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一座建立 いちざこんりゅう (茶道)

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タイトルの「一座建立(いちざこんりゅう)」は茶道で出会ったことばです。茶道に触れる中で、学んだこと、感じたことを記します。
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2018年4月の記事一覧

そもそも、お抹茶っておいしいのかい?

おいしいか?まぁ好き好きでしょうね(笑) …なんとも身もふたもない 苦くて何がおいしいのかわからなかったコーヒーをいつの間にか好むようになるのと同じでしょうか。 ふと、コーヒーでも紅茶でも緑茶でもなく、抹茶を飲みたいと思うときがあります。 確かに苦みはありますが、それだけではなく、甘みも感じます。 ひとさまに差し上げる機会があったので、お茶の先生におすすめの抹茶をお聞きしました。 飲みなれない方に差し上げるなら、飲みやすい甘みの強いものがよいとのことでした。 コーヒーも

【お茶七不思議4】どうして、お茶碗をくるくる回すの?

茶道をやっていると言うと「お茶碗、くるくる回すんだよね~」とよく言われます。 さらに「どうして回すの?」と聞かれます。 その答えは、お茶碗には正面があるから。 答えになっとらん!お叱りの声が聞こえそうです。 答えに対する突っ込みポイントは以下のふたつでしょうか? 1:茶碗の正面って何? 2:正面があるとして、それがなぜ回す理由になるのか? 順に説明します。 1:茶碗の正面って何?茶碗には、正面があるんです。 きれいな絵柄が一部にあるような茶碗だと、正面があるというの

そろそろ新茶の季節ですね。でも、お抹茶の新茶はもっと先

ゴールデンウイークが始まりました。 もうすぐ5月です。 5月になるとありがたいことに 毎年お茶どころの夫の実家から、新茶が送られてきます。 まろやかで甘さを感じさせる煎茶です。 さて、お抹茶の新茶もこれからの季節なのでしょうか? 実はずっと先、抹茶の新茶は11月なのです。 お茶を摘むのは、煎茶同様、これからの時期なのですが 新芽を蒸して、乾かして、冷暗所でしばらく寝かせるという 手間と時間がかかっています。 11月は、立冬を迎え、風炉から炉へ変わり、新茶を頂く。 茶の

身近にあります お抹茶をいただける場所

お抹茶飲んだことありますか? 茶道をやっているというと、 「お抹茶ね、飲んだことないなぁ。飲む機会ないよね」と言われます。 確かにどこのレストランでも提供されているコーヒーや紅茶に比べたら、 触れる機会は少ないですよね。 だからといって、茶道のお稽古やお茶会に参加しなければ、 飲めないわけでもないですよ。 最近は、お抹茶も提供するような和カフェや、 お抹茶の専門店もあったりします。 とはいえ、 「それはある程度、都会の話で、田舎の方にはそんなのないよ~」 という声が聞

季節が変わる 炉から風炉へ

先日、「Design of Tea Ceremony ~炉とか風炉とか 季節によって変わるお点前」で、季節によって釜の位置が変わることをお伝えしました。 今日のお稽古は、冬バージョン、炉での最後のお稽古でした。 午後から雨も上がり、気温もぐっとあがっていく中での、お点前。 釜からの熱気を感じました。 前回までは、ふわっとした温かさだったのが、 もあっと若干暴力的な、でもまだ弱々しい熱気。 これから、どんどん暑い季節に変わっていくことを予感させる熱。 次回から風炉のお稽古

Design of Tea Ceremony |炉とか風炉とか 季節によって変わるお点前

茶道というものは、季節やらお道具が変わると、お点前がダイナミックに、もしくは微妙に変わってしまいます。 物覚えの悪い私にとっては大変困ったことです。 Design of Tea Ceremony 茶の湯のデザイン は、そんな困ったお点前の変化を、デザインにこじつけることで、お点前を覚える(私の)助けになればよいなと思いはじめました。 お点前の変化が一番大きいのは「炉の季節」、「風炉の季節」による変化。 釜の位置が変わります。 炉の季節は、11月はじめ立冬(2018年では

【お茶七不思議3】「ズッ」といただきます

最近、ヌーハラなんて言葉も聞かれますが、お抹茶は「ズッ」と頂きます。 (ヌーハラ:麺類を食べるときに音をたてて食べることを、周りへのハラスメントとして捉えた言葉) 誤解のないように。 飲んでいる最中、ずっと、ずずっと音を立てるのではなく、 飲みきるときに一度「ズッ」と吸います。 「吸い切る」と言います。 静かな席上で、「ズッ」と響くのを聞くとびっくりしますよね。 なんだかお行儀が悪そうです。 でも、作法に適った頂き方なんです。 なぜ吸い切るのでしょうか? 吸い切ること

【お茶七不思議2】回し飲みするってほんとう?

これ、本当です。 濃茶(こいちゃ)では、ひとつの茶碗に練られたお抹茶を数名の客で順に頂きます。 濃茶は、いわゆる「お抹茶」でイメージするものよりもずっと濃いエスプレッソのようなもの。 「お抹茶」で一般にイメージされるものは、薄茶(うすちゃ)と言います。 薄茶では、回し飲みはしないのですが、濃茶は回し飲みをします。 飲み口は拭いて次に飲む方に回します。 飲み口をずらして飲む流派と、飲み口をずらさず皆おなじところから飲む流派があるようですよ。 濃茶は、茶事(ちゃじ)のクライ

お茶本のご紹介 『檀ふみの茶の湯はじめ』

女優の檀ふみさんによる茶の湯ドキュメンタリー(?)です。 檀さんが、お点前のお稽古にはじまり、お茶と禅とのつながり、茶碗などお道具、お菓子、茶花などについて、そうそうたる方々から指南を受け、それらが親しみやすくまとめられています。 普段のお稽古では、なかなか意識しづらい お茶の世界の広がり、つながりを感じることが出来ますよ。 お茶を通じて、日本文化が一通り学べると言われていますよね。 こちらの本は、雑誌「婦人画報」での企画を一冊にまとめたものだそうです。 檀さんの美しい

旧暦2月28日は利休忌 点てないお茶を供えます

旧暦2月28日は利休さんが亡くなられた日、利休忌(りきゅうき)です。 もう先月のことですが、お稽古で、利休忌ということで供茶(くちゃ「お茶湯」(おちゃとう)とも言うそうです)をしました。 供茶ははじめての体験でこれまたびっくりしました。 シャカシャカしないんですよ。 (シャカシャカとは茶筅をふり、お抹茶とお湯を撹拌させることを言っています) お抹茶とお湯は混ざらない状態で、床の間に供えられました。 シャカシャカしないんだという驚きとともに、 利休さんが亡くなったのは、ず

お茶を点てないお稽古 廻り花(まわりばな)

先日の、お稽古は七事式のひとつ、「廻り花」(まわりばな)。 お客さんと亭主が、順に花入れにお花を入れていくお稽古です。 廻り花のお稽古ではお茶は点てません。 お茶を点てないお稽古もあるんですね。(廻り花以外にもあります)

一服、さしあげてみたよ お茶ってこんなものです01

先日、抹茶をはじめて飲むという方に、一服さしあげる機会がありました。 お点前という形ではなく、ポットのお湯を使って、シャカシャカするだけ。 そこで、「へ~、そうなんだ~」と驚かれたことを、ここでご紹介。 基本的にはお湯で点てます「抹茶ってお湯でつくるのね~」 はい、そうです。 夏季に冷水でつくることもあるそうですが、 基本的には一年中お釜に沸いたお湯を使って点てています。 シャカシャカはほんの一部です「シャカシャカするだけだと思っていた」 シャカシャカと茶筅を使ってお茶

Design of Tea Ceremony |「アートとデザイン」と「おしゃれと身だしなみ」から「茶の湯」を捉えられるか

今日、入社式という方も多かったのでしょうか? 新入社員研修でおなじみなのが、「身だしなみとおしゃれの違い」。 身だしなみは相手目線、おしゃれは自分目線というような内容だったと いつの日かの新入社員は記憶しています。 さて、入学式にはきっとまだ早いですね。 デザインや建築系に進まれる方は、きっと最初に「アートとデザインの違い」というのを教わるのではないでしょうか? アートは自分本位、デザインは顧客志向…という感じかな (noteはデザイン系の方が多いですよね。違和感あったらゴ

且坐喫茶(さざきっさ)…しばらく坐して茶を喫せよ

お着物にまつわるイベントをしようと準備をしています。 その打合せの終盤に、お抹茶を点てて、皆さんに飲んでいただきました。 お稽古でするような点前ではなく、 ポットのお湯を使って、しゃかしゃか点てるだけだったのですが 「お抹茶、はじめて!」 「20年ぶり~」 「おいしい!」 「けっこうなお服(ふく)加減で」 と喜んでいただき、とても嬉しく感じました。 「お茶碗って、回すんだっけ?」とか 「えっ?お菓子食べきってから、お抹茶なの~?無理~!」 など、新鮮な体験だったようです。