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巡る季節は華やかに

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季節の移り変わり、厳しくて優しい風などを題材にした、『書き物』です
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気分次第

気分次第

全国的に強風が吹き荒れている
テレビ画面には風に弄ばれる人達が写る

こんな風くらい、ここに比べたら

テレビを見ていた息子が言う

真夏には風が全くというほど風は吹かない
そのかわり(?)
真冬から春先までは嵐のような風が吹く

乾いた風
乾燥した砂埃

今日の風の様子は?
窓の外をみる

この毎日の習慣が空を眺めるという事に
繋がった

同じような空
同じような太陽

そんな風に思っていた

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脱皮

脱皮

古ぼけた洋服を脱ぐ

「冬」を纏っていた季節が
一枚づつ「冬」を脱ぎ捨てていく

抜き捨てられた「冬」は
地に落ちて沈み込み
地底の底で眠りにつく

太陽の力が強くなり
温められた空気は
生き物の「冬」を脱がしていく

小さな春が
照れくさそうに
こっそりとあらわれる

小さな春は
太陽と春風に育てられながら
少しずつ
大きくなっていく

まだまだ
小さい「春」も
時期に大きくなるだろう

走る走る
町のなか

風が走り回る

私が吐いた
言の葉が
風に流されて
飛んでいく

青い空に浮かぶ
見えない言の葉

消えないで

風に負けずに
あの山の向こうに住む
あの人の

優しい手のひらに
そっと
舞い降りて

あの人の心を
包み込んで

風は強いけれど

暖かくなってきたから

あの人の心を温める風になって

「風」

「風」

母に手を握られて
毎日商店街に買い物に行った

あれは
3歳くらいだったろうか…

長い長い坂道を
たくさんの荷物を持って歩く母の姿が
朧げに…

小さい私にとって
坂道がとても長いものに感じただけかもしれないけど

今でこそ高級住宅街と呼ばれている町だけど
私が父と母と住んでいた場所は庶民的な町だった。

近くに大学があり、その周りが散歩コースだったそうだ。

その頃の我が家には冷蔵庫はなかった

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春嵐

春嵐

昼下がりの街

空は青空

暴れ風
街を引っ掻き回す

ランチに出た人達は
風のいたづらに
ふくれっら

力任せに倒された自転車が
きぃきぃと怒り声

風の子達は
きゃっきゃっと
走り回る

小さな竜巻
くるくると回り
青い空へと登って行った

風なんて大嫌い
だけど
風が好きな時もある
知ってる?
都会では嵐と言われるような風
ここでは秋から冬にかけて
当たり前に吹くんだよ
春一番はね
嵐のように吹くんだ
だけどね
春一番は優しいんだ
あったかいからね

花想い

花想い

道端の小さな花が
風に揺れていた
小さな花の一部は綿毛に

風に揺れながら
綿毛は旅立ちの日を待っていた

今か今かと
風を読む

ゆらゆら揺れながら
みんなと呼吸あわせている

旅立ちの春を待ちながら