'95 till Infinity 019
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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 011 】
カイロは、あいつがいつもそうだったように、その時も俺たちのやりとりをただ横で見ていた。
それは、別にあいつが暗い奴だからとか、おとなしいからという訳でなく、こんな時は、特に自分の意見を言わず、ただ黙ってなんとなく楽しげに聞くというのがカイロだった。
そして、トーニと俺の手数だけが多い間の抜けたボクシングのような議論が終わる頃に、大抵カイロが一言だけ「いいじゃん、おもしろそうじゃん」とかそういうようなことを言い、それが不毛な議論のクロージングベルになるのが3人の常だった。
俺とトーニがそうやって話している間、カイロが大して自分の意見を言わなかったのは、別にあいつに主体性が欠けていたとかということでは決してなく、それはとにかく奴のとんでもなくイージーゴーイングな性格によるものだったと思う。
確かにイージーゴーイングであるということ自体、結果的に回りの人間に流されてしまうということだから、「主体性に欠ける」ということになるのだけれど、カイロの場合は楽しそうなことには何にでも乗っかってやるという少なくともカイロの温度計では熱い意思があり、それがとどのつまりはカイロの主体性だった。
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