死ぬことすらできない辛さ 5 〜一日の流れ〜

脚は動かない。
腕はまだ何とか動くけどすぐに疲れてしまう。

疲れずに出来るのは顔芸とおしゃべりくらいか。

顔芸はやらないけど。


家事で思いつくのは料理、洗濯、掃除、買い物

私に出来ることは口出しくらい。

最近の1日の流れを簡単に。

朝はパンとコーヒー
もちろん夫が用意する。

ベッドから車椅子に移乗させてもらい食卓へ移動。

最初は自分で食べるけど疲れたら夫に介助してもらう。

介助しながら自分の食事も済ませる夫。
付き合い初めは「 あ〜ん 」と照れながらやってくれたけど、そんなドキドキ感はこれっぽっちもない。
次々と口に押し込もうとするため何度怒ったことか。
介助のタイミングを伝えるのが私の重要な役割。

食べ終わったらベッドに移動。
私はラジオを聴くかテレビを観ながらヘルパーさんが来るのを横向きで待つ。
夫は仕事に行くため誰もいない時間が不安だ。

地震があっても逃げられない。
洪水があっても逃げられない。
泥棒が入っても何もできない。

何も出来ないのは悲しいものだ。

9時頃にヘルパーさんがやって来る。

身体を上向きにしてもらい顔のお手入れ。
大好きな化粧水や乳液などを塗って塗って塗りまくってもらう。
ついでにマッサージもしてもらうので潤いはバッチリ。

綺麗でいたいからもちろん良いものを使う。

値段を教えたら驚くのが快感。
筋力では負けても美しさでは負けたくないの。


マッサージの後は少し休んでトイレ。

車椅子に移乗させてもらいトイレに移動。

手すりを壁や便器に付けてもらったけど、掴んでいる力が弱すぎるから残念。

長く座っていると倒れてしまうので支えてもらいながら用を足す。
最初は恥ずかしかったけどオムツよりトイレの方が良いから気にしなくなった。

11時半を過ぎると冷蔵庫にあるもので昼食の準備をしてもらう。
と言っても、前日に夫が作った物を温めたり、冷凍の野菜スープを解凍調理したりとヘルパーに負担をかけないようにしている。

優しいでしょ。

拘りが強すぎるからってことは内緒。

車椅子に移乗させてもらい食事テーブルへ。

自分で食べ始めるけどすぐに疲れてしまうからここでも介助してもらう。
介助者のペースで口に運ばれるのは好きじゃないから、私のペースで食べたい物を伝える。

食べ終わったら口腔ケア。
洗面所まで行くのは手間だからその場で。
歯ブラシで磨くのは疲れるため電動歯ブラシを使う。
と言っても最初から介助してもらう。
食事で腕が疲れているのだから仕方ない。
口を漱いだ水は洗面器に。

食べ終わったら食休み。

2時間くらいのんびりしたらお風呂。

お風呂場もバリアフリーで洗い場から湯船に移れるリフトを設置。
動けないから施設でなんて考えたくない。
何でも家で出来るのだから。

お風呂場まで車椅子で行き、介助用のリフトに乗る。

洗髪洗身が終わったら湯船にドボン。
お湯の温度は40〜41度
10分くらい浸かる。

お気に入りの入浴剤。
香りに癒される。

お風呂から出たら全身にクリームを。
乾燥は大敵。
お肌を綺麗にはもちろんのこと、カサカサで痒くなったら辛いでしょう。
掻かなくて済むように保湿は重要。

お風呂介助が終わるとヘルパーさん達は帰ってしまう。
もう夕方だから仕事は終わり。

17時半近くからは1人で留守番。

ベッドに横になってテレビを観ながら待つ。

私の日常に変化は少ない。
訪問者もほぼ毎回決まっている。
刺激はほぼ無いに等しい。

だから夫やヘルパーさんとの会話が楽しみ。
だけど、ヘルパーさんも夫も毎日変化があるわけじゃないから新鮮な話題は本当に嬉しい。

夫は帰って来ると夕食を簡単に作る。
そして、お酒の準備。
夕食と共にお酒を楽しむのが日課。

ビールから始まりワインや日本酒と毎日飲む。
もちろん私も負けじと飲む。
夫は酔うけど私は酔った事がない。

酒は百薬の長と言われるけど、この病に対する薬にはならないのよね。

まぁ、適量が分かってないから毎日いっぱい飲んでしまうので薬になってないのかも知れないけどね。

ふふふふふ・・・


私はお風呂介助してもらったから晩酌しながらテレビ。
晩酌メインでテレビはついで。

夫は酔いながらお風呂。

お風呂から上がって来たら、ベッドまで連れて行ってもらう。

私は私のベッドで。
夫は夫のベッドでそれぞれ別々に寝る。

部屋は一緒。
離れていたらすぐに対応してもらえないからね。

消灯時間は23時くらい。
おやすみなさい。




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