幸田露伴の随筆「潮待ち草47」
四十七 支那の諺
支那(中国)の字書と韻書の用語例を照合して諺の字義を考えると、一は民間伝説の意味があり、二は俗論の意味があり、三は我が国の言葉で云ういわゆる諺の意味がある。「諏訪湖の氷は、狐がこれを渡れば、人もこれを渡ることができる」云うような我が国の民間伝説も支那においては諺と認められ、「九尾(きゅうび)の悪狐(あっき)が化けて殺生石となった」と云うような譚(はなし)も諺として認められるようである。一の民間伝説の意味では、酈道元(れきどうげん)が「水経註」で、「鳳林は山