にも優れた人の条件に近いから、それは、やはり「PKをはずさない」ことにつながっている、と思う。

 だから、人類は「PKをはずす人」と「はずさない人」だけではなく、もしかしたら、「はずしたとしても、そのあとに、さらに強くなって、もっと大事な時ははずさない」の、3種類に分かれるのかもしれない。

 それにしても、メッシは、どのようにして、PKの失敗を、次に失敗しないように気持ちを立て直したのだろうか。

試合中のシュートと、PKの違い

 それでも、やはり考えなくてはいけないのは、PKと、試合中のシュートは、違うのではないか、ということだ。

 PKは、試合の時間の流れからは切り離されたように、1人で行う。

 シュートは、相手がいて、味方がいて、その流れの中で、一瞬のスキをつくようにボールを捉える。

 PKは決めて当たり前だけど、シュートは、大げさに言えば、奇跡の連続で、やっと得点となる。

 だから、ゴールを決めたあと、PKは安堵感を生じさせ、試合中の得点は歓喜を生む。

 ストライカーは、試合中のシュートを決めることに適応しているのだから、プレーヤーによっては、これだけの違いがあるPKが苦手であっても不思議はない。

 だからこそ、PKも決められるストライカーは、その上で、精神的に強いということなのだろう。考えたら、そうした強さがなければ、歴史に残るようなプレーヤーにならないのだから、基本的には、そうした「偉大な」プレーヤーが「PKをはずす」わけがない。

PK戦のゴールキーパー

 そして、当然ながら、PK戦を考えるとき、忘れてはいけないのは、GKの存在だ。

 ここからは、想像に過ぎないけれど、キッカーとは違って、GKにとっては、試合中とPKでは、それほどの状況の差がないのではないだろうか。

 シュートを打たれる時は、試合中も、PKも、基本的には1対1の状態になっている。もちろんチームのメンバーがディフェンスをしているが、シュートを放たれるときは、そのシューターとの戦いになる。

 そういう意味では、試合中とPK戦では、GKにとっては、キッカーほどの差はないのかもしれない。

 その上、PKは、GKにとっては不利な条件で、だから、決められても仕方がない、という見られ方をされる分だけ、失礼な推察になるかもしれないが、キッカーよりはプレッシャーが少なくならないだろうか。

 さらには、GKにとっては、距離が短いとはいえ、シュートのタイミングや、シュートの出どころははっきりと見える状態にある。だから、思い切って飛べるはずだ。

 その時は、GKの能力が、そのまま発揮しやすいと思う。

 しかも、近年、特にGKのシュート阻止力が上がっていると思えるのは、昔と比べるとプレースタイルの変化があるからだ。これは、とても古い見方で恥ずかしさもあるのだけど、以前は、シュートに対して、GKが跳んで、両手でボールをキャッチし、そのまま、一度は倒れ込み、だけど、ボールはしっかりとGKが保持しているから、そこから、プレーが展開される、というシーンが多かった気がする。

 だけど、そんな場面は、特に今はレベルの高いゲームになるほど見られない。GKはコースをついた強烈なシュートに対して、跳んで、とにかく両手でボールを強く、遠くへ弾き出す。

 そのボールが再び、相手に渡る危険性はあるにしても、まずは、最初のシュートを止めないと、失点になってしまう。両手でキャッチするようなプレースタイルでは、強力なシュートだと、両手の間をすり抜けるかもしれないし、キャッチしようというような跳躍では、最初から弾こうと思っている時よりも、やや距離が出ないかもしれない。ということは、現在のGKの方が、守備範囲が広がっている可能性もある。

 その結果として、GKのシュートを阻止する力は、以前に比べて伸びているとすれば、その事実は、PKの時に、キッカーによりプレッシャーを与えるので、GKに有利に働くはずだ。

PKを止めるGK

 さらに、GKは、注目の集まるPK戦の場面では、より「のれる」方が有利なのかもしれないということを、改めて思ったのは、今回のW杯の、アルゼンチン代表GKの振る舞いを見てからだ。

 表彰式の時、あの黄金の、メッシが大事そうにキスをした「ワールドカップ」を両手で持ち、まるで宴会のような下品なパフォーマンスをしたのがGKだった。

 決してほめられた行為ではないけれど、こうしたノリの良さがある「陽キャ」であるから、延長後半の終了間際のフランスのチャンスを足で止めることができたし、PK戦で、相手のシュートも止めることができたのではないかと思えた。

 そうした表彰式のパフォーマンス(決してほめられないけれど)で、何より、自己肯定感の強さを感じ、それがPKを止めることにもつながった気もしたのだけど、ただ、それだけではなく、実は緻密な面もあることも、のちに明らかになった。

PK戦の前にマルティネスは、チームメイトたちにこう言っていたという。「僕がPKを止めた後に、次のシュートは真ん中に蹴るんだ」。そう語ったのには、しっかりとした根拠があった。

「僕は何年も心理学の勉強をしていたい。相手のGKが防いだ時、もう1人のGKは自分も防がないといけないという心理になる。『ゴール中央に、ただ突っ立っているだけのバカだと思われたくない』と、考えてしまうんだ。しかも、それがW杯決勝なんていう舞台だったら、なおさらだ。そうすれば、必ずどこかに飛ぶからね」

 マルティネスの読み通り、ディバラが中央に蹴ったボールはゴールに決まった。続くフランス3番手のMFオーレリアン・チュアメニの心理に、アルゼンチンがリードしたという事実がどれだけ影響したかはわからないが、当時22歳だったMFのシュートは左に外れて行った。最終的にアルゼンチンはキッカー4人全員が成功して4-2でPK戦を制している。

ピッチ上で熱いパフォーマンスを見せていたマルティネスの的確なアドバイスが、アルゼンチンを史上3度目の優勝に導く要因になっていたようだ。

 表彰式での振る舞いと、チームメイトへのアドバイス。

 これはギャップがあるようで、だけど、昔から言われている優れたプレーヤーの条件である「大胆さと細心さの同居」を証明するような話でもある。

 PKを止めるGKの理由は、その技術と運動能力だけではなく、そうした精神的な強さを持ったプレーヤーであるという、やはり、比較的、オーソドックスな答えのようだ。そして、もちろん、そうしたGKは、試合中でも優れたプレーを見せてくれるはずだ。

 考えたら、それだけの要素が揃ったGKは、PKを止める可能性も高くなるのは、当然のような気もしてくるが、当たり前だけど、そんなすごいGKは、世界に何人もいるわけもない。

 PK戦も考えるのであれば、そうした優れたGKを、どう見つけ、育てるかについても、避けて通れない課題だと思う。


 




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